ファッション業界人が注目しているブランド図鑑 vol.10【T 〜 Z】
ここでは、ファッション業界人100名が注目しているブランドを紹介。
大御所ブランドから、新進気鋭ブランドまで、業界人ならではの視点にも注目したい。
THE ATTICO — 三浦 春香 / NUBIAN バイヤー
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ストリートスナップの常連である2人が立ち上げたブランドということもあり、デザインだけでなく秀でたプロモーション力が今っぽいと思い、選出しました。
モードでありながらリアルクローズとしてコーディネートに落とし込みやすいので「NUBIAN」とも相性がいいと考えています。全体的にはラグジュアリーな空気感を纏っていながら、ストリート感のあるアイテムも多数あって、着る人のアイデンティティによって印象が変化するところが面白いと思います。
数年前から日本でも注目を集め知名度の高い<THE ATTICO(ジ アティコ)>ですが、弊社でもしっかりブランドを推していきたいです。
THE ATTICO
https://www.instagram.com/theattico/
Tj WHO — 平井 名王企 / Vase オーナー
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先日パリで発見したナイジェリア発のブランドです。日本では「Vase」のエクスクルーシブ展開が1月からスタートします。タグのMade in Earthの文字が印象的です。アフリカの大地に敬意を払い、テーラリングや手刺繍、日本の織物、建築、インテリアからインスピレーションを受けた洗練された<Tj WHO(ティージェーフー)>。地球人の方々はもちろん、宇宙人にも着ていただきたいブランドです(笑)。
Tj WHO
https://www.instagram.com/tjwho.universe/
TSTS — 奥田 詩保子 / 株式会社三越伊勢丹 第2MDグループ 新宿婦人・子供商品部 モード1 クリエーターズ バイヤー
初めてコレクションを拝見したのは、2シーズン目の2024春夏の展示会でした。一番驚いたのはとっても分厚いリサーチブックで、ノートにインスピレーションのヴィジュアルやデザイン画、テキスタイルやコラージュワークがペタペタと貼ってあり、非常に見応えのある、ある種の作品に感動したのを覚えています。リサーチブックから実際に落とし込まれた洋服は、ポップでシュールなブランドの作風が溢れ出ていて、絶妙なバランス感覚がとても新鮮でした。
現在、ブランドのシグネチャーとなっているボーダーや、ギンガムチェックのアイテムもベーシックな柄に対して、配色、サイズ、素材やアイテムの組み合わせの妙で「<TSTS>らしさ」を確立しており、新しい視点の面白いデザイナーさんが出てきたなと感じていました。独特な世界観がどのように人々のワードローブの中で化学変化を起こすのか、注目しています。
TSTS
https://www.instagram.com/tsts_official/
VALENTINO — 土屋 航 / フォトグラファー
基本的に自分が興味を持てるブランドというのは流行のスタイルや話題性ではなく、そのデザイナーの精神世界を垣間見れるかにあります。ミケーレが帰ってきたというだけで十分なのですが、特に2025春夏プレタポルテのランウェイショーが素晴らしすぎました。モデルが歩くたびに小さくひび割れる鏡の道からは、ホロコーストの生還者である心理学者ヴィクトール・フランクルの言葉を引用してこの生の意味を見出し不安定な世界に一貫性を持たせようとする姿勢が見受けられます。
ミケーレの装飾主義的なスタイルもテオフィル・ゴーディエの言葉を使って、真の美の構築を目指しているように、まざまな哲学や詩の引用から<VALENTINO(ヴァレンティノ)>というメゾンで実践することと思います。メンズもウィメンズも、そしてクチュールも、今後の全てを通してミケーレの思考を探ること、彼の心の宇宙を読み解くことが楽しみでなりません。
VALENTINO
https://www.instagram.com/maisonvalentino/
VEIN — kato taku / スタイリスト , PR
<ATTACHMENT(アタッチメント)>のデザイナーも務めるデザイナーの榎本さんが手掛ける<VEIN(ヴェイン)>はファブリックや着心地の良さは勿論、シンプルでありながらシルエットやサイズ、ディテールがかっこいいブランドです。シューズ、グローブ、ストールなど小物も充実していて、シンプルが故に他の服とも馴染んで使いやすいです。2024秋冬のリコメンドアイテムはスウェットパンツです!
