飯豊まりえ – 日々の視点を書きとめるように


データでなく、モノとして残すことが好き
― 今回、写真展を開催することになったきっかけからお聞かせください。まず、LUMIXさんからの提案があったそうですね。
はい。でも私は自分がカメラで撮った写真をSNSにあげることがあまりなかったので、なんでカメラ好きだということを知ってくださったのか不思議で。そうしたらなんと、私が2年前に出した写真集『かの日、』のファーストページの写真、そこでカメラを構えている私を見つけて、「もしかして飯豊さんってカメラ好きなのかな」と、賭けみたいな感じでお声がけしてくださったんです。それで「正解です! 私、カメラ大好きなんです」と(笑)。
でも、「まさか」という気持ちも大きいですね。私は小学生のころからファッションの仕事をしてきて、ずっと撮られる側としていろんなプロのカメラマンさんに会ってきました。でも自分はカメラの技術的なことを習ったことも学んだこともなく、本当に趣味でやってきたので、個展っていうのは恐れ多いなと……。でもせっかく機会をいただいたので、しっかり楽しんでみようという気持ちで取り組ませていただきました。

― そもそも写真に興味を持ったのは?
写真を撮り始めたのは、小学3年生ぐらいかな。父が運動会や家族旅行で撮影するためにコンパクトカメラを買ってきたんですけど、結局ほとんど私が持ち歩くようになりました。友だちや家族を撮って、その写真を家でプリントしてアルバムを作るのが趣味で。
― 最近は写真を撮ってもデータのままという方が多い気がしますが、ちゃんとプリントされていたんですね。
撮った写真をデータで持っておくのでなく、私はモノとして残すことが好きで、そういう意味でフィルムカメラを使っていた時期もありました。スマホやガラケーで撮るよりも、カメラという道具自体が好きなんですよね。

― どんな写真に惹かれますか?
プライバシーの問題もあるので実際にはなかなか撮れませんが、街の風景やそこにいる人を切り取った写真がすごく好きです。静かな写真も好きなんですけど、自分が撮った写真でも人が入っていると見返すことが多いです。人が写っていると、その時の記憶を書きとめていつでも思い出せるような感覚があります。
― その人が何を考え、どこへいくのか、ストーリーを膨らませる余白があることも写真の魅力ですよね。
切り取られた瞬間だけじゃなくて、写真には写っていない部分のドラマを想像したり、当時の私はこういう視点を持っていたんだなって見返すことも好きです。
― 撮ること自体にも楽しさを感じますか?
そうですね。カメラで撮っていると、普段とは違う視点になってくるし、目に見える色合いまで変わってくるところは面白いなって思います。あとはやっぱり撮った写真を見返す時間や、その写真をとっておくこと自体が好きですね。

戸惑うより、その場にいることを楽しむ
― 俳優さんには写真が好きな方が多いイメージがあります。
多いですよね。写真を仕事にしている方もいますから。
― お芝居と写真には通じるところがあるのでしょうか?
どうなんだろう。でも私は撮られるのが嫌じゃないんですよね。最初は歯を出して笑うこともできないぐらい恥ずかしかったけど、今はもう慣れて。自分が撮るのも好きだからこそ、カメラの前に立つときはこうしたら素敵かなと考えて動く。カメラマンさんと、その瞬間その瞬間での遊びみたいな感覚で共鳴できたら楽しいです。
― 同じ表現でも、動画と静止画ではかなり違ってきそうです。
そうですね。私は動いている人がストップモーションのように写っているのが好きで、だから自分もカメラの前に立つとめっちゃ動いちゃう。よく「動きが早い」って言われるんで、最近はなるべくゆっくり動こうと心掛けています(笑)。

― たまに写真を撮ってもらうときに、緊張して目をつぶったり、硬くなったりしてしまうんですけど、上手な撮られ方のアドバイスをいただきたいです。
カメラを意識しちゃいますよね。でも戸惑うより、楽しんでその場にいることがいい写真につながる気がします。だから常に自然体であり続けることを意識する。あえて何もしないようにする。
― 何もしないというのが一番難しい……。
それは映像においても永遠の課題で。どうしても頭で考えてしまうことを、どうにかして取り除くということなのかな。
― 撮る側としても何もしていない瞬間を切り取りたい?
顔を決められると、途端にシャッターが切れなくなります。私をよく撮ってくれているカメラマンさんは、そういうときにシャッターを切ることで、こちらの表情を切り替えてくれます。
シャッターボタンを押すたびに絵が変わる、子供用のカメラのおもちゃがあるじゃないですか。私の中ではそういう感覚で、カシャッって音がなるたびにいろいろ変えていいっていうスイッチみたいな感覚があって。そういうことを繰り返していく中で、奇跡が起きたらいいなと思っています。

そのときの視点を見返すための覚え書きのような感覚
― 今回はLUMIX S9を約2ヶ月間にわたって使用されたということですが、使い心地はいかがでしたか?
使い心地がよすぎて、痒いところにこんなに手が届くものなんだなって。そりゃあもう、広めたいなと。
― フルサイズなのにコンパクトで、デザインもいいですよね。
昔のカメラみたいな感じもあっておしゃれだし、一眼だからいろんなレンズで遊べるのもうれしい。それにモニターが明るくきれいで、タッチパネルになっていてピントを合わせるのも簡単です。動画も美しく撮れてびっくりしました。
あとはスマホアプリの「LUMIX Lab」と連携して、自分好みのフィルターをリアルタイムで反映できる機能もあって、気軽に思い通りに撮れるんです。
― 今回も活用されましたか?
統一感を出したかったので、舞台裏はモノクロで撮ることを決めていました。ただモノクロといっても、黒をこっくり出したり、柔らかい黒を出したり、光と影を強調したりといろんなモードがあるんです。

― では最後に、今回の写真展の見どころについて教えてください。
「日々の裏地。或いは、覚え書き。」というタイトルなんですけど、自分が写真を撮る行為は、そのときの視点を見返すための覚え書きをしているような感覚があって。
普段SNSにもこういう生活の一部のような写真は載せておらず、自分だけで大切にしているものだったりもします。ふらっと立ち寄って、飯豊はこんな写真を撮っているんだぐらいの軽い気分で見てもらえたらうれしいです。
― 普段はあまり見せていない、飯豊さんの視点を追体験できると考えると素敵ですよね。
私自身も、大きく引き伸ばした自分の写真をギャラリーで見られるのが楽しみです。

Profile _ 飯豊まりえ(いいとよ・まりえ)
1998年1月5日生まれ、千葉県出身。俳優・モデル。近年の主な出演作に、「岸辺露伴は動かない」シリーズ(20-25/NHK・映画)、「何曜日に生まれたの」(23/EX)主演、「オクトー ~感情捜査官 心野朱梨~」シリーズ(22・24/NTV)主演、「シバのおきて~われら犬バカ編集部~」(25/NHK)、「マイクロバスと安定」(25/竹生企画)などがある。ファッションモデルとして女性誌で幅広く活躍しており、現在『Oggi』専属モデルとTOD’sフレンズを務めている。多彩な表現力で魅せる演技と透明感あふれる存在感が幅広い層から支持されている。
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Information
飯豊まりえ写真展「日々の裏地。或いは、覚え書き。」
会期:2026年1月30日(金)〜 2月12日(木)11:00~19:00(月曜日定休)
会場:LUMIX BASE TOKYO 東京都港区南青山2丁目11-17第一法規ビル1F
観覧料:無料
主催:パナソニック株式会社
企画・構成:J.K.Wang
協力:avex management agency
※会期終了後、一部作品をオンラインにて販売を予定しています。
※観覧に事前予約は不要です。

- Photography : Momoka Omote(guilloche)
- Styling : Chisato Takagi
- Hair&Make-up : Hoshino Kanako
- Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI)