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より強く、より伝わるものを求める、KIDILLの現在とこれから

Jul 28, 2022
末安弘明が手がける<KIDILL(キディル)>が先に行われたRakuten Fashion Week TOKYOのオフィシャルスケジュールにて、2022年秋冬コレクションのインスタレーションを開催した。
同ブランドは今年一月にすでにParis Fashion Weekのスケジュールで同シーズンのコレクション発表を終えていたが、TOKYO FASHION AWARD 2022の受賞者として、先に発表した2022年秋冬コレクションを改めて発表する形となった。

より強く、より伝わるものを求める、KIDILLの現在とこれから

Jul 28, 2022 - FASHION
末安弘明が手がける<KIDILL(キディル)>が先に行われたRakuten Fashion Week TOKYOのオフィシャルスケジュールにて、2022年秋冬コレクションのインスタレーションを開催した。
同ブランドは今年一月にすでにParis Fashion Weekのスケジュールで同シーズンのコレクション発表を終えていたが、TOKYO FASHION AWARD 2022の受賞者として、先に発表した2022年秋冬コレクションを改めて発表する形となった。

KIDILL 2022AW COLLECTION INSTALLATIONより

ここ最近の<KIDILL>の表現には、狂気の中にフェティッシュやガーリーの要素が見受けられる。
2022年春夏コレクションでは、イギリスを拠点に活動するアーティスト、トレヴァー・ブラウンの作品からインスピレーションを得て、狂気とフェティッシュが融合したコレクションに。
続く2022年秋冬コレクションでは、孤高の芸術家ヘンリー・ダーガーの作品『非現実の王国で』の中に登場するアイコニックな図像がファブリックやグラフィックとして用いられ、ビビットでサイケデリックな印象をもたらすダーガー特有のキーカラーパレットと相まって、狂気性を持ち合わせたガーリー要素を引き出した。

ここ2シーズンのテーマは違えど狂気と同居した可愛らしさの表現に行き着いた理由としては、<KIDILL>を着用する顧客層の変化も挙げられる。最近では若い女性の顧客も増えてきたことから必然的に意識するようになったという。

さらに今後の展開として、前々回は灰野敬二、前回はトレヴァー・ブラウン、今回はヘンリー・ダーガーように、毎シーズン必ずコラボレーターを決め、大きな取り組みとして行っているが、一度やめてみることも視野に入れているようだ。

「内から出るものだけで戦ってみたい」

この考えに至る契機となったのは、新型コロナウイルスの蔓延であると語る。
大変な世の中でも、末安にとっては意識改革の機会となったという。
2年前の2020年春夏シーズン、多くのブランドは先行きが見えない中、型数を減らし、ショーピースのような数売れないものの制作を辞めた。
さらに、ショーができない状況下では、皆が弱気になってしまっていたが、その中でも自分の気持ちを強く持って向き合うことが大切だということに気付かされた。
それから改めて人に伝わるものを作りたいという熱量は高くなり、1シーズン毎のコレクションの重みも感じられた。

また、世の中にファッションブランドが溢れている中で、自分を強く持たなければ生き残れないことを再確認したという。実際、”そのブランドにしか作れないもの”があるブランドを探しているショップも多いようだ。

「ここ数年は自分自身に素直にやろうと思っている。精一杯自分のやりたいようにデザインした結果として、ブランドを終了させることになったとしても、悔いは残らない。」

自分の心に忠実であることが、今のKIDILLにとって追い風となっていることは間違いないだろう。

先に行われたインスタレーションは、まさに<KIDILL>の「内から出るもの」が表現されていた。

「ランウェイで既に服を見せていたので、今回はブランドの精神性を表現したかった。」

インスタレーションは、再始動を果たしたバンド「PSYSALIA人」とともに在り、そのサウンドはブランドの精神性と共鳴し、<KIDILL>の時が経っても揺るぎないパンク精神を証明した。

初期衝動とか、パンクだとか、いつまで言ってんだ厨二病かよお前。
だけど40歳超えてもやめられないんだわ。
くだらないプライドなんて、捨て去れ。心地いい今を、捨てろ。
がむしゃらに登り詰めて、その先を見据えろ。
大声を出して。怒りを持って。解き放て。
少しずつでも前に進んでいれば、当然いき詰まる。
だから自分を破れ!決して断念するな。
世の中なんてわからないことだらけ。今を痛み、楽しめ。

インスタレーション後のプレスリリースには、コレクションの説明は一切なく、<KIDILL>そのものがそこにあるように感じた。
それはまたデザイナー末安の自己暗示にも、決意にも捉えられた。

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【BEHIND THE SCENE】KIDILL 2022秋冬 COLLECTION INSTALLATION
Jul 28, 2022

  • Photograph : Masamichi Hirose
  • Text : Yukako Musha (QUI)

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