NEW GENERATIONS vol.18 - Yu Miyazaki|Actor



jacket ¥210,100・dress ¥138,600・belt ¥134,200・boots ¥139,700 / ISABEL MARANT (ISABEL MARANT AOYAMA STORE 03-6427-3443)



sweater ¥63,800・turtleneck ¥116,600・skirt ¥75,900・sunglasses ¥52,800 / Séfr (Sakas PR 03-6447-2762), glove ¥24,200 / ATTACHMENT (ATTACHMENT OMOTESANDO 03-6804-5460)




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jacket ¥51,700・jersey dress[inner] ¥33,000・cami dress[over] ¥35,200 / TANAKA (TANAKA store@tanakanytyo.com), Other stylist’s own
女優という夢はずっと持ち続けていた
― 今日は、宮﨑さんの幼少期から現在に至るまで、順を追ってお話を伺わせてください。まず出身は三重県名張市とのことですが、どんな場所でしょう?
奈良県との県境に近いので、山に囲まれたような地域で。
― 赤目四十八滝が有名ですよね。
よくご存知で(笑)。だから本当に田舎。実家は住宅街だったんですけど、学校の周りはずっと田んぼでした。
― どんな子どもでしたか?
すごく活発でした。小学校の隣に森があったんですけど、それが全部学校のもので、放課後はみんな森に行って秘密基地を作ったり、鬼ごっこをしたり。
― 最高ですね。外でめいっぱい遊ぶ以外に、学生時代に夢中になったことはありますか?
部活は幽霊部員だったので、休み時間に女子4人でフリスビーをしたり、モノマネしたり、部室でふざけたり、そういうことに夢中だったかもしれません。
― 俳優になりたいと思ったのは、いつだったんですか?
保育園のころからドラマが好きで、実は赤ちゃんのときにはちょっと出演したこともあったんです。それをずっと周りの人から言われていたこともあり、女優という夢は飽きずにずっと自分の選択肢として持ち続けていて。高校生になってからはこの道しかないという気持ちが強くなりました。
― もともと人前に出ても、あまり緊張しないタイプだったのでしょうか?
すごく緊張するんですけど、それでも前に出ることや、ものづくりをすることが好きだったので。
― 俳優という立場で作品を一緒に作りたいという意識があったんですね。実際に、俳優になるという夢は叶えられたわけですが、思い描いていた通りの世界でしたか?
全然違いましたね。キラキラしてないというか(笑)。俳優業に限らず、大人になっても中身は学生時代とそんなに変わらないし、なんか現実的だなって。でもそんな中でも楽しみはすごくありますよ。

― 普段からお芝居で大切にしていることはありますか?
考えすぎないこと。準備してきたものを考えながらやることは、あんまりよくないなと思っているので。準備段階ではいろんなことを考えますが、現場ではその場を楽しむことを大切にしています。
― ご自身の中で理想とする俳優像は?
少年心を忘れないことかな。
― 少年心?
子どものころの感覚っていうか、何でも全力で挑んでみる、好奇心旺盛な人がやっぱり多い気がして。だからそういう部分が大事なんだなと思います。
― じゃあ、森で遊んでいたころを思い出しながら(笑)。
はい(笑)。
― ご自身の強みや弱みはどんな部分だと思いますか?
大人になると嘘をつかないといけないこともあるし、空気を読まないといけないこともありますよね。でもそれは大人としてはいいことかもしれないけど、社会全体にとっては良くないよねみたいなことを常に疑問に思ってしまうんです。
みんなで納得してやるのは好きなんですけど、裏で何か言っているのを一回でも聞くと、じゃあ話し合おうってなっちゃう。だからよく、めんどくさい人だって言われます(笑)。そういうのは大人としては弱みなのかな。その反面、ブレないことは強みかもしれません。
― 自分の中の物差しがしっかりあるんでしょうね。モットーはありますか?
とりあえずやってみる!
― いいですね。
文句を言う前にとりあえずやってみたら、何か得られるものがあるかなって。

役者として初めて認めてもらえたと感じた「グラスハート」
― これまでのキャリアで挫折や転機になった出来事があれば教えてください。
あるオーディションで最終の2人まで残ったのですが、別の方に決まったと連絡をいただいたんです。マネージャーさんの前ではあまりショックを受けなかったんですけど、家族に電話した瞬間にズーンときてしまって。半年くらいかかるオーディションで、自分の全てを捧げていたところもあったので。
次の日は演技レッスンの予定だったんですけどお休みしちゃって、誰にも連絡を取らず、家に来ても出ず、隙を見て新幹線に乗り込んで、京都に住んでいたお姉ちゃんのところに1週間くらい逃亡しました。当時は感情の起伏も激しかったので……それが一番の挫折ですね。
― そこからどうやって立ち直ったのでしょう?
立ち直れなくて、それから2年ぐらいはどうせやらないといけないしなと思いながらやっていました。そんな時に、『グラスハート』のオーディションがあって、これに落ちたら辞めようと思っていたんです。そういうタイミングで受かったことで、役者として初めて認めてもらえたと感じられて、やっと立ち直れた気がします。
― 宮﨑さんのブレない強さが、西条朱音という役の芯の強さと重なったのかもしれませんね。朱音という役をどのように捉えて演じましたか?
朱音は真っ直ぐ夢に向かって突き進んでいて、強く見えるけど、実は音楽をやめようと挫折したり、バンドをクビになったり、急にメジャーデビューすることになったり、本当にいろんなことに振り回されていて。たくさんつまずいているし、弱いし、脆いんだけども、ただ目の前のことに全力な子なのかなと思いました。

― ドラムの演奏にはかなり苦労したのでは?
オーディションのときに10人くらいの人が叩いていたんですけど、たぶん一番下手でした。受かってからは撮影期間を含めて1年半くらい練習しました。
― ドラムの楽しさは感じられましたか?
メンバーのみんなもそうだと思いますが、常に何かに追われながらドラムを練習していたので、純粋にドラムを楽しめたのは撮影のときだけですね。
― ドラマの中だと手のひらをかなり傷つけていましたが、実際も痛そうですよね。
今もちょっと傷めています……。
― 本当だ。
普通だったら慣れて皮膚が固くなるらしいんですけど、雨の中で叩いたり、船の上で叩いたり、普通じゃない環境で叩くことが多かったので、なかなか慣れなくて。
― 本作はNetflixシリーズということで、かなり大規模な撮影もありました。現場の雰囲気はいかがでしたか?
最初はめっちゃ緊張しました。毎日たくさんの人が関わっていて、スタジオもすっごい大きいところで。でも慣れてしまう自分がいて、それが逆に怖かったですね。
― 撮影も長期間でしたよね?
そうですね。8ヶ月ぐらいでしょうか。
― とくに印象深いシーンはありますか?
最終話のライブシーンは、本当に撮影終盤に撮ったので、今まであったことがフラッシュバックしてきて、朱音ともリンクする感覚がありました。
― ドラマというより、ライブを観ている感覚になりました。
私たちも本当にライブをやっている感覚でした。
― TENBLANKとしてもこれから音源が出たり、音楽番組に出たり、ライブをやったりと、バンドとしての活動も始まります。
私はロックバンドが好きなので嬉しいし、なかなかできない経験をさせていただいているので、今後もドラムを続けて、自分の特技にして何かに活かせたらなと思っています。

― 主演・共同エグゼクティブプロデューサーを務めた佐藤健さんをはじめ共演者も豪華でしたが、それぞれの印象を教えていただけますか?
撮影中とプロモーションでまた違うんですよ。撮影中はやっぱり皆さんすごく忙しくて、撮影期間も長いので違う作品と縫っている方もいらっしゃったので……。
そんな状況の中でも、佐藤さんはすごくコミュニケーションをとってくれて。自分の出演シーン以外もずっと見てくれていたり、大事なシーンは一緒に台本を見てお話ししてくれたり。プロデューサーとしてもすごくありがたかったです。
― 町田啓太さんはいかがでしたか。
町田さんはすごく優しそうなイメージだったんですけど、男気あふれる正義感が強い方なのかなと思いました。
― 志尊淳さんは?
志尊さんは可愛らしさと男らしさのギャップが魅力的でした。あとはコミュニケーション能力が高くて羨ましいです。
― 菅田将暉さんとの共演シーンも多かったですね。
菅田さんはイメージ通りの方でした。お芝居に全力で、相手の気持ちに立ってすごく言葉を選んで話すことができる素敵な人だなと思いました。
― これから「グラスハート」をご覧になる方にメッセージをお願いします。
宮﨑も朱音もがんばっているから、自分もがんばってみようと、ちょっとだけでも前向く力になってくれればうれしいです。

仕事も、人間関係も、諦めない人でいたい
― ここからはプライベートについてもお聞かせください。オフはどうやって過ごすことが多いですか?
何も準備してないときは、映画を観に行ったり、自宅でNetflixを観たりが多いかな。映画は大好きなんですが、仕事を始めてからは観ないといけないという感覚になって、あんまり息抜きにはならないんですけど。
あとは桜や紅葉など自然の季節の移り変わりは意識的に見に行くようにしています。
― 友だちからはどんな人だと言われますか?
すごいめんどくさがり。あと、はっきりして裏表がない。
― 『グラスハート』ではドラムに挑戦しましたが、音楽は好きですか?
今回、役作りでライブに結構行ったので、いろんなジャンルが好きになりました。ライブは、小規模なライブハウスが好きです。私はアーティストも好きなんですけど、お客さんの動きが好きなので。
― 好きなアーティストは?
銀杏BOYZさん、クリープハイプさん、最近はChilli Beans.さんとか。
― ファッションは好きですか?
韓国のブランドや、古着っぽいデザインの服が好きです。でも忙しくなると適当になっちゃう。
― 美容で心がけていることはありますか?
特別にしていることはないですが、ビタミン飲んで、お水いっぱい飲んで。あとは日光アレルギーなので、日焼け対策はちゃんとしています。
― 宮﨑さんが美しいと思うのは、どんな人でしょう?
謙虚な人。小さな幸せに気付ける人。その能力を自分の生活に活かしてポジティブに生きている人は素敵ですよね。
― 現在24歳とまだ若いですが、これからどのように年を重ねていきたいですか。
仕事でも、人間関係でも、ずっと諦めない人でいたいです。この人とわかり合うのはもう無理だからと、拒絶することはやらないでいたいなと。
― 世の中にはいろんな人がいて衝突してしまうことも多いですが、分かり合えることを信じている?
はい。対話する前に諦めてしまう人も多いと思うので、それは違うと思うんです。
― 最後に、俳優としてのビジョンをお聞かせください。
私はヘレナ・ボナム=カーターさんという俳優さんがすごく好きで。『ハリー・ポッター』のベラトリックス・レストレンジ役、『チャーリーとチョコレート工場』のバケット夫人役などすごく幅広い役をやっていて、しかも作品全体を面白くできる力がある人だと思うんです。私もそういう俳優になりたいです。
― 近いところで具体的な目標は?
私は、ザ・恋愛みたいな作品が苦手で。今回ちょっと頑張ったんですけど、やっぱり多くの作品で恋愛は関連してくるので、恋愛を克服したいです。あとはサイコパスに興味があるので、そういう役もやってみたいです。
― ちなみに俳優業以外で挑戦してみたい仕事はありますか?
いっぱいあって、ドラムを経験して音楽を仕事にするのも楽しそうだなと思いましたし、ゆるキャラみたいな雑貨が好きなので、自分でグッズも作ってみたい。あとは映画やドラマの企画プロデュースとか、ミュージックビデオの監督とか、やりたいことはいっぱいあります。

Profile _ 宮﨑優(みやざき・ゆう)
2000年、三重県生まれ。2019年にドラマデビュー後、白石和彌監督『死刑にいたる病』や藤井道人監督『正体』、TBSドラマ「ライオンの隠れ家」などの映画、ドラマなどに出演。
Instagram
Information
Netflixシリーズ「グラスハート」独占配信中
出演:佐藤健、宮﨑優、町田啓太、志尊淳/菅田将暉/唐田えりか、髙石あかり、竹原ピストル、YOU/藤木直人
原作:若木未生/「グラスハート」シリーズ(幻冬舎コミックス刊)
監督・撮影:柿本ケンサク
監督:後藤孝太郎
- Photography : Kenta Karima
- Styling : Sora Murai
- Hair&Make-up : Yosuke Nakajima(Perle Management)
- Edit&Text : Yusuke Takayama(QUI)