高杉真宙 – つながりは買えない
主演の高杉真宙に聞く、お金と仕事との向き合い方。
お金と時間はどこにでもついてくる
― 映画『ナニワ金融道』、裏表のある登場人物ばかりでスリリングでした。人間、お金が絡むと、やはり信用ならないものですね(笑)。そしてお金って信用とか信頼をかたちにしたものなんだなと、あらためて感じさせられました。
確かにそうですよね。
― 高杉さんにとって、お金とはどういった存在ですか?
お金とは、時間ですかね。お金と時間はどこにでもまとわりついてくるなとは思います。『ナニワ金融道』みたいに、それに振り回されてしまうのは嫌ですけど。
― 映画を観て、お金とはうまく付き合わなきゃというのはすごく思わされました。一方で、お金では買えないものもあるはずで。
たとえば、仕事などで出会った人たちとのつながりは、すごく重要だなと思います。お金でなく、時間をかけて築いていくものなので。
― なるほど。そう考えると、高杉さんの「お金とは時間」という価値観もわかる気がします。
僕の中では、お金と時間はイコールですね。
― これまでに、借金してでも欲しいものってありましたか?
お金さえあれば……ですか。中高校生のころですね。ゲームセンターで取れなかったエヴァンゲリオンのフィギュアですかね。
― クレーンゲームでしょうか?
そうです。クレーンゲーム、めちゃくちゃ苦手なんですよ。友人との待ち合わせの時間つぶしで行ったゲームセンターで、ふと見つけたエヴァのフィギュアがすごいかっこよくて。挑戦したんですけど、いくらお金を積んでも取れない。
― 「あと1回でいけそうなのにー!」って、もう泥沼ですね。
店員さんに泣きついてみても「ここまでしかできないんです」と。結局5,000円ぐらい使っても取れなくて。それ以来、ギャンブルとゲームセンターは控えると決めました。でも次はいける、次はいけるっていう気持ちが強くて、僕はギャンブルにハマる人なんだなって気づけて良かったです(笑)。
ー すごく共感できます。あれはうまく射幸心をあおるようにできてますよね。
はい、本当に(笑)。
灰原さんはやさしい人ではない
― 本作では街金の帝国金融に入社する主人公の灰原達之を演じられていますが、もともと『ナニワ金融道』という作品自体はご存知でしたか?
知ってはいましたが、ドラマなどを観たことはなかったです。
― そうなんですね。歴史ある作品での主演ですが、どのように受け止めましたか?
『ナニワ金融道』という作品自体に対する知識があまりなかったので、どういう役回りで演技をしていくことが正解なのか、灰原さんというのはどういう人なのか考えながらやっていました。
― 今作は3本立てということで、灰原の成長や変化も大きな見どころだと感じました。
灰原さんは、やさしい人ではないなっていう印象が、だんだん強くなっていきました。仕事として割り切れる人で、かなり現実的でお金に執着がある人だなと。だからこそ金融道を歩んでいけるんでしょうね。
― その捉え方、すごく腑に落ちました。良い人なんだけど、実は金融屋としてやってることはみんなと一緒で。あくまで自分自身を納得させるために良い人でいるのかなって。
そして仕事をこなすたびに融資する金額も増えますし、金融屋としてより自信をつけながら演じていきました。
― 実際に高杉さん自身が帝国金融に入ったらやっていけそうですか?
嫌ですね。無理だと思います。毎日がドラマチックではありそうですけど、すごく忙しそうだなと。
― きっと心も落ち着かないですよね。
お金を返してくれるのかな、返してくれないのかなって、ずっとざわざわしそう。僕の仕事はあんまり人と関わらなくて良いから、そこも好きです。
― そうですか?めちゃくちゃ関わるのでは?
そこまででもないんですよ。自分次第なところがあるので。金融業は自分が頑張ればどうにかなる仕事じゃないので、大変そうだなと思いました。
当たり前という感覚がズレないようにしたい
― 本作に限らず、俳優として大切にしていることを教えてください。
挨拶ですね。
― 大事です(笑)。
あとは、感覚がズレないことでしょうか。
― それは、芸能人になったことで?
そうですね。どんな世界でもいえることだと思いますが、その世界では当たり前なことが、一般的には当たり前じゃない可能性があることをちゃんと考えておかなきゃいけない。そのズレをできる限りなくしていきたいと思っています。
― 昨年独立され、個人事務所の設立から1年半ぐらい経ちましたが、仕事の幅がますます広がっています。ご自身でもなにか変化を感じられていますか?
パッと思いつくことはないんですけど、今回のように作品で呼んでいただけるというのは、自分自身を信用してもらう必要があるんですよね。いろんな人のおかげで、いろんなつながりがあって、今ここにいられるわけで。
やっぱり自分でやらなきゃいけないことが増えたので、そこに対して僕自身がちゃんと向き合って、高杉を呼びたいと言ってもらえるようにしていかなきゃいけないと、ますます肝に銘じています。
― やはり、お金では買えないつながりが大切ですね。では最後に、これから映画『ナニワ金融道』をご覧になる方にメッセージをお願いします。
まずは漫画があり、それがドラマや映画になるなど、長く愛されるのには理由があると思っています。お金や人間関係という時代を超越するテーマと、作品に触れた人の中のなにかが変わるような特別な魅力を持っているのではないでしょうか。そんな作品に自分が灰原さんとして携われることが嬉しいです。
『ナニワ金融道』の誕生から30年以上経ちましたが、金融というものは時代によって変わっていくものです。進化した令和の金融道を、ぜひお楽しみください。
Profile _ 高杉真宙(たかすぎ・まひろ)
1996年7月4日生まれ。09年より俳優活動をスタート。12年 映画「カルテット」にて初主演を務める。14年 映画「ぼんとリンちゃん」にて第36回 ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞を受賞。17年 映画「散歩する侵略者」にて第72回 毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞を受賞。18年 主演映画「笑顔の向こうに」が第16回 モナコ国際映画祭でエンジェルピースアワード 最優秀作品賞を受賞。近年では、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」や、CX「PICU 小児集中治療室」、映画「いつか、いつも・・・・・・いつまでも。」、舞台「ライフ・イン・ザ・シアター」、バラエティー NTV「ぐるぐるナインティナイン ゴチになります!23」にレギュラー出演するなど、ジャンルに縛られず数多くの話題作に出演。2021年4月12日 株式会社Postersを設立。
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Information
高杉真宙さん主演映画『ナニワ金融道』
2022年12月16日(金)よりDMM TVにて一挙配信開始
1発目『ナニワ金融道〜灰原、帝国金融の門を叩く!〜』
2発目『ナニワ金融道〜銭と泪と権利と女〜』
3発目『ナニワ金融道〜大蛇市マネーウォーズ〜』
出演:高杉真宙 加藤雅也
早織 仁科貴 柳ゆり菜 波岡一喜 山西惇 本宮泰風
桜まゆみ 阿部亮平 赤井英和 宇崎竜童
監督・脚本:藤澤浩和
原作:「ナニワ金融道」青木雄二
企画協力:青木雄二プロダクション
©2022「ナニワ金融道」製作委員会
■「DMM TV」について
アニメを主軸に、バラエティや2.5次元舞台・ミュージカル、ドラマ、映画など幅広いジャンルのコンテンツを提供する、DMMの新たな総合動画配信サービスです。月額550円(税込)の「DMMプレミアム」に加入することで、新作から独占配信作品、そしてオリジナル作品まで、アニメ約4,600作品、エンタメを含む12万本(2022年内の見込み作品数)のコンテンツをスマートフォン・PC・TVアプリなどからお楽しみいただけます。
- Photography : IKKI FUKUDA
- Styling : Daisuke Araki
- Hair&Make-up : Tsutsumi Sayaka
- Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI)