中島歩 – みんなでつくる
主演という立場に身構えることなく、とにかく自由でいることで、 “みんなでつくる”という空気が生まれていった。
撮影を振り返るとともに、芝居にかける思いや姿勢について語ってもらった。


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観てくれる人の中にも“日暮”がいる
― 本作が連続ドラマ初主演とのことですが、どんな心構えで臨みましたか?
とにかく自由にやろうと思いました。普段からどれだけ思いつきに飛びつけるかということを考えているのですが、今回は自分が主演だから、主演に気を使う必要もない(笑)。ということで、いろんなアイデアを出し尽くしていきました。
― 現場でもアイデアをどんどん膨らませて?
(芝居の流れを確認する)段取りから本当に自由にやらせていただいて。もちろん台本通りに進めつつも、思いついたことをどんどんやっていきました。
― 阪元裕吾監督とは初めての仕事だったそうですね。
僕にとって阪元監督の作品は新鮮に映っていて、ずっとご一緒したいと思っていました。今回も本当にたくさんのアイデアを持っていて、話していると映画愛も感じられて楽しかったです。
― 撮影期間は?
真夏の1か月半、恐ろしい暑さの中で30分12話を駆け抜けました。
― 中島さんが演じた日暮歩は、まず見た目がかなりユニークですよね。70年代的なスタイルで、一周回ってかっこいいような、そんなわけないような……。
そこを狙いました。自前の衣装を持ち込んで採用してもらったりもして。
― 特にマレットヘアが目を引きました。
やっぱり理容師だから髪型にパンチがいるなと思って。僕が「マレットじゃないとできない」と言っていたら、ヘアメイクさんも同じことを考えていたんです。で、プロデューサーの方は、ちょっと首をかしげていた(笑)。
― 髪は地毛だったんですか?
トップは地毛をクリクリに巻いて、襟足はエクステをつけていました。

― 芝居においてはどんなことを意識しましたか?
台本に書かれている熱量を凌駕するぐらい、とにかく熱く元気よくやることです。過去イチ大きい声を出し続けて、本当に疲れる役でした。ただ、悪者に正論を捲し立てるシーンがあるんですけど、そこは高揚して眠れなくなるぐらい気持ち良いです。
そしてあの格好でいると無敵だと思えてくる。格好つけないで済むというか、裸になったような感じがするんです。もうずっと日暮のままでいいんじゃないかと思ったんですけど、撮影が終わったら結局もとの自分に戻ってきちゃう。
― でも自分の中に、たしかに日暮がいたんですね。
いました。そしてたぶん、みんなの中にもいるんだと思う。『俺たちバッドバーバーズ』を観て、みんなの日暮が解放されていくことを確信しています。
― 日暮の相棒、月白司を演じた草川拓弥さんとの共演はいかがでしたか?
顔が綺麗すぎて人形みたいで、パッと見だと何を考えているかわからなくて、ちょっとビビっていました(笑)。ミステリアスですよね。きっと女性の視聴者を離さないでいてくれると思います。僕は「野郎どもついてきてくれ」という感じなので。
― 幅広い視聴者をつかめそうですね(笑)。草川さんとの印象的なエピソードがあれば教えてください。
空き時間に喋ること以上に、役を通したコミュニケーションがものすごく濃厚でしたね。バディもので、青臭くて熱いシーンもありますし、大変な撮影を一緒に乗り越えた結びつきのようなものも感じています。

グッドバイブスは画面にも現れる
― お話を聞いていると、全員が主体的に参加している作品なんだなと感じました。
どの作品でも、こういう空気にしたいですよね。みんながアイデアを持ち寄れば、もっと楽しくなると思う。だから僕は思ったことを最初に言って、先に恥をかくようにしています。そうすると、みんなも意見を出しやすくなる。グッドバイブスでつくると、画面にも現れてくるはずなので。
― 自分が思ったことを率先して発言するスタイルは昔からですか?
いえ。キャリアを積んで、呼ばれ方が“中島くん”から“中島さん”になったあたりからですね(笑)。年齢不詳なので。
― 2013年のデビュー以来、順調なキャリアを築かれていますが、近年はいっそう活躍されている印象があります。
いえ、ここ5年、6年かな。20代は暇でしたね。
― どんな20代を過ごしましたか?
自信の無さと不安がずっと流れていました。演出家からは「好きなようにやればいいんだ」と言われるんですけど、それが難しい。
― そこから転機が?
冨永(昌敬)監督との出会いでしょうか。大学の大先輩でもあるんですけど。
― 日本大学藝術学部の。
はい。ワークショップなどで交流があり、2018年の『素敵なダイナマイトスキャンダル』という映画で初めてご一緒させていただき、その翌年のドラマ『ひとりキャンプで食って寝る』ですごく面白い役をいただいて。僕は冨永監督を信頼しているし、冨永監督も僕に任せてくれて、本当にのびのびと芝居ができたんです。自分のやりたいことが表現でき、それが認められた感覚もあり、「このやり方でいいのかな」と思えました。
その後、それを観た横浜聡子監督が『いとみち』という映画に呼んでくださったりもして。あのドラマは1話しか出ていませんが、すごく大きな経験でしたね

― 中島さんは “芝居の楽しさ”をどんな部分に感じますか?
やっぱり段取りの時間が楽しいですね。まずどうやって芝居にするか、どういう撮り方にするかということが決まっていくところが面白いです。
― ものづくりの楽しさですね。
そうですね。「そんなこと考えてたの」とか、「俺もこんなことやっちゃうよ」とか、みんなが持ち寄ったものが相互に作用しあって、ゼロからどんどん具現化していくことが面白い。
あとは超熱いシーンで、心を振り絞ってやりあっているときも楽しいです。
― 撮っている瞬間にうまくいったと思えることも?
あくまでセリフなんだけど、相手の人と本当にコミュニケーションしたなと感じたときにはそう思えることもあります。
― 中島さんが芝居で目指すところも、セリフを通したリアルなコミュニケーションでしょうか?
ずっとそうでしたし、いまだに重要な演技の要素だと思います。ただ最近は、どう見せるかということもすごく大事だなと思っていて。
― というと?
今回の作品も、衣装をはじめ何から何までリアルじゃないですよね。ユニークな喋り方とかポーズとか、芝居にはそういう面白さもある。すごいですから、昔の俳優のケレン味は。
この間、テレビで『必殺仕事人』がやっていたんですけど、一枚絵のように決まっている中で、ぐっと寄って見得を切るシーンがかっこよすぎて。今はなかなかそういう芝居は求められないけれど、この前大河ドラマで、カメラがレールの上をトラックインして、バチッと決めて「出陣じゃ!」と大きな声で言う機会があって嬉しかったです(笑)。
― たしかに“見せるシーン”って難しそうですけど重要ですよね。
普段、現場で俳優はかなり繊細に扱われていて、撮影側の都合を押し付けることを憚る傾向があるんです。でも僕はそれが嫌で。絶対に見映えも大切だから、「このタイミングでこう動いてほしい」とか、「このセリフはこの立ち位置でやったほうがいい」とか、今回は撮影部とのコミュニケーションを積極的にとったんです。打ち上げでは撮影監督が、撮影部と俳優部はこういう関係であるべきだなと思ったとおっしゃってくださいました。
― ご自身のキャリアにとっても重要な作品になりましたね。
本当にそのとおりです。大事な仕事ができたなと思います。

Profile _ 中島歩(なかじま・あゆむ)
1988年10月7日生まれ、宮城県出身。2013年に美輪明宏演出・主演の舞台「黒蜥蜴」のオーディションに合格し、俳優デビュー。2014年「花子とアン」でテレビドラマ初レギュラー出演。近年の主な出演作は、NHK大河ドラマ「青天を衝け」(2021)、TBS系「不適切にもほどがある!」(2024)、フジテレビ系「海のはじまり」(2024)、NHK連続テレビ小説「あんぱん」(2025)、フジテレビ系「愛の、がっこう。」(2025)など。
Information
ドラマ25『俺たちバッドバーバーズ』
2026年1月9日スタート
毎週金曜深夜24時42分~25時13分
※BSテレ東でも2026年1月12日スタート 毎週月曜深夜24時00分~24時30分
放送局:テレビ東京 テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ 九州放送
主演:中島歩 草川拓弥
出演:原田琥之佑 吉田美月喜 濱田龍臣 / 後藤剛範 高良健吾
脚本:阪元裕吾 オノ・マサユキ
監督:阪元裕吾 平波亘 泉原航一
- Photography : Keita Sugeno
- Styling : Kentaro Ueno
- Hair&Make-up : AMANO
- Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI)