Ready Steady Go ! 2024 FUJI ROCK | ディスクユニオンスタッフが教える、かけがえのない音楽 # 13
連載第13回目となる7月のテーマは、「Ready Steady Go ! 2024 FUJI ROCK」
7月26日から28日まで新潟県湯沢町 苗場スキー場にて開催される"FUJI ROCK FESTIVAL'24"から必聴すべきアーティストを紹介。
各ジャンルを担当する音楽マニアならではの深い知識と独断と愛情にあふれるリコメンドを楽しんでほしい。ここで見つけたディスクユニオンの“推し“が、あなたにとってかけがえのないライブラリーになることを願いつつ。
キュートでフォトジェニックなポップ・アイコン レミ・ウルフ 「BIG IDEAS」
recommend by 商品部 ソウル担当 黒須 遊さん
20代からディスクユニオンに所属 / サックス奏者でありFUJIROCKではNoel Gallagherのバック経験もあるのは、噓のようで本当の話。
アーティスト名:REMI WOLF
アルバム名:BIG IDEAS(2024 / ISLAND)
日程:7月26日(金) 20:00 〜 21:00
会場:WHITE STAGE
スタッフのおすすめコメント:
グラストンベリーやコーチュラなど、世界の名だたるフェスでも大活躍の、キュートでフォトジェニックなポップ・アイコンがフジロックの1日目ホワイト・ステージに登場!
アメリカは、カリフォルニア出身のSSWは高校在学中に有名オーディション番組へ出演、その後も自由奔放に音楽を吸収し続ける「REMI WOLF」は、そのカリスマ性と破天荒なワードセンスでありながら、音楽性の高い楽曲と中毒性のあるメロディで今、最も注目するべきアーティストのひとりであり、2億回以上のストリーミング再生など、爆発的な人気を誇る。
そんな彼女の出来立てホヤホヤ2024年作をご紹介。近年ホットなスウィート・ソウル/ヴィンテージ・ソウル・スタイル/チカーノ、ローライダーによる「LOW & SLOW」をキーワードにした、スローで甘い「Motorcycle」や、ホーン隊やホイッスルがフェス映えするソウル、R&Bナンバー「Cinderella」、モダン・ブギー×ポップ・ナンバー「Toro」と唄うサビがヤミツキになる曲などなど、ソウル、ロック、ポップス、ディスコを飲み込んだ全曲キラーなアルバムとなっています。
あのホワイトのステージを、踊りながらの飛び跳ねるアグレッシブなライヴは、間違いなく今年のハイライトになると勝手に確信しています。観に行きたい!!
大貫さんの曲を聴きながら、穏やかな風を感じたい「MIGNONNE」
recommend by 商品部 日本のロック・インディーズ担当 四元 里穂さん
日本大学芸術学部在学中。J-WAVE WACODES10期生。
アーティスト名:大貫妙子
アルバム名:MIGNONNE(1978 / ソニー・ミュージック・エンターテイメント)
日程:7月26日(金) 14:20 〜 15:10
会場:WHITE STAGE
スタッフのおすすめコメント:
大貫妙子が苗場にやってくる! ということで、大変楽しみにしています。
『MIGNONNE』は「横顔」「突然の贈りもの」「海と少年」など、矢野顕子、竹内まりや、槇原敬之らがカヴァーした名曲が数多く収録された大貫妙子3枚目のオリジナル・アルバム。アレンジャーは坂本龍一と瀬尾一三が担当し、細野晴臣、高橋幸宏、鈴木茂等、豪華メンバーが参加しています。
私が日本の歌を好きになったきっかけが中学生のころに祖母の家のラジオから流れてきた「横顔」でした。「ミニヨン」というアルバムのタイトル名に相応しい(フランス語で「かわいい女の子」という意味)歌詞とメロディに心を打たれ、それから歌詞カードをじっくりと読むようになりました。
このアルバムで歌われている女性は、私とどこかにているなあ、と時々思うのです。お転婆で空想好き。しかし、彼女に全く及ばないところがあります。それは「芯」があるところです。何か思うことがあれば自分の気持ちに嘘をつかず、駄目なことを「駄目」と言えるような強さというか……。誰もがきっと、そんなふうに思ってしまうようなアルバムです。
フジロック当日は大貫さんの曲を聴きながら、穏やかな風を感じたいです。
巷では四畳半トロピカリアと呼ばれているチョコパ「tradition」
recommend by 商品部ハウステクノ担当 富樫 俊介さん
商品部ハウステクノ担当
アーティスト名:CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN
アルバム名:tradition(2024/CHO CO PA RECORDS)
日程:7月28日(日) 13:20 〜 14:20
会場:FIELD OF HEAVEN
スタッフのおすすめコメント:
ご機嫌になりたい貴方へ、チョコパの『tradition』を大推薦!
私はもともと好きで聴いていた細野晴臣さんのラジオ「Daisy Holiday!」で紹介されていたことがきっかけでチョコパ(CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN)を知りました。曲調はエキゾチック×電子音楽×日本文化というのがしっくりくる気がしていてユニークな土着的民族味あるパーカッションや民謡的言葉遊びから「トロピカル・ダンディー」、「泰安洋行」、「はらいそ」のトロピカル3部作にも近しいものを感じています。巷では四畳半トロピカリアと呼ばれていることにも納得がいきますね。
メンバーは小学生時代からの幼馴染で構成されている3人組。ちなみにベースのYUTAは細野さんのお孫さんとのことでその事実を知ったときは生まれ変わりなんじゃないかとビックリしました。作曲と映像を担当しているDAIDOはキューバへ留学していた経歴の持ち主でその経験から得た感性からもエキゾチックな南米特有のエッセンスがある気がします。サウンドエンジニアのSO含め旧友と夜な夜な集まって遊びながら音楽をやること自体が楽しくて今に至るというエピソードも含めて素敵なバンドです。
遊び心溢れている3人に共通してるのは音楽で人を笑わせたいという芸人魂的な部分があるそうで(ちなみに細野さんも常に笑いをとおっしゃっていました(笑))だからこそユニークで日本人離れしているご機嫌な音色がこの『tradition』では多く体現されているように感じます。
中でもおススメしたいのは太鼓を軸としたお祭り的サウンドスケープがなんとも渋いA1「秩父」。そして”スマートフォンはシャットダウンナウ、ダンシングタイム”という歌詞が秀逸すぎる東京ブギウギならぬA12「琉球 Boogie Woogie」の2曲です。まさに自分の機嫌は自分で取る!そんな背景があってもおかしくない陽気で踊り明したくなる素晴らしい作品に仕上がっています。たまにはスマホの電源をオフにしてノスタルジックかつ、幼少期のハレの日を思い出すかのように苗場の大自然に身を任せて楽しんで頂きたいです。
エキゾチック・サイケデリック・ディスコとでも例えたくなる音楽 イン・イン 「MOUNT MATSU」
recommend by 商品部 ロック担当 櫻田 健蔵さん
商品部 ロック担当バイヤー
アーティスト名:YIN YIN
アルバム名:MOUNT MATSU(2023 / GLITTERBEAT)
日程:7月27日(土) 25:30 〜 26:15
会場:CRYSTAL PALACE TENT
スタッフのおすすめコメント:
KHRUANGBINやGLASS BEAMSを彷彿とさせる東洋と西洋のテクスチャーが何層にも折り重なりブレンドされたエキゾチック・サイケデリック・ディスコとでも例えたくなる音楽を掻き鳴らすYIN YINの大きな特徴は何といってもその絶妙なチープで軽やかなバイブス。良い意味でのB級映画感を纏ったYIN YINの音は野性味が溢れすぎており、リアルなアジアの雑踏を写し鏡と例えたくなる程に緻密に細部まで表現しているような気がするのだ。惚れ惚れする程に魅入ってしまうしまう伝統的な文化を下地に、ネオンの甘くかぐわしい香りが蔓延する合う魅惑的な東南アジアの情景を、どうすればここまで精密にレコード盤の溝に閉じ込められるのかが不思議でならない。
彼らの最新作『MOUNT MATSU』は東南アジアから日本へとフォーカスを当てたかのような、我々日本人にとってはどこか懐かしさを感じる出来栄え。ただ「和」を描写した音の上で我々を躍らせるのではなく、サイバーパンクな世界観の中に表現されたどこか薄汚い近未来の歌舞伎町、いわゆるネオトーキョーの片隅で妖艶に躍るアンドロイドの芸者のような「近未来の和」、SFチックな日本を舞台に身体が自然と揺れ動くとんでもないアルバムであると強く感じる。
2024年7月28日の17:10~18:10が楽しみで成らない。邪な気持ちは一切入り込めない、ただと体を揺らし本能の赴くままに踊るためのディスコへと変貌を遂げるFIELD OF HEAVENは世界で一番ハッピーに満ち溢れた空間となる事は間違いなし!YIN YINが醸し出すエキゾッチクで唯一無二のメレンゲ並みに軽やかなグルーヴはすべての人を快く受け入れ能天気にしてくれるはず!
“令和のプログレスター”ブレイク直前の歴史的瞬間を目撃せよ!「曇ヶ原」
recommend by 商品部 プログレッシヴ・ロック担当 永井 明子さん
ディスクユニオン唯一のプログレッシヴ・ロック・レーベルArcangelo担当
アーティスト名:曇ヶ原
アルバム名:曇ヶ原(2021 / Arcangelo (ディスクユニオン))
日程:7月26日(金) 19:30 〜 20:10
会場:苗場食堂
スタッフのおすすめコメント:
「ブレイク前のゆらゆら帝国と同じオーラを持っている」
これは、初の全国流通盤セルフタイトル『曇ヶ原』リリース翌年、2022年大阪公演で彼らの演奏を観た、ある音楽関係者の印象深い一言である。
「プログレッシヴ・ハード・フォーク」という70年代英国ハードロックと日本のフォークソングを掛け合わせた音楽性を掲げ、ライヴではムーグやハモンドなどヴィンテージ楽器を多用しオルガンが暴れ回り、ドゥーミーなブラックサバスのようなヘヴィ・パートと、マリア観音の木幡氏による「森田童子のプログレ的復讐」を指すフロント石垣翔大の仄暗く繊細なフォーク・パートの圧倒的な対比が素晴しく、メンバー全員がスター性も兼ね備えている稀有なバンドだ。
そんな彼らが今年フジロックフェスティバルの出演が決まった。国内インディーズで「プログレッシヴ・ロック」を名乗るバンドがフジロックに出演するのはフェス史上初の快挙ではないだろうか。今回はサポート・ベーシストに元Koochewsenの西平匠杜を迎えた5人編成で初日7/26(金)苗場食堂ステージ19:30から、「令和のプログレスター」ブレイク前の歴史的瞬間を目撃してほしい!
韓国ソウルが生んだ世界的スターDJ ペギー・グー「I HEAR YOU」
recommend by 商品部 ハウステクノ担当 猪股 恭哉さん
ハウステクノ担当バイヤー。HOUSE definitive改訂版参加、ele-kingなど
アーティスト名:PEGGY GOU
アルバム名:I HEAR YOU(2024 / NINJA TUNE)
日程:7月26日(金) 22:00 〜 22:30
会場:WHITE STAGE
スタッフのおすすめコメント:
コーチェラ、グラストンベリーと世界のビッグフェスの聴衆をロックしてきたペギー・グーがデビューアルバム「I Hear You」を引っ提げてにフジロックに登場!!
90年代トランスを代表するATB「9pm」からインスパイアされ、TikTokでバズった新世代アンセム「(It Goes Like) Nanana」。ロックレジェンドであるレニー・クラヴィッツが個性的すぎる歌声を出し切った「I Believe in Love Again」。プエルトリコのスター・ラッパーであるヴィラーノ・アンティラーノとコラボしたラテン・ヒップホップ「All That」。パンデミック化の2021年に自らのレーベルGUDU RECORDSから発表されたハウスアンセム「I Go」。さらに日本でも高い知名度を誇る現代美術家のオラファー・エリアソン(ペギーとは親友の関係)がMVを手掛けた「1+1=11」。そのオラファー・エリアソンが2022年に発表した詩をペギーが編集し朗読した「Your Art」。自身のルーツである東洋文化とUKベースミュージック・カルチャーが生んだジャングルを融合した「Seoulsi Peggygou」。そしてペギー自身がロブスターに扮したキュートかつシュールなMVが魅力的なアシッドハウス「Lobster Telephone」。韓国ソウルが生んだ世界的スターDJを体感せよ!!!
シカゴのラップシーンでも一際存在感を放つ ノーネーム 「TELEFONE」
recommend by 商品部 ヒップホップ担当 半澤 亮太さん
商品部 ヒップホップ担当
アーティスト名:Noname
アルバム名:TELEFONE(2016年 / NONAME)
日程:7月27日(土) 18:00 〜 19:00
会場:RED MARQUEE
スタッフのおすすめコメント:
Nonameのアルバム『Telefone』は、当時高校生だった私にとって新しい音楽の発見でした。詩の朗読のようなリズム感と独創的なフロー、そして繊細で穏やかなビートチョイスが、歌詞の感情と見事に調和し、彼女の内面的な感情や思考に深く引き込まれます。
彼女のルーツは、幅広い音楽性を持つシカゴの活気あるラップシーンにあり、作品を耳にすると彼女がその多彩な音楽の影響を受けていることが理解できます。シカゴはCommon、Chief Keef、Earl SweatshirtやMick Jenkinsなど、多くの著名ラッパーを輩出しています。その中でもChance the RapperやSabaとの共演により、彼女はシカゴの音楽シーンにおいて確固たる地位を築きました。
私が特におすすめしたい曲は「Diddy Bop」です。この曲は朝に聴いても、昼に聴いても、夜に聴いてもフレッシュな気持ちにさせてくれて、ノスタルジックな感覚を味わえます。曲の中では、彼女を形成した90年代を回想する歌詞が綴られています。例えば、B2KのRaz-Bに夢中な女の子に嫉妬するボーイフレンドや、母親の財布から20ドルをこっそり抜き取る子供たち、そしてFUBUやK-SWISSといったブランドの名前も取り上げてられており、馴染みのある人にとっては懐かしさを感じる1曲です。参加アーティストはRaury、Cam O’bi。SZAやFrankOceanらと仕事を共にしてきたCam O’biのコーラスにより、作品に深みが増している気がします。
2023年に出したアルバム「Sundial」では、個人的に気になっているBilly Woodsと共演しており、彼女の今後の動きに目が離せません。皆さんもこの機会に是非、Nonameの音楽を聴いてみてください。
インディーロックを引っ張る逸材 ガール・イン・レッド 「I’M DOING IT AGAIN BABY!」
recommend by 商品部 ロック担当 松坂 貴亮さん
USインディーとお菓子さえありゃ頑張れるがモットーのロックバイヤー
アーティスト名:GIRL IN RED
アルバム名:I’M DOING IT AGAIN BABY!(2024年 / COLUMBIA)
日程:7月27日(土) 22:00 〜 23:30
会場:WHITE STAGE
スタッフのおすすめコメント:
日頃からUSインディーとばっかり言っておりますが、今年のフジロックにはノルウェーのインディー、ひいてはメインストリームを引っ張る逸材が来るんだからノルウェーに首ったけ!春に出た2ND『I’M DOING IT AGAIN BABY!』が何もかもポップにパワーアップした内容で筆者は速攻参りました状態に。もうインディーとかメインストリームとか関係無い!のかも。
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「DIVE INTO MUSIC.」に込められた想い
世界中どこにいても同じ音楽を楽しむことができる今の時代に、ディスクユニオンは違和感を感じています。なぜなら、本来音楽というものは、ひとりひとりが自らの手で触れて、自らの脚で探して出会うべきものだからです。だからこそ私たちディスクユニオンは、見たことのない曲、聴いたことのない世界を求め、音楽の海へ飛び込んでいきます。そしてこの想いを「DIVE INTO MUSIC.」というスローガンに込め、お客様と共有して参ります。
diskunionHP:https://diskunion.net/
公式youtube:https://www.youtube.com/@diskunion_official
instagram:https://www.instagram.com/diskunion/
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