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フィジカルで手に入れたい“ジャケ愛” コレクション | ディスクユニオンスタッフが教える、かけがえのない音楽 # 18

Feb 18, 2025
首都圏を中心にしながら、名古屋、大阪まで、音楽CD・レコード店を展開し、ビギナーからマニアまで多くの音楽ファンの絶大な支持を集める「diskunion(ディスクユニオン)」。ロックやソウル、ジャズ、JPOP、クラシックなど、さまざまなジャンルごとに精通したスタッフが在籍するのもディスクユニオンの大きな魅力になっている。ここではそんなマニアックなスタッフたちが毎月のテーマに沿って、おすすめのアーティストの作品を紹介していく。

連載第18回目となるテーマは、「フィジカルで手に入れたい“ジャケ愛” コレクション」

各ジャンルを担当する音楽マニアならではの深い知識と独断と愛情にあふれるリコメンドを楽しんでほしい。ここで見つけたディスクユニオンの“推し”が、あなたにとってかけがえのないライブラリーになることを願いつつ。

フィジカルで手に入れたい“ジャケ愛” コレクション | ディスクユニオンスタッフが教える、かけがえのない音楽 # 18

Feb 18, 2025 - MUSIC
首都圏を中心にしながら、名古屋、大阪まで、音楽CD・レコード店を展開し、ビギナーからマニアまで多くの音楽ファンの絶大な支持を集める「diskunion(ディスクユニオン)」。ロックやソウル、ジャズ、JPOP、クラシックなど、さまざまなジャンルごとに精通したスタッフが在籍するのもディスクユニオンの大きな魅力になっている。ここではそんなマニアックなスタッフたちが毎月のテーマに沿って、おすすめのアーティストの作品を紹介していく。

連載第18回目となるテーマは、「フィジカルで手に入れたい“ジャケ愛” コレクション」

各ジャンルを担当する音楽マニアならではの深い知識と独断と愛情にあふれるリコメンドを楽しんでほしい。ここで見つけたディスクユニオンの“推し”が、あなたにとってかけがえのないライブラリーになることを願いつつ。

小さな世界で奏でる無限の冒険「#3」

recommend by ディスクユニオン柏店 荒井 琴美さん
柏店のスタッフ。ELLIOTT SMITHが好きです。

アーティスト名:SUBURBAN KIDS WITH BIBLICAL NAMES
アルバム名:#3(2005/Labrador,Yesboyicecream,Minty Fresh)

スタッフのおすすめコメント:

スウェーデンのとある地域での話。そこに暮らすJohanとPeterは、大きな空から思いきり息を吸い込んで「わー!」と叫んだりしながら、どこまでも広がる野原を走りまわって、いつも遊んでいました。夕方になって疲れてくると、下を向いてゆっくり歩き始めます。ある日、足元に黒くて丸い1枚のレコードを見つけました。「これは。何ということだ。」「だれにもないしょの集会を開いていたんだ…」レコードの発見により、2人しか知らない物語の、秘密がひとつ明かされたようです。そして彼らは、わくわくする気持ちでいっぱいになるのでした…。終わり。

このジャケットには、そのような「限られた小さな世界での、無限の冒険」といった感覚が表れていると思いました。バンジョー、トロンボーン、トランペット、キーボード。サイケデリックな渋いギター、キラキラのギターポップ、C86的なガチャガチャした音。シンプルなドラム、素朴でかわいらしい打ち込みの音、ボイスパーカッションといった唯一無二の音。手の込んだたくさんの音色たちは、断片になって、とても独創的に組み合わされています。

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素朴なジャケットに響く爆音カヴァー集「MOWING THE LEAVES INSTEAD OF PILING ‘EM UP」

recommend by 商品部 ロック担当 松坂 貴亮さん
USインディとお菓子さえあれば問題無しのDJやりますなバイヤー

アーティスト名:WEDNESDAY (INDIE)
アルバム名:MOWING THE LEAVES INSTEAD OF PILING ‘EM UP(2024年/ORINDAL RECORDS)

スタッフのおすすめコメント:

注目の新イベント「rockin’on sonic」に出演する、USインディ最新の至宝&ソロ作『MANNING FIREWORKS』が大ヒット中のM・J・レンダーマンを擁するウェンズデイ。シューゲイザーとグランジを混ぜた爆音にカントリー方向メロディであっという間に人気者になった彼等は、ジャケットだって魅力的。

2022年作カヴァー集で最近再発された『MOWING THE LEAVES INSTEAD OF PILING ‘EM UP』はルーツに向いた内容なだけあって、ジャケットにも幼少期に描かれたような可愛いラフな絵が。普段音楽を聴かない人でも一目で心がキュッとなりそうな素朴で純粋な作風は、ウェンズデイの音楽性そのままではありませんか!スマッシング・パンプキンズ、メディスン、クリス・ベルと納得な選曲と爆音アレンジ、特にM・J・レンダーマンのギターは中毒性オンリー。ジャケット眺めながら聴きましょう。

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信藤三雄さんデザインがジャケ愛をかき立てる「FANTASMA」

recommend by ディスクユニオン大宮店 大浦 翔太さん
渋谷系、国内シューゲイザーなど、90年代以降の日本のアーティストが大好きです。もちろんインディー・オルタナも大歓迎。

アーティスト名:Cornelius
アルバム名:FANTASMA(1997/ポリスター)

スタッフのおすすめコメント:

Cornelius3枚目のスタジオアルバム【FANTASMA】。ジャケットは信藤三雄さんデザインによるものです。
Corneliusの音楽性に見事にデザインがリンクし、視覚的にもアーティストの世界観を表現しています。ジャケットから「どんな音楽なんだろう?」と期待が膨らむ一枚です。後追い世代の私もそのデザイン性に惹かれて、フィジカル作品として収集する気持ちを搔き立ててくれました。また、レコードは透明のアウタービニールに印字されたジャケット、盤はカラーヴァイナル仕様と細部までこだわりが感じられる1枚。パッとみただけでも「ジャケ買い」したくなるデザイン性にセンスの良さが光っています。私はリアルタイムで当時を体験することはできませんでしたが、90年代のCD黄金期は、フィジカル作品としてのデザイン性や素材、アイデアなど、パッケージングにかける一手間が音楽ソフトに新たな付加価値を与えていったのだと思います。

この作品がリリースされて四半世紀以上が経ち、現在はサブスク時代に突入しました。信藤三雄さんが遺した数々の作品は先進性やデザインに魅力があり、コレクションしたいと思わされます。「ジャケ愛」とは作品を所有することで新しい価値を再発見していくことなんではないでしょうか。

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チルアウトの極致、アンビエントテクノの名盤「Chill Out」

recommend by 商品部 ハウス/テクノ担当 山口 幸平さん
ハウス/テクノ関連新譜の商品管理や仕入れを担当。最近本を読み始めたが、図書館という施設の素晴らしさに感動している。

アーティスト名:The KLF
アルバム名:Chill Out(1990/KLF Communications)

スタッフのおすすめコメント:

The KLFの1990年作、Chill Outをご紹介します。牧歌的でゆる~いジャケットとタイトルからある程度想像できるかもしれませんが、聴いていて心地よいアンビエントテクノ名盤です。この印象的なジャケットはピンクフロイドのアルバム『原子心母』にて、イングランドのアートグループ・ヒプノシスが手掛けたジャケットのオマージュです(と言われています)。

私がこの作品と出会ったのは、あるテクノのディスクガイド本を読んでいた時でした。ジャケを見て、そして実際に聞いて、「こういう音楽もテクノに包含されるんだな」と思ったのを覚えています。実際に発売当時も、加熱し続けるレイブによる狂騒、体の限界まで踊り続ける当時のテクノシーンに一石を投じ、その後のテクノミュージックの裾野を広げた作品でした。もう一つポイントとして、この作品はエルビスやフリートウッド・マックなど、違法サンプリングマシマシ。もちろんサブスクでは聞けません。ですので是非1枚フィジカルで手に入れてご自宅で最高のチルタイムを過ごしてみてください。

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ポップアートに刻まれた“愛”とクラウトロックの鼓動「Japandorf」

recommend by 物流担当 稲垣 吉人さん
気になったものは何でも試しに聴く者です。メタル、パンク、プログレ、フリージャズ、サントラ、実験音楽など。一番好きなミュージシャンは浅川マキ。

アーティスト名:KLAUS DINGER+JAPANDORF
アルバム名:Japandorf(2013/GROENLAND)

スタッフのおすすめコメント:

【ジャケ愛】というテーマを見て、真っ先に浮かんだジャケットのアルバムがこれでした。白地にピンク色の字で愛と書かれた、シンプルでポップアートの意匠が濃いこのジャケット。さながらジャケット界の直江兼続とも言えるこの作品はジャーマン/クラウトロックの伝説的存在の一角、Klaus Dingerがキャリアの最晩年にデュッセルドルフ内にある日本人街で活動するミュージシャンと共に結成したグループによる作品です。

ジャケットからイメージされる通り、その内容はKlaus Dingerの関連グループから連なるリズムと音響にフォーカスし、プロトテクノとポストパンクを接続したNeu!流クラウトロック。そこにAi(愛)やUdon、Domo Arigatoといった日本語を交えた幕間/テーマが導入されており、アルバム全体により判り易くハートウォーミングな感覚が漂うものになっています。フロントメンバーのKlaus Dingerがこのアルバムの制作前に日本人妻をもうけた事もアルバムの内容に影響を与えたのかもしれません。現在フィジカルの入手はし辛いですが、上記に挙げたワードにピンとくる方にお勧めの1枚です。

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激情と孤高を刻む、佐伯祐三の面影「旅路ニ季節ガ燃エ落チル」

recommend by ディスクユニオン新宿中古センター 安保 さくらさん
新宿中古センタースタッフ。古いものが好きです。

アーティスト名:eastern youth
アルバム名:旅路ニ季節ガ燃エ落チル (1998/トイズファクトリー)

スタッフのおすすめコメント:

絵筆とパレットを持ち立ち尽くす人物。その表情ははっきりとせず、顔ごとナイフで削り取った跡がある…。

1924年佐伯祐三により描かれた「立てる自画像」をそのまま引用した形のアートワークです。魂をむき出しにしたような激しく直情的なサウンド、近代詩風の表現を織り交ぜて綴られるノスタルジックで内省的な歌詞、疾走感と憂鬱を併せ持つ孤高のバンドeastern youth。アルバム全体の雰囲気はもちろん、バンドそのものの持つ鋭く鬱屈した空気までもを包括したようなジャケットだと個人的に感じています。
このアルバムをきっかけに絵を手掛けた佐伯祐三について調べたリスナーも多いかと思います。パリにて夭折した佐伯の旅路を顧みつつ聴くと、このアルバムの持つ激情のより深い部分に触れられさえするような…。

LPだとジャケットサイズも大きい分、絵肌や筆跡の細かなディテールまで見られるのがかなり嬉しいです。ジャケット眺めながら聴いてると片面あっという間ですよ。


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純白に刻まれたミニマリズムの美学「THE LOVE MOVEMENT」

recommend by 商品部 ヒップホップ担当 二木 信さん
商品部ヒップホップ担当

アーティスト名:A TRIBE CALLED QUEST
アルバム名:THE LOVE MOVEMENT(1998/JIVE/LEGACY)

スタッフのおすすめコメント:

それまでのトライブのアルバムのジャケットには(ファーストはちょっと違うけれど)必ず『風の谷のナウシカ』の巨神兵を思わせる造形のキャラクターが描かれていた。ところが、この5枚目は真っ白なジャケット。リリースされたとき、まずそれが驚きでトライブの何かしらの声明に見えた。で、実際にアルバムを聴いて、真っ白なジャケットの意味するところが理解できたような気がした。

Q・ティップ、J・ディラ、アリ・シャヒードから成るプロダクション・チーム=The Ummahの作り出すミニマルなサウンド、硬質なビート、重みがありながらもつるりとした音質。そのムダなものをそぎ落としたミニマリズムは、真っ白なジャケットのイメージと完璧に符合していたのだ。


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「DIVE INTO MUSIC.」に込められた想い

世界中どこにいても同じ音楽を楽しむことができる今の時代に、ディスクユニオンは違和感を感じています。なぜなら、本来音楽というものは、ひとりひとりが自らの手で触れて、自らの脚で探して出会うべきものだからです。だからこそ私たちディスクユニオンは、見たことのない曲、聴いたことのない世界を求め、音楽の海へ飛び込んでいきます。そしてこの想いを「DIVE INTO MUSIC.」というスローガンに込め、お客様と共有して参ります。

diskunionHP:https://diskunion.net/
公式youtube:https://www.youtube.com/@diskunion_official
instagram:https://www.instagram.com/diskunion/

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