いま観るべき映画|2023年3月
ひとりぼっちじゃない
2023年3月10日(金)より、公開
監督・脚本:伊藤ちひろ
出演:馬場ふみか、井口理、河合優実、相島一之、高良健吾、浅香航大、長塚健斗(WONK)、じろう(シソンヌ)、盛隆二、森下創、千葉雅子、峯村リエ
©2023「ひとりぼっちじゃない」制作委員会
〈STORY〉
しかしながら宮子は、部屋に鍵をかけず、突如連絡が取れなくなったりする、つかみどころがない女性だった。それでも、彼女と抱き合っていると、ススメは自分を縛っている自意識から解放される気がしていた。
自分でも理解できない自分を宮子は理解してくれている、ススメはそれがうれしかった。
けれど、謎の多い宮子を前に、自分は彼女のことを理解できていない、と思い悩むススメ。
ある日、宮子の友達である蓉子が、ススメに宮子の身に起きた驚きの事実を告げる
▼馬場ふみかさんインタビュー
零落
2023年3月17日(金)より、テアトル新宿ほか全国ロードショー
監督:竹中直人
原作:浅野いにお「零落」(小学館ビッグスペリオールコミックス刊)
出演:斎藤工、趣里、MEGUMI、山下リオ、土佐和成、永積崇、信江勇、宮﨑香蓮、玉城ティナ/安達祐実
©2023浅野いにお・小学館 「零落」制作委員会
〈STORY〉
元人気漫画家が手にした、堕落への片道切符!
8年間の連載が終了した漫画家・深澤薫は、自堕落で鬱屈した空虚な毎日を過ごしていた。SNSには読者からの辛辣な酷評、売れ線狙いの担当編集者とも考え方が食い違い、アシスタントからは身に覚えのないパワハラを指摘される。多忙な漫画編集者の妻ともすれ違い、離婚の危機。世知辛い世間の煩わしさから逃げるように漂流する深澤は、ある日“猫のような目をした”風俗嬢・ちふゆと出会う。堕落への片道切符を手にした深澤は、人生の岐路に立つ……。
死体の人
2023年3月17日(金)より、渋谷シネクイントほか全国順次公開
監督・脚本:草苅勲 脚本:渋谷悠
出演:奥野瑛太、唐田えりか、楽駆、田村健太郎、岩瀬亮、烏丸せつこ、きたろう
©2022オフィスクレッシェンド
〈STORY〉
生きることが下手です。死んだふりは上手です。
役者を志していたものの、気がつくと“死体役”ばかりを演じるようになっていた吉田広志(奥野瑛太)。開いたスケジュール帳はさまざまな方法で“死ぬ予定”でいっぱいだ。「厳密にリアリティを追求するなら……」と演じることへの強いこだわりを持つ彼だが、効率を重視する撮影現場では、あくまで物言わぬ“死体”であることを求められる。劇団を主宰していた頃の後輩俳優は要領よくテレビで活躍を果たしているが、彼にはそれができない。死体役には死体役のリアルが彼の中にはあるのだ。ひとりのときでも発泡酒を口にすれば“毒死のシーン”を、浴槽に浸かれば“溺死のシーン”を演じ、常に死に方を探求する日々を送っていた。
そんな〈死体の人〉が、人生を変えられるような運命的な出会いを果たす。ある日、自宅に招いたデリヘル嬢・加奈(唐田えりか)との情事の後、彼は「ベタな質問で恐縮なんだけど……何でいまの仕事をしてるの?」と彼女に問いかける。それはそのまま〈死体の人〉にも跳ね返ってくる質問だった。「けっこう喜んでもらえるし、こんなことくらいでしか人を喜ばせられないから」と答える加奈に対して、「俺なんか誰も喜ばせられないよ……」と自嘲気味に〈死体の人〉は続ける。明るく振る舞う加奈だが、彼女もまた自身の人生に問題を抱えていた。
しかし、ある日唐突に〈死体の人〉の元に、母(烏丸せつこ)が入院するという報せが父(きたろう)から入る。気丈に振る舞う母だが、どうにも病状は良くないらしい。さらにそこに、新たな問題が発生。偶然見つけた妊娠検査薬を何気なく自分で試してみたところ、何と陽性反応が出たのだ。これはいったいどういうことなのだろうか……?
消えゆく命、そして、新たに生まれてくるかもしれない命──。〈死体の人〉こと役者・吉田広志は、一世一代の大芝居に打って出る。
雑魚どもよ、大志を抱け!
2023年3月24日(金)より、ロードショー
原作・脚本・監督:足立紳
出演:池川侑希弥、田代輝、白石葵一、松藤史恩、岩田奏、蒼井旬、坂元愛登、新津ちせ、臼田あさ美、浜野謙太、河井青葉 / 永瀬正敏
©2022「雑魚どもよ、大志を抱け!」製作委員会
〈STORY〉
「俺はお前らと本当の仲間になりたい、信じてもらえる奴になりたい」
地方の町に暮らす平凡な小学生・瞬(池川侑希弥)。心配のタネは乳がんを患っている母の病状……ではなく、中学受験のためにムリヤリ学習塾に入れられそうなこと。望んでいるのは、仲間たちととにかく楽しく遊んでいたいだけなのに。瞬の親友たちは、犯罪歴のある父(永瀬正敏)を持つ隆造(田代輝)や、いじめを受けながらも映画監督になる夢を持つ西野(岩田奏)など、様々なバックボーンを抱えて苦悩しつつも懸命に明日を夢見る少年たち。それぞれの家庭環境や大人の都合、学校でのいじめや不良中学生からの呼び出しなど、抱えきれない問題が山積みだ。ある日、瞬は、いじめを見て見ぬ振りしてまう。卑怯で弱虫な正体がバレて友人たちとの関係はぎくしゃくし、母親の乳がんも再発、まるで罰が当たったかのような苦しい日々が始まる。大切な仲間と己の誇りを獲得するために、瞬は初めて死に物狂いになるのだった。
▼足立紳監督インタビュー
うつろいの時をまとう
2023年3月25日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督:三宅流
出演:堀畑裕之、関口真希子 / 赤木明登、津村禮次郎、大高翔ほか
©︎GROUP GENDAI FILMS CO., LTD.
〈STORY〉
2020年1月。東京・青山のスパイラルホールで、服飾ブランドmatohuの8年間のコレクションをまとめた展覧会『日本の眼』が開催された。matohuは“日本の眼”というタイトルのもと、「かさね」「ふきよせ」「なごり」など日本古来の洗練された美意識を表す言葉をテーマに2010年から2018年までの各シーズン、全17章のコレクションを発表してきた。デザイナーの堀畑裕之は大学でドイツ哲学を、関口真希子は法律を学んでいたが手仕事や服作りへの思いからファッションの世界に飛び込む。堀畑はコム デ ギャルソン、関口はヨウジヤマモトでパタンナーとしてキャリアを積む。そして2005年にブランド「matohu」を立ち上げ、彼らは“長着”という独自のアイテムを考案した。着物の着心地や着方の自由さから着想を得ながら、今の生活に合わせた形で作り出されたモダンなデザインの服である。
2018年、matohuは『日本の眼』最後のテーマとなる「なごり」コレクションの制作に取りかかり、伝統的な技術を持つ機屋や工房と協業しつつ、テキスタイルを作り上げていく。堀畑と関口はアトリエで激しい議論を繰り返しながら妥協することなくデザインを完成させ、そしてファッションショーの日を迎える。