TSTSの魅力をプロの視点から読み解く|ファッションのミカタ # 11
しかし見た目は魅力を構成するひとつの要素でしかなく、ブランドそのものの美学を語るときには様々な捉え方が存在する。「ファッションのミカタ」で迫るのはプロならではの角度ある視点。
第11回は<TSTS(ティーエスティーエス)>にフィーチャー。本企画を通して、新たなファッションのミカタ(楽しみかた)が広がることを願って。
<TSTS(ティーエスティーエス)>ってどんなブランド?
デザイナー佐々木拓也とパタンナーの井指友里恵による <TSTS(ティーエスティーエス、TAKUYA SASAKI TEST SAMPLES)>。ブランド名の “Test Samples” とは、兵士への正式支給前に試験的に開発・テスト使用されていた “Experimental Test Sample” 製品に由来しており、<TSTS>の先駆的な服作りの姿勢を意味している。 ブランドコンセプトは「二面性」。東京とアントワープで経験を積んだ経歴から、東京的な日常性の中にアントワープ的なシュールレアリスティックな空気感を織り交ぜた、ユーモアと社会批評性をもったコレクションを展開する。
【PR】宮田 耕介さん
― 宮田さんにとって<TSTS>の魅力はなんでしょうか?
コセンプチュアルなブランディングです。
― <TSTS>のPRを担当するに至った経緯はなんでしょうか?
私が前社でPRを担当していたブランドに佐々木氏が従事していたことをきっかけに知り合いました。打ち合わせなどで顔を合わせる機会はあったのですが、その頃はお互いを認識している程度でした。その後、<TSTS>のセールスを担当している方からブランドをスタートする事を伺い、私もまさに独立するタイミングでしたのでご一緒させていただくことになりました。
― <TSTS>のPRを担当する上で意識していることを教えてください。
SNSでのコンテンツ作りや発信に関しては、デザイナーとアートディレクターが主となって製作し積極的に発信をしているので、PRとしてはよりブランドの内側に入るように心がけています。リースの選定やニュース掲載などPRの根底としてある役割をより大事にするようにしています。
― コレクションで特に印象に残っているものはどれでしょうか?
2024秋冬コレクション
“LOOKなのか?”と疑ってしまうほどショーツに靴下は片方という奇妙なスタイリングですが、佐々木氏と井指氏の内に秘められた信念と力強さを非常に感じ、印象深いです。2024秋冬コレクションは、彼がアントワープ王立芸術アカデミーの修了コレクションで発表した「SAMPLES」と同じテーマで制作されたシーズンで、あらためて<TSTS>とはどんなブランドなのかを皆様に知っていただく機会であり、関わっている私たちまでもが再認識させられました。
― TSTSとの印象的なエピソードなどもありましたら教えてください。
次シーズンのコンセプトと付随した彼のコレクションスケッチを見る時は、いつも次は何を目論んでいるのだろうかとワクワクします。もちろん現実的に実現できるか否かはありますが、それらを最終的にどう着地させ、具現化されるのかをサンプルで実際に見るのがいつも楽しみです。
宮田耕介さん
@kosukemiyata
【fernweh バイヤー】溝口 翼さん
― 溝口さんにとって<TSTS>の魅力はなんでしょうか?
伸び代です。期待しています。
― <TSTS>をバイイングするに至った経緯はなんでしょうか?
デビューコレクションの展示会がきっかけです。お店として、作り手が溜め込んだエネルギーを世の中
― <TSTS>をバイイングする上で意識していることを教えてください。
<TSTS>は基本的にはメンズブランドと捉えられますが、「fernweh」では女性に向けて提案する事が主になっているので自分が作りたいスタイリング像に当てはまるピースを買い付けるよ
― コレクションで特に印象に残っているのはどれでしょうか?
2023秋冬コレクション
ファーストコレクションの中でも特にお気に入りだったのは、チャップリンとオフィシャルコラボレーションしたプリントのアイテムたちです。このコレクションは反戦の意思表示がテーマとしてあって、その表現方法にチャップリンを引用する感覚が何よりも日本人離れしていて面白いなと感じました。重厚なテーマに対してポップでシニカル、キャッチーな軽さのある表現はアートの質量転換(すごく重そうな質量をした見た目なのに、実際にはすごく軽いとか)の作品に対峙した時のようなユニークな感覚でした。
― TSTSとの印象的なエピソードなどもありましたら教えてください。
あまり需要ないであろうXSサイズのグレーディングをわざわざ作ってくれた事ですね(笑)。
溝口 翼さん
@tsubasa_mizoguchi
【アートディレクター】TORAJIRO YAKUSHIJINさん
― TORAJIROさんにとって<TSTS>の魅力はなんでしょうか?
一言で表すなら「200%」の表現を可能としているところです。 「100%」の表現枠からは既にはみ出ていると感じていて、何かを超越しているワクワク感があると思います。
― <TSTS>を知った経緯はなんでしょうか?
知人のインスタグラムのストーリーで知りました。出会い自体はごく普通のものでしたが、初めて<TSTS>を目にした際に感じた「ワクワク感のある、心地よい違和感」は今でも強く印象に残っています。
― <TSTS>のアートディレクションを担当する上で意識していることを教えてください。
自分の制作の軸でもある、“余白の構想”を強く意識しています。<TSTS>は非常に精巧なプロダクトかつコンセプチュアルなブランドなので、つい情報量の多い表現をしたくなりますが、それよりも受け手が能動的に補完できる余白をもたらすことが重要だと考えています。チーム内で密にコミュニケーションを取りながら、表現を精査しています。
― コレクションで特に印象に残っているものはどれでしょうか?
2024秋冬コレクション
現在、店頭に並んでいる2024秋冬コレクションが特に印象的です。その中でも写真のルックは、二面性という言葉から派生する様々な要素が詰まっているので大好きですね。
― TSTSとの印象的なエピソードなどもありましたら教えてください。
「DOVER STREET MARKET GINZA」との別注アイテムの映像制作を担当させていただいた際に、0.1秒単位での微調整をご提案いただいたことが非常に印象に残っています。このようなブラッシュアップを積極的に行えるところが、最高のチームだと感じています。素晴らしい作品に仕上がっていますので、ぜひご覧ください。
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TORAJIRO YAKUSHIJINさん
@_meltin__
【kudos デザイナー】工藤 司さん
― 工藤さんにとって<TSTS>の魅力はなんでしょうか?
ウジウジした拓也くんを友里恵さんが後ろから背中をポンポンと叩きながらつくるポップソングのようなところ。
― <TSTS>を知った経緯はなんでしょうか?
原宿かどこかで3人で会ってる時に立ち話で聞いた気がします(笑)。
― <TSTS>を見る上で意識していることを教えてください。
デザイナーのムードや感情のムラが直接的に洋服に出ているので、そこと社会のムードみたいなところのレイヤードを重ね合わせて見ています。いつ見ても面白いです。
― コレクションで特に印象に残っているものはどれでしょうか?
アントワープ王立芸術アカデミーの卒業コレクション
<TSTS>の原型である拓也くんのアントワープの卒業コレクション。現在のコレクションにとって大事なエッセンスがたくさん詰まってると思います。ファーストルックが出てきた時には、服が大きすぎていろんなところに引っかかりそうとヒヤヒヤしながら見ていましたが、「やっぱり大物はスケールが違うなぁ」と感じたのを今でも強く憶えています。
― TSTSとの印象的なエピソードなどもありましたら教えてください。
アントワープや東京で散歩したり立ち話したりと、なんてことないことしかしてないんだけど、いつも「あれってなんだったんだろう」と後で思い出される印象的なキーワードを残して立ち去っていくイメージです。
工藤 司さん
@tsukasamkudo
【KHOKI ディレクター】Kokiさん
― Kokiさんにとって<TSTS>の魅力はなんでしょうか?
他ブランドでは感じられないモード感です。
― <TSTS>を知った経緯はなんでしょうか?
共通の知人がいて、紹介をしていただきました。
― <TSTS>を見る上で意識していることを教えてください。
柄と色の組み合わせです。
― コレクションで特に印象に残っているものはどれでしょうか?
2024秋冬コレクション
初めて展示会へ伺わせて頂いたシーズンで、ちょうどデリバリーが始まった時期でもあります。型数が少ないのに力強い洋服が多くて、挑戦する事の怖さや不安がすごく理解できるのでより一層尊敬しました。展示会に置いてあったスケッチやインスピレーション源をまとめたデザインブックもアナログに表現されたデザインプロセスにクラフトマンシップを感じて素敵でした。
― <TSTS>との印象的なエピソードなどもありましたら教えてください。
事務所が近い事もあって、何度か飲みに行きました。ローテンション気味の佐々木くんがいつも<KHOKI>を褒めてくれるので気持ちがいいです(笑)。
KHOKI
@khoki146