VEIN
https://www.instagram.com/vein.ig/
vowels — 服部 恭平 / 写真家
デザイナーの八木佑樹さんは収集している書籍や雑誌、印刷物から着想を得ているらしく、僕も普段から2000年代の写真集や雑誌を見るのが好きで、すごく集めています。なのでアイテム一つ一つもそうですが、ブランドのあり方としてとてもぐっときます。ウェブサイトでアーカイブ資料を見るのも楽しいし、ニューヨークにあるライブラリーにも行ってみたい。そういう一面でも楽しませてくれます。<vowels>のストライプのシャツを持っていて、決して派手ではないですが、愛らしくて毎日のように着ています。
vowels
https://www.instagram.com/vowels.official/
when pigs fly (wpf) — 田中 望 / Revolution PR
今年の初夏にデビューしたブランドだと思うのですが、展開しているシーズンも含めて実際のところ良くわかっていません。
おそらく街中でスライディングする事を想定したデニム、「Sliding Denim」のプロモーション映像を見た時に笑ってしまいました。真剣なのかふざけているのか、真剣にふざけているのか、分からなすぎてどうなっていくのか興味があります。
when pigs fly
https://www.instagram.com/wpf.jp/
YAT PIT — 小松 康照 / 9FOX Showroom
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香港をベースとしたブランドで、伝統的な中華の服から着想を得て、半年以上お茶の研究をしたり、箸をテーマにした服を作ったり毎コレクション全てが想像超えてきます。
写真家任航や9m88など中華圏を代表するアーティストとも親交が深く他に影響されない独自のスタンス、独自のペースでコレクションを発表しており、
弊社の展示会でもよくマガジン関係者やスタイリスト様から「instagramはよく拝見しており現物を見るのは初めて」「DMをしても返事が返ってこない、だがinstagramは毎日更新している」とお声がけ頂く頃が多く。
彼らの型にはまらない世界観と作り出すアートをこれからも楽しみにしております。
YAT PIT
https://www.instagram.com/yat_pit/
Yifat Finkelstein — 伊藤 稜大 / Fashion PR
<Yifat Finkelstein(イファット・フィンケルシュタイン)>は、<Hed Mayner(ヘドメイナー)>の下で経験を積んだイスラエルのデザイナー、イファット・フィンケルシュタインによって2020年に立ち上げられました。
エルサレムとテルアビブというイスラエルの象徴的な2都市の対照的な特性をデザインに反映しており、エルサレムの持つ伝統的で宗教的な雰囲気と、テルアビブの自由で現代的な都市文化が融合し、洗練されながらも自然体で親しみやすさを表現したアイテムを展開しております。
生地にはイスラエルのデッドストックの生地やピースワーク、手染め素材を使用し、着心地を重視したものを展開しており時間とともに変化する風合いが楽しめます。
私自身、このブランドのシャツとデニムパンツを愛用していますが、着用するたびにその質感とデザインの魅力の良さを感じます。
シンプルながらもどこか独特で個性を出せるアイテムとなっており、日常使いから特別なシーンまで幅広く活躍してくれます。
Yifat Finkelstein
https://www.instagram.com/yifat_finkelshtein/
ZOMER — 橋本 航平 / 株式会社三越伊勢丹 第2MDグループ 新宿婦人・子供商品部 モード1 リスタイル バイヤー
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ファーストシーズンからコレクションを拝見していて、一見とっときにくいアバンギャルドで個性的なデザインですが、ラックにかかっている状態から人が袖を通した瞬間にまるでキャラクターが一変し、とても現実的でシンプルかつエレガントへ昇華される様と洋服としての完成度に驚きました。特に2025春夏シーズンはさらにその要素が強まっていました。
常日頃ぼくは洋服はどうしても着る人が介在する以上、アートとしての立場は脆弱になると思っていましたが、このブランドには様々なアート的表現の可能性が無限にあると思いました。
今後、現在の懐古主義やクワイエットなムーブメントに新たな風穴をあけるブランドになっていくと思います。