s**t kingz(シットキングス) – ワクワクしながらその先へ
2023年に日本武道館で単独ライブ、2024年には主催フェスを開催。
そして2025年2月、新たなチャレンジとなる新作舞台公演「See」に挑む。
メンバーそれぞれに進化した2年間
― QUIでは以前、2022年の9月に取材をさせていただいたのですが、2023年には日本武道館での初単独ライブ「THE s**t」、2024年には初の主催フェス「s**t kingz Fes 2024 ももたろう」を開催するなど、グループとして大きく躍進した2年間だったように思います。それぞれ個人としてはどういう変化がありましたか?
NOPPO:個人としては俳優のお仕事をさせていただいたり、あとはソロプロデュース公演「GOOFY〜マヌケな2人の間で〜」に挑戦したり、「ちぐハグ」という絵本を出させていただいて、個展も開催させていただいたり。自分の好きなものを具現化できた2年間でしたね。
― ソロでの活動を経て、自分自身の変化も感じますか?
NOPPO:ダンスに関しては人間らしさや人間味みたいなものにすごく惹かれるようになりました。ソロプロデュース公演をJillian Meyersというアメリカのダンサーと2人で制作する中で、「Jillianにしかできないよな」という人間味のあるダンスをそばで感じられたときに、それってすごく素敵なものだなと改めて気づかされました。
― kazukiさんはいかがでしょう?
kazuki:コロナ禍に始めたYouTubeチャンネルの全国ツアーを年に1回、2年間で2度やらせてもらって。ダンスと近い距離にいない方々が、YouTube動画をきっかけに僕らのことを知ってくれたことを実感できました。そして初心者向けのワークショップを開催したときには、その日に初めてダンスをする方が半分以上を占めることもあるなど、新しいダンス好きに出会う機会が多かったです。
あとはコロナ禍でストップしていたライブが復活してきたので、もともとやっていた演出業もたくさんやらせてもらいましたね。
― ダンス初心者の方たちに会うことで、kazukiさん自身が気づかされることもありますか?
kazuki:めちゃくちゃありますよ。たとえばアーティストから「誰でも踊れるような振り付けを考えて」というオファーもいただくんですけど、ダンスをやればやるほど初心者の感覚を忘れて、何が難しくて何が簡単なのかわかんなくなってくるんですよ。ダンスをやったことがないという方に教えることで「これって複雑なんだ」とか、「これは意外とできるんだ」とか、「これは難しいけど楽しめるんだ」とか、そういう感覚がわかるようになってきたかなと思います。
― shojiさんはどんな2年間でしたか?
shoji:Oguriと2人で舞台「ある都市の死」をやったり、振り付けの仕事もたくさんやらせてもらったり、日本と韓国のアーティストのライブを演出させてもらったり。今までやってきた活動が広がった2年間だったと思います。
あとは「ワイドナショー」など情報番組のコメンテーターとして出させてもらうことや、ダンスの解説という立場で番組に出させてもらえること、高校生などに向けた講演会も増えてきて。今まで他のメンバーほど振り付けが上手じゃなかったぶん、いろんなアーティストたちを分析してきたことが、解説をするときに役立ったんですよね。ウィークポイントを補うためにやってきたことがプラスの仕事につながることを実感できました。
― ダンスというカルチャーをお茶の間に届ける難しさもありそうですよね。
shoji:ダンサーって、世の中の人からしてみたら得体が知れないと思うんですよ。怖そうとか、チャラそうというイメージが強い中で、僕はキャッチーなタイプの人間として、「ダンサーって怖くないよ」「ダンスは気楽に楽しめるよ」ということをできる限り言語化できるようにがんばっていきたいなと思っています。
― 「ダンスをみんなが楽しめるように」というのは、s**t kingz自体がやろうとしてきたことにも近いかもしれませんね。では、Oguriさんお願いします。
Oguri:占いの本によると、俺、2022年まで大殺界だったらしいんですよ。2023年から運気が上がっていく、そのために最初はどんどんチャレンジしていきましょうと書かれていて。
俺はそれを真に受けて、チャレンジしまくるぞというモードが続いていて。仕事はもちろんプライベートでもいろんなところに足を運んだり、いろんな人と関わるようにしたり、あとは人のことを気にしすぎず自分の気持ちに正直でいることにチャレンジしたり。たくさん動くことを心がけた2年間だったなと思います。動いた分だけ新たな出会いや発見もあったので、今後も占い関係なくそのスタンスは取り続けたいですね。
― どんな出会いや発見が?
Oguri:直感で足を運ぶと、そこでおもしろい出会いがあって、実は共通の知り合いがいてネットワークができたり。それが何かにつながったということはないんですけど、今は種を蒔いている感覚というか。このつながりがどこかで実を結ぶのかなと信じています。
あとはshojiくんと一緒にやった舞台に続いて、今年は舞台に2本出させてもらって、俳優業としても得られた課題や発見をもっとつないでいきたいです。
「次は何やろう」でつながるs**t kingz
― s**t kingzとしてもこの2年、国内のダンスパフォーマンスグループでは類を見ないスケールで活動されていますが、グループとしての活動の指針、目指すところがあるのでしょうか?
shoji:常に規模を求めているわけではないんですけど、やっぱりでっかいところってテンションが上がりますよね。武道館でやりたいという目標はみんなで話していたんですけど。
― それはどんなタイミングで?
shoji:15周年を迎える数年前にみんなで集まって、今後どんなことをしていきたいかをホワイトボードに書きながら話し合って、そのときに「武道館に立ちたいよね」と。大きいホールを埋めるダンサーすらほとんどいない中で、本当に武道館が埋まるのかという心配はすごかったですけど(笑)。でもs**t kingzが武道館に立つ、ダンサーがダンスだけで武道館を完売できたことは、自分たちにとっても大きなことでした。
そして「次はここ」という明確な場所があるわけじゃないですけど、自分たちはどんなところを目指していくんだろう、どんなことができるんだろうと、これからもワクワクしながら探していきたい。次の世代のダンサー全員に嫉妬してもらえるダンサーでありたいなと思うので、より深いところも目指しつつ、ライブでは大きいところを目指していきたいです。
― グループとしてのスケールが広がっていることもすごいですが、15年以上にわったって継続していること自体もすごいですよね。
kazuki:まさかですよ。
― それぞれソロでも活躍している4人の集合体なので、グループ活動の必要性が見いだせなくなる瞬間もありそうなものですが、変わらず同じ方向を向き続けられるのはなぜでしょう?
NOPPO:たしかにこれだけ長く一緒にいたら、裏では不仲になっていてもおかしくない(笑)。
Oguri:個人的にはs**t kingzがあるから自由にチャレンジしに行ける。収穫したものを持って帰る場所があるから、収穫しに行けるというか。自分1人では消化しきれないものをメンバーと一緒に噛み砕くことで、「こんなふうに活きるんだな」と気づくことができるんです。
― しっかりとした足場があるからこそ、より大きくジャンプできるというのはありますよね。
NOPPO:人間性がバラバラなところもよかったです。性格や好きなものがバラバラだと、仕事もかぶりづらいし。あとはs**t kingzのチームが大きくなって、良い意味でわがままを言えることも大きいです。「あれがやりたい」と言ったらできたり、やったことのないことも持ってきてくれたり、その出会いの大きさは強く感じます。だから仲悪くなっている暇なんてなくて、「次は何やろう」ってことでつながれていることがすごく良いですね。
Oguri:お互いがやることに対して否定しないしね。「それやめたほうが良いんじゃない?」みたいな。
shoji:「その仕事はシッキンの格が下がる」とか、そういう考えはないので、「どうぞ、ご勝手に」みたいな。
kazuki:聞く気もないし、相談もない(笑)。
shoji:個人とシッキンはスパッと分かれているかもね。
kazuki:うん、自分の中では全くの別物だもん。
― ただ一般的に、個人活動が忙しくなるとグループでの活動が疎かになるってよくあるパターンのような……。
shoji:確かにそうですよね。
― そんな中でグループとしても毎年新しい大きなことを打ち出し続けているというのは本当にすごいです。
Oguri:でも来年ぐらいにはもう危ないかもしれない。
Shoji:次に取材してくださるとき、すっごい険悪な空気だったらすみません(笑)。
見ることに向き合った新作舞台公演「See」
― 2025年2月1日(土)からは、新作舞台公演「See」がスタートします。こちら中身があんまりできていないという噂が(笑)。 ※インタビュー時は 2024 年 11 月。
shoji:そんなことはないんですけど(笑)。言葉でどう説明すれば良いのかがすごく難しくて。今回は舞台の制作過程で見えないもの、見ているもの、見たくないもの、見えない物差しや先入観など、いろんな「見る」をテーマにしようと、半年間ぐらいずっと打ち合わせを重ねてたどり着きました。
でもいざ「見る」をテーマに舞台を作ろうと思ったら、4人ともびっくりするぐらい感覚が違ったんです。となったときに、これを無理にひとつの物語として提示するよりも、このカオスも含めて観てもらったほうがおもしろいんじゃないかなと。「こういうストーリーだから観に来て」というよりも、「見る」ということをメンバーがどういうふうに捉えているのか、それをどうダンスで表現するのか、そこを観に来てほしいんです。
だから今回は役柄でなく、s**t kingzとしてステージ上にいるんです。そのうえで頭の中にあるものがファンタジーとして起こっていく。その展開を楽しんでほしいので、あらすじを読んでも「楽しそう、観に行きたいな」となるわけじゃないんですよね。
― それこそ「観ればわかる」と。
shoji:そうなんですよ。なので本当に宣伝が難しくて、チームの皆さんの頭を抱えさせているという状況です(笑)。
― 今回は新国立劇場のみでの公演となりますが、その狙いについて伺えますか?
shoji:この舞台をやるのかどうか、そもそもの話をしたときに、自分たちの中でチャレンジだと思えるものをやりたいとkazukiから提案があって。じゃあ今までのようにいろんな会場を回れるサイズ感でやると、作品作りに対して制限が生まれるんじゃないかと。
僕達は前回も新国立劇場でやらせてもらったんですけど、あそこにはセリがあるんですよ。舞台上の一部が切り抜かれて昇降できるセリという機構があったり、何十メートルもの奥行きがあったりするんですが、他の劇場にはそれがないから使わなかったんですよね。
だから今回は新国立劇場に最大限特化した作品作りをしたい。そこの機構をフル活用して、そこでしかできない作品を作るということにチャレンジしてみようということになりました。
東京近郊でない方たちにはハードルが高い舞台になっちゃったので申し訳なく思いつつ、僕たちとしてもちゃんと未来につながっていくものにしたいので、そこはエゴを通させてください。でも作品の中にはエゴを挟み過ぎず、みんなで楽しめる作品を作ります。
― 確かに地方の方は大変ですけど、テーマパークもそこに行かないと楽しめないですもんね。
shoji:そういうことなんです。没入感の高い作品になるんじゃないかなと思ってます。
― では最後にお一人ずつ、お客様へのメッセージをお願いします。
NOPPO:「見る」をテーマにいろんな価値観や表現が詰め込まれた舞台になっているので、「私にはどう見えるんだろう」と軽い気持ちで観に来ていただけたらうれしいです。
kazuki:テーマが抽象的なので難しい話なのかなって思うかもしれないんですけど、基本的に全編コメディ要素が多めです。そこはシッキン的に大事にしたいところで、舞台だからってかしこまる必要はないし、普通の格好でふらっと来て、思いっきり笑ってくれたら一番うれしい。今回、4歳から入れるようになったので、ぜひご家族でお越しください。
shoji:いろんな楽しみ方ができる舞台にしたいなと思っています。ダンスが好きな人も、テンションを上げたい人も、見るということを深く考えたい人も、誰もが何かを持ち帰れると良いなと。その人なりのスタンスで楽しめる作品にしたいなと思っているので、「舞台は難しそう」とか、そういうことは全然気にせず来てもらえたらうれしいですね。
Oguri:観てくださる方それぞれの楽しみ方で楽しんでもらって、皆さんが会場を出た瞬間に世界の見え方がちょっとだけ変わる。そういう余韻まで感じてもらえる舞台にしますので、そこも込みで楽しみにしてほしいです。
Profile _ s**t kingz(シットキングス)
shoji・kazuki・NOPPO・Oguriの4⼈で構成される世界が注⽬するダンスパフォーマンスグループ。4⼈が出場したアメリカ最⼤のダンスコンテスト「BODY ROCK」では、2010年、2011年と連続優勝。世界各国からオファーが殺到し、これまで25カ国以上を訪問。 AAA、BE:FIRST、BLACKPINK、BoA、DA PAMP、Da-iCE 、EXO、FANTASTICS、GENERATIONS、Hey! Say! JUMP、King & Prince、Kis-My-Ft2、Nissy、NCT U、NCT127、Snow Man、SKE48、V6、関ジャニ∞、三代目J SOUL BROTHERS、木村拓哉、櫻坂46、ジャニーズWEST、東⽅神起、超特急、三浦⼤知など、J-POP、K-POPアーティストの国内外振付を約500曲以上⼿がけており、常に日本のエンターテインメントシーンの最先端で活躍しつづけている。2023年10月にはダンサー史上初となる日本武道館単独ライブ「THE s**t」を開催しチケットは発売日に即日完売。2024年7月には初の主催フェス『s**t kingzFes2024 ももたろう』を開催し2日間で約1万人を動員した。2025年2月には新作舞台作品「See」が新国立劇場・中劇場にて開幕予定。
Instagram X
[shoji] necklace ¥74,800 / blanciris (blanciris tokyo 078-241-0101)
[kazuki] blouson ¥187,000 / TAAKK (JOYEUX 03-4361-4464)
[Oguri] jacket ¥385,000 / renoma PARIS (untlim 03-5466-1662)
[NOPPO] pants ¥66,000 / CINOH (MOULD 03-6805-1449)
Information
s**t kingz 新作舞台公演「See」
日程:2025年2月1日(土)~2月9日(日)
※2月3日(月)は休演日となります。
会場:東京・新国立劇場 中劇場
チケット料金:全席指定 9,900円(税込)
※3歳以下入場不可 / 4歳以上チケット必要
※枚数制限 1申込につき各公演4枚まで(複数公演エントリー可)
© s**t kingz
- Photography : Hiyori Korenaga
- Styling : Akiyoshi Morita
- Hair&Make-up : Mika Hayamizu
- Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI)