いま行くべきアートイベント|2025年5月
名和晃平の個展「Sentient」がSCAI THE BATHHOUSEにて開催
名和晃平 《Cells in the Grotto》2025、 ミクストメディア、455 × 955 ×495 mm 撮影: 表恒匡 協力:SCAI THE BATHHOUSE
「Sentient(=意識・感覚のある)」と題された本展では、テクノロジーと生態の変化が加速する現代社会において、名和が20年にわたって探求してきた“知覚と情報の相互作用”というテーマをさらに深化させる。
展示されるのは、およそ20点に及ぶ彫刻作品。それぞれ独立した台座に置かれ、70年代のブラウン管テレビや飾り馬、石膏像など、異なる時代や地域の美意識を象徴する多様なオブジェが並ぶ。中には、生け花や燃え続けるロウソクといった時間的な要素を含む素材も取り入れられている。
名和 晃平(Kohei Nawa)
1975年生まれ。京都を拠点に活動。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。2009年「Sandwich」を創設。名和は、感覚に接続するインターフェイスとして、彫刻の「表皮」に着目し、セル(細胞・粒)という概念を機軸として、2002年に情報化時代を象徴する《PixCell》を発表。 生命と宇宙、感性とテクノロジーの関係をテーマに、重力で描くペインティング《Direction》やシリコーンオイルが空間に降り注ぐ《Force》、液面に現れる泡とグリッドの《Biomatrix》、そして泡そのものが巨大なボリュームに成長する《Foam》など、彫刻の定義を柔軟に解釈し、鑑賞者に素材の物性がひらかれてくるような知覚体験を生み出してきた。近年では、アートパビリオン《洸庭》など、建築のプロジェクトも手がける。 2015年以降、ベルギーの振付家/ダンサーのダミアン・ジャレとの協働によるパフォーマンス作品《VESSEL》《Mist》《Planet [wanderer]》の三部作を制作。 2018年にフランス・ルーヴル美術館 ピラミッド内にて彫刻作品《Throne》を特別展示。 2023年、フランス・セーヌ川のセガン島に高さ25mの屋外彫刻作品《Ether (Equality)》を恒久設置。
Sentient
アーティスト:名和 晃平(Kohei Nawa)
会期:2025年4月22日(火)~7月12日(土)
開廊時間:12:00~18:00
休廊日:日・月・祝日
会場:SCAI THE BATHHOUSE
住所:〒110-0001 東京都台東区谷中6-1-23
TEL:03-3821-1144
公式サイト
アーティストユニットmagmaの個展「OTOGIBANASHI BEYOND」が、銀座 蔦屋書店にて開催
magmaは、ともに武蔵野美術大学空間演出デザイン学科を卒業した杉山純と宮澤謙一が、在学中に結成したアーティストユニット。作品制作のほか、家具やプロダクト、空間演出・制作などのクライアントワークも数多く手掛けており、彼らは、廃材や樹脂、電動器具などさまざまなパーツを素材として組み合わせながら、立体作品を制作している。
本展では、「おとぎ話」をテーマにした新作立体作品約20点を発表。人々が持つ多様な「おとぎ話」のイメージを表現する。
magma
杉山純と宮澤謙一によるアーティストユニット。
廃材や樹脂、電動器具などを組み合わせて創りだす独自の世界観で、作品制作にとどまらず家具やプロダクト、空間演出ディレクション・制作まで幅広く手がける。どこか懐かしさを覚えるアナログ感とクレイジーな色彩が融合した作品群は、国内外から注目を集めている。
magma 個展「OTOGIBANASHI BEYOND」
会期:2025年4月26日(土)~5月14日(水)
時間:11:00~19:00 ※最終日のみ18:00閉場
定休日:月曜日
会場:銀座 蔦屋書店 FOAM CONTEMPORARY
協力:imura art gallery
入場:無料
特集ページ
鈴木ヒラク「海と記号」展がポーラ ミュージアム アネックスにて開催
海と記号 #06 2025 シルバーインク、顔料、土、アクリル、キャンバス│200 x 145 x 5cm (16点組) photo by Ooki Jingu © Hiraku Suzuki Studio
本展では、瞑想的な深海や宇宙を想起させる青を背景に、シルバーの記号が浮かび上がる16点組の大型連作《海と記号》(2025年)を中心に、新作映像インスタレーションやコラージュ作品《Casting (Ocean)》なども併せて展示される。
《海と記号》は、円環状に配置された大型キャンバス上に、水中を漂う発光プランクトンや細胞分裂、さらには超新星の爆発を想起させるような記号の群れが躍動する作品群。銀色に反射するインクは、液体や粒子のように散りばめられ、ミクロとマクロ、生成と消滅の連続を映像的に描き出している。
鈴木ヒラク
1978年生まれ。アーティスト。東京芸術大学大学院修了後、シドニー、サンパウロ、ロンドン、ニューヨーク、ベルリンなど各地で滞在制作を行う。主な個展に『今日の発掘』群馬県立近代美術館(群馬、2023年)がある他、これまでに金沢21世紀美術館(石川、2009年)、森美術館(東京、2010年)、銀川現代美術館(中国、2016年)、MOCO Panacée(フランス、2019年)、東京都現代美術館(東京、2019年)など国内外の美術館で多数の展覧会に参加。2016年よりドローイング研究の国際的プラットフォーム『Drawing Tube』を主催。作品は金沢21世紀美術館、東京都現代美術館の他、アニエスベー・コレクション(フランス)やロンドン芸術大学(イギリス)などに収蔵されている。作品集に『SILVER MARKER―Drawing as Excavating』(HeHe、2020年)など、著書に『ドローイング 点・線・面からチューブへ』(左右社、2023年)がある。
海と記号
会期:2025年4月25日(金)– 6月8日(日) 会期中無休
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
住所:〒104-0061 中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
時間:11:00 – 19:00 (入場は18:30まで)
入場料:無料
「LOVE ファッションー私を着がえるとき」展が、東京オペラシティ アートギャラリーにて開幕
Comme des Garçons トップ、パンツ 2020年春夏 撮影:来田猛 ©京都服飾文化研究財団
私たちが日々身にまとう「ファッション」という営み。その奥には、憧れや自己表現、自由への欲望など、多様で複雑な「LOVE(愛・情熱)」が息づいている。この人間の根源的な営みにフォーカスした展覧会「LOVE ファッションー私を着がえるとき(英語タイトル:Love Fashion: In Search of Myself)」が、東京オペラシティ アートギャラリーで開催中。
本展では、京都服飾文化研究財団(KCI)が誇る18世紀から現代までの衣装コレクションを中心に、約130点におよぶ衣服・装飾品・アート作品を展示。ファッションに映し出された人間の多様な「LOVE」のかたちを、5つの章構成でひも解く。
LOVE ファッションー私を着がえるとき
会期:2025年4月16日(水)~6月22日(日)※60日間 会期中無休
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(ギャラリー1・2)
住所:〒163-1403 東京都新宿区西新宿3丁目20−2
開館時間:11:00〜19:00(最終入場18:30)
休館日:月曜(4/28、5/5は開館)、5/7休館
入場料:一般 1,600円[前売・各種割引 1,400円]、大高生 1,000円[800円]、中学生以下無料
公式サイト
「横尾忠則 連画の河」が、世田谷美術館にて開催
様々な手法と様式を駆使し、多岐にわたるテーマの絵画を生み出し続ける破格の画家・横尾忠則(1936-)。1972年のニューヨーク近代美術館での個展開催など、早くから国際的な知名度を得てきた作家ですが、近年ではその息の長い驚異的な創造力が注目を集めている。
2023年春、からだの衰えに淡々と応じつつ、テーマも決めずに大きなキャンバスに向かううち、横尾の「連歌」ならぬ「連画」制作が始まった。和歌の上の句と下の句を複数人で分担して詠みあうのが連歌だが、横尾は昨日の自作を他人の絵のように眺め、そこから今日の筆が導かれるままに描き、明日の自分=新たな他者に託して、思いもよらぬ世界がひらけるのを楽しんでいた。「連画」は、気づけば川の流れのなかにあった。遠い昔に郷里の川辺で同級生たちと撮った記念写真。そのイメージを起点に、横尾の筆は日々運ばれる。水は横尾の作品の重要なモチーフの一つだが、いま、その絵画世界は悠々とした大河となり、観客の前に現れる。さまざまなイメージが現れては消え、誰も見たことがないのになぜか懐かしくもある光景――生も死も等しく飲みこんで、「連画の河」は流れる。
150号を中心とする新作油彩画約60点に、関連作品やスケッチ等も加え、88歳の横尾忠則の現在が垣間見える。
横尾忠則
現代美術家。1936年兵庫県生まれ。1972年にニューヨーク近代美術館で個展開催。その後もパリ、ヴェネツィア、サンパウロの世界3大ビエンナーレに招待出品。アムステルダムのステデリック美術館、パリのカルティエ財団現代美術館、東京都現代美術館、東京国立博物館など、世界各国の美術館で多数の個展が開催される。2012年、神戸に横尾忠則現代美術館が開館。2013年、香川県豊島に豊島横尾館が開館。2000年、ニューヨークアートディレクターズクラブ殿堂入り。2015年、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。2023年、文化功労者、日本芸術院会員となる。
著書には小説『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(講談社エッセイ賞)、小説『原郷の森』など多数。作品はニューヨーク近代美術館、大英博物館など世界各国の主要美術館に収蔵されている。
「横尾忠則 連画の河」
会期:2025年4月26日(土)〜2025年6月22日(日)
会場 :世田谷美術館
住所 :157-0075 東京都世田谷区砧公園1-2
時間:午前10時~午後6時(入場は午後5時30分まで)
休館日:毎週月曜日 ただし、4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館。5月7日(水)は休館
世田谷美術館 展覧会詳細ページ
Instagram:@setagayaartmuseum
▼ニュース記事
川人綾の個展「綴るひかり」が、京都 蔦屋書店にて開催
ポーラ美術館展示風景画像 撮影:加藤健(Ken Kato)
川人綾は、京都での学生時代に日本の伝統的な染織を学んだことから、緻密な手作業の過程で否応なく生じる「ズレ」に着目し、そこから生まれる人間の制御を超えた美しさを絵画上で表現。
本展では、2024年より制作している綴織(つづれおり)をモチーフにした《CUT》シリーズの新作を15点と、万博会場に収めた作品の一部を試作したものを展示する。また、本展に合わせてこれまでの活動をまとめた作品集を刊行するとともに、エディション作品付きの特別限定版も販売。現在ポーラ美術館で開催中の展覧会「カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」に出展している作品を版画にしたものとなる。
川人 綾/Aya Kawato
1988年 奈良県生まれ
2011年 京都精華大学芸術学部素材表現学科テキスタイル卒業
2014年 パリ国立高等美術学校交換留学
2015年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現修士課程修了
2019年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現博士後期課程修了
現在 京都府を拠点に活動
川人綾「綴るひかり」
会期:2025年5月2日(金)~5月26日(月)
時間:11:00~20:00 ※最終日のみ18:00閉場
会場:京都 蔦屋書店 5F エキシビションスペース
主催:京都 蔦屋書店
協力:imura art gallery
入場:無料
お問い合わせ:kyoto.info@ttclifestyle.co.jp
特集ページ
「鴨治晃次 展|不必要な物で全体が混乱しないように」が、ワタリウム美術館で開催
《静物》2003/2013 水、グラス、アルミニウム板、作家蔵 photo: Hans-Wulf Kunze
本展は、現在もポーランドを拠点に活動を続け、今年90歳を迎える鴨治晃次の日本で初めての本格的な展覧会。1960年代から今日までに制作された約20点の絵画、9点の立体作品、80点のデッサン、3点のインスタレーションが展示され、鴨治の小回顧展としてポーランドのザヘンタ国立美術館とアダム・ミツキェヴィチ・インスティテュートによって企画された。
鴨治晃次
鴨治晃次(以下、鴨治)、戦後のポーランド芸術の主流を築いた、1960~70年代を代表する前衛芸術家の一人である。1935年東京生まれ、1953年から1958年にかけて武蔵野美術大学で麻生三郎、山口長男に師事。伯父の梅田良忠(東欧史学者、ポーランド文学翻訳家、ワルシャワ大学日本語講師)の話に影響を受け、ワルシャワ留学を決意。1959年、ポーランドへの船旅に出る。2ヶ月半の航海で感じた空間、水、空気の感覚はその後の鴨治の作品に大きな影響を与えた。1960年ワルシャワ美術アカデミー入学。著名な画家アルトゥール・ナハト-サンボルスキーのもとで学び始め、1966年に修了。1965年クラクフのクシシュトフォリー・ギャラリーでレシェック・ヴァリツキとともに初めての展覧会を開催。アカデミー卒業後、1967年には伝説的なフォクサル・ギャラリー(Foksal Gallery)(1966年設立)で活動を始め、その活動はポーランド現代美術の発展史において重要な役割を果たしてきた。ヘンリック・スタジェフスキ,エドワード・クラシンスキ、タデウシュ・カントル、ズビグニェフ・ゴストムスキなど当時のポーランドを代表するアーティストたちとともに、ポーランドの前衛アートシーンを積極的に創っていった。
「鴨治晃次 展|不必要な物で全体が混乱しないように」
会期:2025年4月8日[火]- 6月22日[日]
時間:11時より19時まで
休館日::月曜日(5/5開館)
会場::ワタリウム美術館
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-7-6
入館料:大人 1,500円 / 大人ペア 2,600円 /学生(25歳以下)・高校生・70歳以上の方・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳お持ちの方、および介助者(1名様まで)1,300円 / 小・中学生 500円
公式サイト
- Edit : Seiko Inomata(QUI)