パリ・ファッションウィーク 2027年春夏メンズコレクションガイド — 夏を多角的に捉える視点 vol.2
※コレクション発表順
AMIRI/アミリ
<AMIRI>が、カルー・デュ・テンプルに夜のハリウッドの幻想的なムードを映し出し、2027年春夏メンズ&ウィメンズコレクション「American Pleasures」を発表した。夕暮れのマリブから真夜中のビバリーヒルズへと移動する人々を描き、カジュアルとフォーマル、公と私を行き来する装いを、なだらかな肩と身体を流れるソフトテーラリングで構成した。デニムとテーラードジャケット、千鳥格子やヘリンボーンに柄や刺繍を重ね、ルレックス糸を織り込んだシルクやリネン、虹彩効果を加えたツイードやグレンチェック、メタリックピンストライプを用いた。フォーチュンクッキーのように折り畳んだ「AMIRI Biscotto」バッグや、<Spinelli Kilcollin(スピネリキルコリン)>と制作したファインジュエリーを加えた。マイク・アミリは、アメリカらしい気楽さをグラマーと結びつけ、直感的で衝動的、パーソナルでありながら気取らないエレガンスを、人々の着る喜びを体現するコレクションへと昇華した。
Yohji Yamamoto POUR HOMME/ヨウジヤマモト プールオム
<Yohji Yamamoto POUR HOMME>が、2027年春夏コレクションを発表した。ランウェイ中央に赤と青の液体を収めたシリンダーを吊るし、モデルたちはそのあいだをゆっくりと歩きながら手を添え、ときに揺らす所作を交え、身体と衣服、人と人との関係性へ静かな視線を向けた。肩をハトメで引き寄せたセットアップ、装飾として配された無数のボタン、テーラリングに溶け込むレース、シルクベルベットのデヴォア加工、ダメージニット、西洋画を用いた刺繍、かすれたメッセージプリントなど、多彩な素材と手法が連続して登場した。衣服の輪郭や素材、装飾の一つひとつを積み重ねながら、揺らぎを抱えた人間の姿へ穏やかな眼差しを向けた。
Yohji Yamamoto POUR HOMME 2027SS COLLECTION RUNWAY
SYSTEM/システム
<SYSTEM>が、パリ・マレ地区のフランス国立公文書館博物館で、2027年春夏コレクション「SEEKER : The Journey」を発表した。ヘルマン・ヘッセの小説『クヌルプ』の主人公を着想源に、旅を続けながらも自らの品格を保ち、どこにも完全には属さない一人の旅人の姿を軸として、時間とともに着る人になじむ衣服や静かな動きを描いた。リラックスしたHラインジャケットやシガレットパンツ、自然に流れるドレープを中心に、ブラウンやカーキを基調としたニュートラルカラーにバイオレットやオリーブグリーンをアクセントとして添えた。密度の異なるコットンやソフトジャージー、軽量機能素材、ウォッシュ加工を施した素材によって、時の積み重ねを感じさせるナチュラルな表情を生み出した。旅の中で過ごした時間が自分らしさを形づくるという考えをテーマに据え、時間とともに積み重なる痕跡や動きを通して、ありのままの自分として存在することを表現した。
SYSTEM 2027SS COLLECTION RUNWAY
Dries Van Noten/ドリス ヴァン ノッテン
<Dries Van Noten>が、ステファヌ・マラルメの詩『半獣神の午後』を着想源に、ジュリアン・クロスナーによる2027年春夏メンズコレクションを発表した。夏の熱気と木々に包まれた午睡の情景をたどり、現実と空想が溶け合う曖昧さを、脱ぎやすく、風を含み、肌を掠める流動的なワードローブへと移した。シアーなトレンチコート、ウォッシュ加工したポンジーシルクのパーカー、袖を切り落としたハンティングジャケット、深いネックラインのトップス、ボクサーショーツのような短いボトムを重ね、アプリコットやサンドベージュから鮮烈なグリーン、ブルー、ブラックへと色を移した。雲状に漂白したデニム、枝葉や湖面のプリント、スパンコール、レオパードやパイソン柄を差し込み、ビールキャップや鍵、ネジ、小枝を連ねたチェーンジュエリーまで自然と日常の断片を集めた。見慣れたメンズウェアの輪郭をほどきながら、目覚めとともに消える夢のような官能性と、自然のなかで得られる安らぎを服の軽さに託した。
Dries Van Noten 2027SS MEN’S COLLECTION RUNWAY
Maison MIHARA YASUHIRO/メゾン ミハラ ヤスヒロ
<Maison MIHARA YASUHIRO>が、身体から離れない夏の記憶を題材に、2027年春夏コレクション「ENDLESS SUMMER」を発表した。三原康裕が語る、早く終わってほしいと願いながら再び待ち侘びてしまう夏の矛盾を背景に、これまでのコレクションよりもシンプルでエレガントな方向へ全体を整えた。重ね着を思わせる構造のTシャツやポロシャツ、胸元を深く開けたシャツ、落ち感のあるテーラードを、ベージュやグレー、生成りを軸とした穏やかな色調で構成し、ゆとりのあるシルエットに厚底シューズやスニーカーを合わせた。白い雲や青空、砕ける波の音、開放感によって緊張をほどかれる感覚を、夢や挫折を経ても身体にまとわりつく記憶として扱い、子どもの頃から続く夏との切れない関係を服に残した。
Maison MIHARA YASUHIRO 2027SS COLLECTION RUNWAY
KIKO KOSTADINOV/キコ・コスタディノフ
<KIKO KOSTADINOV>が、アゴスティーノ・ボナルミの彫刻的なモノクローム作品を着想源に、2027年春夏コレクションを発表した。前シーズンのミニマルな幾何学的フォルムをさらに発展させ、プリントや装飾を排し、内部のボンディング構造や隠された留め具によって、布の内側から膨らみや湾曲を生む構造に焦点を当てた。シルクウールに密なステッチを施した日本製スーツ、ポリウレタン加工のデニムジャケットやショーツ、ドレープジャージーやシルクヌバックによるロングチュニック、ファネルネックのオーバーサイズパジャマシャツを展開。ひし形のネックガードやラペル、裾の留め具、一枚革を折りたたんだクロスボディバッグ、<OAKLEY(オークリー)>とのバイザー型アイウェア、<CROCS(クロックス)>とのレザー×メッシュ仕様の新作も登場した。素材に既成のイメージを与えるのではなく、光と影や素材の可塑性を通して素材そのものからイメージやフォルムを引き出すという思想のもと、服づくりを絶えず学び直し問い直す姿勢を、細くシャープなシルエットと抑制されたディテールに反映した。
KIKO KOSTADINOV 2027SS MENS COLLECTION RUNWAY
ZIGGY CHEN/ジギー チェン
<ZIGGY CHEN>が、時間の経過によって刻まれる痕跡や日常に漂う空気感を着想源に、2027年春夏コレクション「AMBIEPOSE」を発表した。日常を感覚的に捉える「Ambience」と、用途と意図のあわいを示す「Purpose」を軸に据え、時間の経過によって刻まれる痕跡や、作り手と着る人との繊細な関係性をコレクション全体で表現した。リネンやシルク、やわらかなコットンジャージーを中心に、リネンメッシュやデニム、レザーへ展開したオープンワーク、リネン本来の色味や霞んだブルーグレーを基調とする低彩度のカラーパレット、「Dirty Rain」に枯れた花のモチーフを重ねたプリント、動きやすさを備えた抑制されたシルエットが並んだ。色褪せやシワ、使用の痕跡をまとったような素材表現を通して、時間そのものを衣服の一部として捉え、着る人とともに変化しながら日常に寄り添う衣服の価値を提示した。
ZIGGY CHEN 2027SS MENS COLLECTION RUNWAY
kolor/カラー
<kolor>が、異なる文化や背景を持つ人々との協働を軸に、2027年春夏コレクション「Aliens」を発表した。デザイナー自身が日本で生まれ、ベルギーで服づくりを学んだ経験を起点に、音楽へ台湾のMONG TONG、柄の制作へギリシャを拠点とするKlaus Schmidt、グラフィックへ中国出身で日本を拠点に活動するYang Boを迎えた。ピンストライプのスーツやテーラードをベースに、ボタンの配置やネックラインをわずかにずらし、鮮やかなウエストバンドや毛皮柄、ウエスタンヨークを差し込みながら、見慣れた服の輪郭を少しずつ変化させた。国籍や文化の異なるクリエイターとの協働を制作の土台とし、他者との違いを受け止めながら共にものづくりを進める姿勢を、「Aliens」というテーマに重ね合わせた。
kolor 2027SS COLLECTION RUNWAY
- Edit & Text : QUI Editorial Team







