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【BEHIND THE RUNWAY】ORIMIが初のランウェイショーに込めた想いとは

Nov 2, 2024
2024年10月10日(木)に、<ORIMI(オリミ)>がブランド初のランウェイショーを「AOYAMA GRAND HOTEL」にて開催。ショー前後のバックステージで、デザイナーをはじめ、ショーに携わるクリエイターにインタビューを敢行した。ショーに込めた想いや開催までの過程など、ここでしか読めないリアルな声をおとどけする。

【BEHIND THE RUNWAY】ORIMIが初のランウェイショーに込めた想いとは

Nov 2, 2024 - FASHION
2024年10月10日(木)に、<ORIMI(オリミ)>がブランド初のランウェイショーを「AOYAMA GRAND HOTEL」にて開催。ショー前後のバックステージで、デザイナーをはじめ、ショーに携わるクリエイターにインタビューを敢行した。ショーに込めた想いや開催までの過程など、ここでしか読めないリアルな声をおとどけする。

2024年10月10日(木)に「AOYAMA GRAND HOTEL」にて<ORIMI(オリミ)>が初となるランウェイショー形式にて最新コレクションを発表した。デザイナーの折見健太は、ファッション好きなQUIの読者ならばご存知の方も多いであろうショップ「THE ELEPHANT」のオーナーも務める。折見は18歳の頃から学業の傍らヴィンテージショップのバイヤーとしてそのキャリアをスタートした。その後、新店舗の立ち上げ、ディレクション、商品企画を経験し10年という節目に独立を果たした彼は、当時の心境を「ごく自然なもの」と以前のインタビューで語ってくれた。今回初となるファッションショーを開催する契機には長年、東京のファッションをみつめてきた彼の視座が生んだ“東京的な表現”を形にできたという2024秋冬シーズンのルック撮影を経て、クリエイターチーム全体で自然とファッションショーを意識していったと話す。目まぐるしく変化するファッションという潮流の中で、折見が羨望の眼差しで見つめ続けるのは、ノスタルジックでエモーショナル、リアリティがありながらもどこか空想的な東京のファッションだ。

今回のショーでは、スタイリストにDaichi Hatsuzawa、ヘア・ヘッドピース制作にMikio、メイクアップアーティストにDASH、バックステージムービーにKodai Ikemitsuと2024秋冬のルック撮影と同様のクリエイター陣が編成され、ショーの開催を共に望んだ折見が信頼をおくチームによって実現した。全25体のルックはブラック、グレー、ベージュを基調にモノトーンで構成され、クラシックなテーラードからキュートな像型の立体的なバッグ、2024秋冬シーズンが地続きであることを証明するルーズなシルエットのデニムパンツなどが登場した。今回のコレクションでは脱構築的なアプローチに挑戦し、普遍的なアイテムをひっくり返したり、拡張させて折り畳んだりと独自の視点と発想で奏でられた奇妙なリズムが繰り広げらている。折見自身に多大な影響を与えた2000年代の東京・原宿のファッションやカルチャーは、現在のブランドのクリエイションでも意識していると話し、“憧憬の念”と“新たなファッションを創造する”ことへの交錯する思いを「自分が見てきた東京の表現というのを、今この年齢とタイミングでやったらこうなるみたいな、東京のストリートのスタイルをモダンにをアップデートしながら続けている感覚。」と語った。


ORIMI 2025SS COLLECTION RUNWAY

2025春夏コレクションは「DISARM(武装解除)」というテーマのもと、クリーンな印象と反対に抑圧されて窮屈さを感じる東京の陰が表現された。ファーストルックで登場した逆さまに着用しているトラッカージャケットは、鎖骨部分のベルトのデザインが拘束器具のように身体を締め付けているようにも捉えられ、ダメージ加工が施されたフーディーやニットカーディガンはそういった環境下に反発する意思表示とも受け取れる。一方で、頭から覆い被さるように着用されたTシャツや2枚のシャツをドッキングさせたシャツは、モデルが歩くたびに変化するシルエットや揺れ動く袖、背面の膨らみが変容する街とファッションの軽快さを彷彿とさせた。

常にブランドとしてステップ バイ ステップで成長していきたいと話した折見は、今回のバックステージに<ORIMI>の生産を支える工場長を招いたと話す。「ブランドを運営する上で根幹となるもの作りに関わる生産背景の方々、私のやりたいことを理解し表現するクリエイティブチーム、そしてお客様に商品を届ける社内の販売チーム、全てのセクションの方々への感謝と連携を大切にしながら絶えずブランドをデベロップしていきたい。」そう語る彼の眼差しは、次の構想を考えているかのようにしっかりと未来を見据えている。

<ORIMI>というブランドを通して見えてくる“東京のファッション”。絶えず変化していく街や人と一体化するように常に進化を遂げるブランドの魅力はクリエイションだけでなく、それを支える多くの仲間たちによって実現しているように思えた。憧れを咀嚼し、新たなカルチャーを創り上げる折見の視線と感覚、そしてそれを信じてついていく仲間たちの旅はまだ始まったばかり。これからもまだ見ぬ飽くなき探究は続いていく。

デザイナー 折見 健太 インタビュー

― 今回、ショーという形式で最新コレクションを発表した経緯を教えてください。

2020年から4年間ブランドを運営してきて、今回初めてショーという形式で発表したきっかけには2024秋冬シーズンでのルック撮影をする中で、クリエイターチーム全体でも“次はショーをやろう”といった空気感が出来上がっていたので自然な流れでしたね。あとは、音楽に合わせて人の歩き方だったりちょっとした仕草も含めた総合的な表現をしたいという欲もありました。

― 2025春夏コレクションのテーマを教えてください。

自分を抑制しなければいけない目に見えない圧力のようなものを東京に感じるところがあって、クリーンな雰囲気とは反対の東京のカオスな部分に焦点を当てました。2024秋冬シーズンから継続してミニマルだったり均質性を持たせることへの意識があり、色味もすごく抑えて表現しています。その中でうちに秘める反骨精神や表現欲が溢れ出ているようなコレクションを作りたかったです。

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スタイリスト Daichi Hatsuzawa インタビュー

― 折見さんとのショーの準備を進めるにあたって印象に残っているエピソードを教えてください。

折見さんからお話しを頂いてからショー当日まで、お互いにアイディアを出し合って打ち合わせを重ねて行きました。方向性をまとめていった過程が楽しかったです。

― ショーのコンセプトや世界観をスタイリングではどのように落とし込みましたか?

今回、折見さんの中で表現欲をあえて抑えていたので絞られたカラーパレットのアイテムたちの中でメリハリをつけ
るために肌の出方や分量を意識しました。また、きちんと綺麗に着せるところと少しツイストさせるところのバランスも考えました。

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キャスティングディレクター Kosuke Kuroyanagi インタビュー

― 折見さんとのショーの準備を進めるにあたって印象に残っているエピソードを教えてください。

初めてのショーとのことで各クリエイターの皆様と一緒に相談しながら進めているのが印象的でした。折見さんがどういうイメージやテーマを思い浮かべ、どういう洋服をどのような人物像に着てもらいたいのかをお話し頂きながら一緒に進めていきました。

― ショーのコンセプトや世界観をキャスティングではどのように落とし込みましたか?

折見さんの視点を軸に<ORIMI>をそのまま表現してくれるモデルを考えました。洋服はタイトなものが多くヘッドピースのアクセントが入るので、モデルたちのヘアも気にしていきながらキャスティングを行いました。

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@k_kuroyanagi

メイクアップアーティスト DASH インタビュー

― 折見さんとのショーの準備を進めるにあたって印象に残っているエピソードを教えてください

折見さんが持っていた全体像があったので、そのイメージに向けて進めさせて頂きました。

― ショーのコンセプトや世界観をメイクアップではどのように落とし込みましたか?

今回は人間味を消すというコンセプトでしたので、個々のモデルの肌は活かしつつナチュラルに見える様にミニマルに仕上げました。人間が持つ赤み、青み、くすみをメイクで抑え、モデル全員が並んだ時に一体感を感じられる様に仕上げたところがポイントです。

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@dash.0627

ヘアスタイリスト MIKIO インタビュー

― 折見さんとのショーの準備を進めるにあたって印象に残っているエピソードを教えてください

2024秋冬シーズンのルック撮影中、モデルを歩かせた時に自分と折見くんが同時に「次のシーズンはショーでやろう。」 と確信した瞬間がありました。その時の感覚を元に今回のショーではどう見せるかを考えました。

― ショーのコンセプトや世界観をヘアではどのように落とし込みましたか?

全体像やコンセプトを聞いてウィッグが目にかかるイメージが浮かび上がりました。全体の印象がダークになりすぎないように<ORIMI>の遊び心を針金の王冠で表現しました。

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@mikioaiz

音響  MARS  インタビュー

― 折見さんとのショーの準備を進めるにあたって印象に残っているエピソードを教えてください

コーヒーを飲みながら最初のミーティングを行ったのですが、服飾を学んで今は音楽をやっている私と、音楽がずっと好きで服を作っている彼とでは共通する部分も多く、マグカップが乾く頃にはすでに作る曲の全体像がなんとなく見えていました。複数のカルチャーに接してきている者同士で言葉のニュアンスなどもキャッチしやすかったように思います。

― ショーのコンセプトや世界観を音響ではどのように落とし込みましたか?

今回のショーを構成するゴシックな世界観の中で、対立するいくつかの要素を表現しました。例えば、「クラシカルとアヴァンギャルド」、「肉体的と人工的」、「開放的と抑圧的」などです。そこに、若いエナジーのようなものを入れ込みました。振動が比較的伝わりやすそうな木製の床にスピーカーが1箇所という会場設計だったので、モノラルのような鳴り方を意識して、左右の広がりではなく、低音を用いた音の圧力の緩急で表現することを考えました。「肉体的と人工的」という対比にも繋がるように人工物であるスピーカーを一つの音を出す有機的な生命体のように捉えて音のパーツを配置しました。

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@mars89.unlimited


 

 

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ORIMI

<ORIMI(オリミ)>は、2020年末に立ち上がった新鋭ブランド。デザイナーである折見健太自身の10年以上のアパレル業界での経験を活かし「Superfine garment for all the outsiders」をコンセプトに異端者のためのラグジュアリーなベーシックウェアを展開している。

ORIMI 2025SS COLLECTION はこちら
@kentaorimi

  • Photograph : Fumiya Hitomi
  • Edit : Miwa Sato (QUI)

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