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磯村勇斗 – 表現は必ず誰かに届く

Mar 13, 2023
俳優・磯村勇斗の心を捉えるファッションとクリエイション。
その未来と可能性について。

磯村勇斗 – 表現は必ず誰かに届く

Mar 13, 2023 - FILM
俳優・磯村勇斗の心を捉えるファッションとクリエイション。
その未来と可能性について。

ファッションは着る人の心を映し出す

― 今回は「未来」をコンセプトにしたファションシューティングでした。

ファッション誌などでしか体験できない、アートに近い感覚の服ですよね。服を作った人やコーディネートする人など、みんなで一緒に作品を生み出している感じが楽しかったです。

― 普段からコレクションもチェックされているんですか?

そうですね。コレクション会場に行くこともありますよ。ファッションに関しては常にアンテナを張っていたいなと。最近は、マルニのショー(2023-24年秋冬コレクション)に参加させてもらいました。もちろん出る側じゃなくて、見る側で(笑)。国立代々木競技場 第二体育館で大々的にやっていて、音楽との融合がおもしろくて、すごく華やかでした。

― そもそも磯村さんがファッションに惹かれる理由はなんでしょう?

ファッションって着る人の心を映し出すものだと思うんです。僕はこういう人だと表現するおもしろさ、読み解くおもしろさが、ファッションにはあるのかなと。

あとは単純に、色の組み合わせや形のデザイン性で鳥肌が立つ瞬間がある。それはやっぱり着てみたいとなりますよね。

― 実際にお買い物をする際は、どういう視点で服を選んでますか?

ネットで事前にアイテムを見て、店頭に行って良かったらすぐ直感的に買うことが多いです。シンプルなものも好きですけど、ちょっと目を引くようなデザインが入っているものや、形が変わっているものを好んでいます。

― 実際に購入するのは実店舗が多いんですね。

ネットで買うのは自分のサイズがわかるブランドか、Tシャツぐらいでとどめています。

― コーディネートのマイルールはなんでしょう?

百貨店とかに行くときは、少しきれいめな格好を心がけようと。行く場所に見合った格好をしたいなと思っています。

あとは例えばヨウジヤマモトの店ならヨウジヤマモトの服とか、行くショップの服は取り入れたいです。

― いろんな服を着ていると思うんですが、新しく挑戦したいスタイルは?

今年はイッセイミヤケなどで攻めたいなって。30歳になったので、ちょっと大人の余裕を感じさせるファッションをしていきたいです。

― ワードローブに一生手放したくないアイテムはありますか?

レザーのジャケットは一生ものになってくるんじゃないでしょうか。今、革が貴重になってきているので、ずっと大切にしたいなと思っています。あと、肩幅があるからピタッとしたライダースとか似合わないんですよ。だから自分の体型にあった革ジャンは特に貴重です。

 

衣装から役のキャラクター性を読み解くこともできる

― 磯村さんといえばサウナですよね。サウナでファッションというと、サウナハットにこだわりは?

こだわりはあります。15個ぐらい持っています。

― そんなにたくさん。どういったものが良いのでしょう?

僕が一番好きなのは撥水・耐熱性能のついたサウナハット。ガンガン洗えるし、かなり熱から守ってくれるので重宝しています。あとフェルトのものはすごくかわいくて、女性から人気があります。でもフェルトは扱いが難しくて、濡れると縮んでしまうので洗えないんです。

― なるほど。そろそろオリジナルのサウナハットも作っちゃいそうですね。

実は作ってるんですよ、すでに。

― おお、買えるんですか?

受注生産で、ちょうど終わっちゃいました。

― サウナでおしゃれだと、あとは身体を鍛えるぐらいでしょうか。ジムに通ったり?

僕は定期的にキックボクシングをやってるんで、今はそれで充分ですね。

― 3月には、サウナ道を追求する番組「サウナーーーズ」シリーズの第4弾WOWOWで放送されます。

今回は中川大志君と北村匠海が参加してくれました。音楽と建築に特化したサウナを体感して、深く掘り下げています。

― ゲストのお二人はもともとお友達ですか?

匠海はそうですね。中川君は今回はじめましてに近いです。

― はじめましてでサウナに。

逆にそれが良かったかも。裸の付き合いなので、一瞬で仲良くなれちゃう。

― 俳優として演じる際にもファッションが重要だと感じることってありますか?

基本的には警察官だったら制服を着なきゃいけないとか、ファッションというものとはまた違ってくる気がしますね。でももっとファッション性の高い衣装をどんどん取り入れていったほうが良いなとは思っています。

― というのは?

海外の映画を観ていると「この服着たい」って思うことが多いのに、日本の映画ではほとんどないんですよね。

― その感覚はわかります。磯村さんが今まで演じた役で、ファッションとしてグッと来た服ってありますか?

ファッションという視点では見ていなかったですね。自分自身は役として着ているからあまり気にしてないので。

― 衣装合わせでは自分の意見を伝えることも?

違うなと思ったら自分の意見を言うこともあります。衣装から役のキャラクター性を読み解くこともできるので、衣装合わせの時間はおもしろいです。

 

僕らの世代が動かさなきゃいけないという使命感は強い

― 昨年は、映画『PLAN75』についてお話を聞かせていただきましたが、すごく大きな反響があった作品でしたね。

おかげさまでカンヌ国際映画祭への参加など、すごく貴重な経験をさせてもらいました。世界の映画好きな人たちと会話したり、触れ合ったりして、映画に対しての愛の強さや高い意識を受け、この先自分も映画を愛してつくっていきたいなと、改めて強い思いを持ちました。

― いずれは世界に出ていきたいと考えることも?

作品に参加もしたいですけれど、どういう現場で撮っているのか環境も見てみたいです。韓国、アメリカ……気になります。

― ファッション業界ではより良い「未来」に向けて、サステナビリティや多様性、人権への配慮など、多くの責任を果たすことが求められています。お芝居においても時代の変化を感じることはありますか?

どうでしょうか。まだ僕たちの業界は遅れているという印象はあるんですけれど、徐々に良い方向に向かってきていると思うので、自分も力になりたいなとは思っています。

― 新しい世代で価値観が更新されている感覚は?

ありますね。僕らの世代が動かさなきゃいけないという使命感は強いです。俳優も、スタッフさんも、自分たちがなにかやらないとマジでまずいぞっていう危機感はすごくあって。

― 俳優という仕事のフィールドが広がっているように感じるのですが、俳優という仕事の未来は明るいと思いますか?

明るくするのが僕たちの役目のような気がしています。日本の映画づくりの環境は、このままだと世界からどんどん遅れをとってしまうし、良い作品が生まれにくい状態になっているとも思います。そこを改善し、歯車がうまく回っていけば、明るい未来が待っているんじゃないかな。

2021年の「アクターズ・ショート・フィルム」では監督にも挑戦されていましたよね。俳優業にとどまらない活動ですが、良い経験になりましたか?

いろんな部署の人たちが良いアイデアを持ち寄って、1個の作品を作っているということを強く感じました。俳優部ってどこか持ち上げられるような存在ですけれど、本当はみんなフラットなんですよね。視野が広がりましたし、俳優も演技以外のことをどんどんやっても良いと思います。

― いろんな俳優さんにインタビューさせていただいていると、もっと初期から作品に関わりたい、より作品にコミットしていきたいという思いを持っている方が増えている印象があります。

確かに大事だと思いますね。しっかり準備する期間とか、参加して役や作品への理解を深めていく時間は、俳優にとってとても必要なんじゃないかなと。

― 磯村さんのお話を伺っていると、クリエイティブや表現の持つ可能性をすごく信じているように感じました。実際、表現にはどんな力があると思いますか?

表現したものって必ず誰かに届くと思っていて。たったひとりの胸の中に残っていれば、それだけで表現は成立していると思うし、表現したものは絶対に後世に残っていくので。

ファッションも、映画も、今は伝わらなくても、100年後の人が見たときに「これすごいよ」って言われたら、それで充分かなと。表現には答えがなくて、どこにはまるかわからないところがまたおもしろくて、やりがいのあるものだなと思っています。

― だからこそ作り続けるしかないし、100年後の人に見せて恥ずかしくないものを作らなきゃですね。

でも今はあまり評価されていないものが100年後におもしろいと思われる可能性もあるし、これは本当にわからないですね。

― 磯村さん自身は俳優としてどういった未来を思い描いていますか?

続けていくことの重要性はすごく感じていますし、柔軟に変化しながらやっていかなきゃいけないんだろうなと。

― 大切なのは、続けていくこと、変化していくこと。

そして磯村勇斗としてのブランドやポジションをしっかり作っていかないといけないなと思っています。

 

 

Profile _ 磯村勇斗(いそむら・はやと)
 1992年9月11日生まれ、静岡県出身。2015年ドラマ『仮面ライダーゴースト』(EX)で話題を呼び、その後NHK連続テレビ小説『ひよっこ』(17)でヒロインの夫となる見習いコック役を演じ脚光を浴びる。主な出演作にドラマ『恋する母たち』(20)、大河ドラマ『青天を衝け』(21)、映画『前科者』『PLAN 75』『ビリーバーズ』『異動辞令は音楽隊!』(いずれも22)など。『ヤクザと家族The Family』(21)、『劇場版 きのう何食べた?』(21)で第45回日本アカデミー新人俳優賞を受賞。Netflix「今際の国のアリスシーズン2」が配信中。公開待機作に映画『東京リベンジャーズ2. 血のハロウィン編-運命-』(4/21公開予定)『最後まで行く』(5/19公開予定)、『波紋』(初夏公開予定)、『渇水』(6/2公開予定)がある。

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FASHION
#12 . HELLO ! OUR FUTURE – “自由に”ファッションの未来へ
Mar 13, 2023

 


 

Information

WOWOW「サウナーーーズ4 磯村勇斗とサウナを愛する男たち」

2023年3月10日(金)午後10:30スタート

出演:磯村勇⽃、中川大志、北村匠海

番組公式サイト

  • Photograph : Shuhei Tsunekawa
  • Styling : Remi Kawasaki(TRON management)
  • Hair & 3DCG : Hiroki Kitada
  • Make-up : Marino Asahi(Y’s C)
  • Edit / Text : Yusuke Takayama(QUI)
  • Edit : Yukako Musha(QUI) / Miwa Sato(QUI)