當真あみ × 中島セナ – ゆれる心のあわいで


Ami Touma:ear cuff ¥295,900・pendant ¥566,500 / TASAKI (TASAKI 0120-111-446)
Sena Nakajima:costume cooperation / CORNU
役への距離と向き合い方
― 原作の空気を大切にしながら、映画ならではの魅力も感じました。完成した作品をご覧になって、率直な感想を教えてください。
當真あみ(以下、當真):映画が始まって、最初に「おっ」と思ったのが、セナちゃん(朱里)が海辺を歩くシーンからスタートするところでした。こんな始まり方なんだ、という驚きがあって。
あとは、みんなのリアルな会話の掛け合いや、撮影中の雰囲気がそのまま映画に映っているのがすごくよかったです。
中島セナ(以下、中島):ダンスの練習シーンなど楽しそうな雰囲気が伝わってくる一方で、女子高独特の雰囲気というか、ちょっといびつな空気感も作品全体から感じられて。そこが印象的でした。

― 共演を通して感じたことはありましたか?
當真:画面越しで見ていたときはクールな印象を持っていたんですが、実際に現場で話してみると、すごく等身大というか、同世代の女優さんだなと感じました。原作や脚本を読んだときから、朱里が持っている人を惹きつける独特の雰囲気は、セナちゃんの中にもともとあるものに近いなと思っていて。私自身が「会ってみたい」と思っていた感情とも重なる部分があったので、(自身が演じる)希代子が朱里に向ける気持ちもすごくナチュラルに表れていたと思います。
中島:最初は爽やかでかわいらしい方だなという印象だったんですが、現場でご一緒する中で、それだけではなく、すごくしっかりしていて、自分の軸を持っていると感じるようになりました。完成した映像を観たときにも、希代子という役が本当にあみちゃんに似合っていて。希代子役があみちゃんで本当によかったなと思いました。

― 目線や会話など繊細なやり取りに引き込まれました。役とはどのように向き合いましたか?
當真:撮影前に監督から「普段の當真さんの感じで」と言われていましたし、原作を読んだときも、希代子のおとなしい雰囲気や、まわりに合わせて動くところが、中学生のころの自分とすごく似ているなと思っていたんです。なので、無理に作ろうとするよりも、自分のままでその場にいる、という向き合い方だったと思います。
演じることで意識が大きく変わったというより、「わかるな」と共感できる感情をそのまま受け止めていました。ただ、希代子が朱里から少しずつ離れていく部分については、気持ちの変化を意識しながら演じていきました。
中島:私も朱里という役はわりと自分に近いところがあって、構えすぎずに向き合えていたと思います。脚本を読みながら「こういう人生を歩んできたな」と、自分自身を振り返るような感覚があって。学校という場所やクラス全体を少し引いた目で見ながら、朱里という存在を捉えていたと思います。ただ、人との距離の詰め方は自分とは少し違っていたので、そこは意識的にテンションを上げながら演じていました。

― 『終点のあの子』というタイトルの「終点」を、どう捉えましたか?
當真:この物語でいうひとつの終点は、朱里の話にも出てくる江ノ島の終点のことだと思っていて。希代子と朱里では、その終点という場所の見え方が、まったく違っているように感じたんです。希代子にとっては終点と言いつつも、どこか通過点のような感覚だったのかな、と思いました。
― 確かに。希代子と朱里で見え方が違う、という捉え方は面白いですね。
中島:作品に入っているときは、正直タイトルについてあまり考えていなかったんです。でも原作小説を読んでいると、終点の捉え方が少し変わってくるかもと思って。映画だと“終わり”の要素が強いけれど、原作では少し“通過点”的なニュアンスもあるんじゃないかなと感じました。
― 小説も映画も、それぞれの形で広がりのある作品になっていますよね。
當真:映画を観るときに、原作もあわせて読んでもらえると、さらに楽しめると思います。映画では希代子目線で進んでいく部分が多いですが、小説を読むと、恭子さんや森ちゃんなど一人ひとりの性格や内面にも触れられる。映画を観てから小説を読むと視点も変わってくるので、より面白く感じてもらえると思います。

ふたりのこれまでとこれから
― 本作では、おふたりそれぞれの学生時代と役が重なる部分もあったということですが、ご自身の10代を振り返って点数をつけるとしたら?
當真:まわりから見えていた自分と、自分の中の感情はけっこう違っていた気がします。できるだけ友達と衝突しないように、まわりに合わせて過ごしていて。学生時代の自分は、みんなと一緒にいい感じに過ごせていたので、当時の自分に点数をつけるなら10点満点で8点くらいかなと思います。でも今の自分と比べると、5点か6点くらいかもしれません。今のほうが、もっと自分を出せている感覚があるので。
― 希代子と重なる部分も感じますね。当時の自分に伝えられるなら、どんなアドバイスをしますか?
當真:もう少し、友達の前で自分を表現してみてもよかったのかもしれません。あのころはその距離感のほうが楽だと思っていたけど、もしかしたら「自分はこうだよ」と言っても、受け止めてくれる友達もいたのかなって。そう考えると、人との関わり方も少し違っていたのかもしれないなと思います。
― 中島さんはいかがでしょう?
中島:仕事を始めた小学校高学年くらいのころは、あまり学校が好きではなかったんです。登校はしていましたけど、友達と特別に話したいこともなくて。中学では、ひとりで本を読んで過ごす時間が多かったです。高校に入ってからは、コミュニケーションを取らないといけないなと思って、自分から話しかけるようになりました。いわゆる「青春」という感じではなかったですけど、まわりの人に恵まれていたし、自分にとってはある程度ベストな10代だったと思います。

― これまでのキャリアで刺激や影響を受けた作品や、「この人みたいになりたい」と感じた憧れについてお聞きしたいです。
當真:刺激を受けた方や作品はたくさんありますが、実際に対面でお芝居をして「すごいな」と強く感じたのは、松岡茉優さんです。松岡さんが先生役で、私は生徒役としてご一緒したドラマ(『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』)があって。1対30という人数差のある長いシーンを何度も撮影したときも、ずっと集中力を切らさずにお芝居をされていて、その姿が本当に素敵だなと思いました。30人それぞれに向けられる松岡さんひとりのエネルギーがすごくて、自分もあんなふうにお芝居ができるようになりたいと感じました。
中島:私は、特定の誰かに影響を受けたとか、強い憧れがあるというよりも、現場に入るたびに刺激を受けている感覚があります。今回の作品でも、あみちゃんやクラスのみんな、ご一緒した学生のみなさん、スタッフさんやセットまで含めて、本当にいろんなところから刺激をもらいました。

― もうすぐ20歳を迎えますが、意識的な変化はありますか?
中島:節目ではあるなと思いつつ、これからもずっと学んでいきたいです。自問自答しながら20代を過ごしていけたらいいなと思っています。
― お芝居についても、でしょうか?
中島:そうですね。あまり「仕事をどうしていきたいか」をはっきり決めているわけではなくて。今はちょうどいいバランスで続けられている感覚があるので、もし変えるとしたら、そのときにどう変えていくのかを考えたいです。
― 當真さんは、20代に向けてどんなふうに考えていますか?
當真:今年、ひとり旅にハマりはじめて、休みの日にいろんな場所へ出かけています。まだ国内でも行けていないところがたくさんありますし、海外にも行ってみたいので、そのバランスをどう保っていけるかを考えています。仕事も大切にしながら、やりたいことをどんどんやっていけたらいいなと思っています。

Profile _
左:當真あみ(とうま・あみ)
2006年11月2日生まれ、沖縄県出身。2021年、CMにてデビュー。翌年、TVドラマ「妻、小学生になる」に初出演したほか、アサヒ飲料「カルピスウォーター」14代目TVCMキャラクターを務め脚光を浴びる。以降、NHK大河ドラマ「どうする家康」(23)など多くのドラマに出演し、2025年の「ちはやふる―めぐり―」では連続ドラマ初主演を務めた。近年の映画出演作に映画『おいしくて泣くとき』(25)、映画『雪風 YUKIKAZE』(25)などがあり、長編初主演映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』が2025年10月17日に公開。公開待機作に劇場アニメ『パリに咲くエトワール』(2026年3月13日公開予定)、「人はなぜラブレターを書くのか」(2026年4月17日公開予定)がある。
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右:中島セナ(なかじま・せな)
2006年生まれ、東京都出身。2017年にスカウトされモデルデビュー。POPEYEやCOMMERCIALPHOTOなどの表紙を飾り注目を集める。他、『クソ野郎と美しき世界』(18)、『WE ARE LITTLE ZOMBIES』(19)などの映画に出演。2021年には新人女優の登竜門とされるポカリスエットのCMに起用され、翌年も引き続きヒロインを演じた。2020年より KANEBO「I HOPE.」のメインキャラクターも務めている。主演作品として「Disney+」日本発オリジナルシリーズ「ワンダーハッチ - 空飛ぶ竜の島」(23)、映画『あこがれの色彩』(24)などがある。公開待機作に『災 劇場版』(2026 年公開予定)がある。
Information
映画『終点のあの子』
2026年1月23日(金)より、テアトル新宿、グランドシネマサンシャイン池袋、アップリンク吉祥寺ほかにて劇場公開
出演:當真あみ、中島セナ、平澤宏々路、南琴奈、新原泰佑、小西桜子、野村麻純、陣野小和/深川麻衣、石田ひかり
監督・脚本:吉田浩太
原作:柚木麻子『終点のあの子』(文春文庫)
©2026「終点のあの子」製作委員会
- Photography : Myra Shimada
- Styling for Ami Touma : Junko Omura
- Hair&Make-up for Ami Touma : SAKURA(makiura office)
- Hair&Make-up for Sena Nakajima : Haruka Saito
- Text : Sayaka Yabe
- Edit : Yusuke Takayama(QUI)