One day i will understand — starring Noa Nakada
守ろうとする意志の強さを。
与えてくれたものの大きさを。
女優・中田乃愛は知っている。
Interview with Noa Nakada
中田乃愛インタビュー
— 映画『マイ・ダディ』で中田さんが演じた御堂ひかりは、ムロツヨシさん演じる御堂一男の最愛の娘という重要な役どころでした。オーディションでひかり役に決まった時の心境を教えていただけますか?
まずは「すごく嬉しい」という気持ちが一番強かったです。それと同時に、この役を演じさせていただくということは責任も伴ってくるので、そこに対する不安もありました。でも絶対に良い作品にできるよう頑張ろうと思って、撮影に入るまでの1年間は「ひかりだったらどう考えるか」ということを意識しながら生活していました。
— オーディションでは実際にムロツヨシさんとお芝居されたそうですね。
後悔のないように結構自分なりに振り切ったお芝居をしたんですけど、泣くお芝居で昂り切れなかったときに監督から「お父さんなんか大嫌い」というセリフを何度も言ってみてと言われたんです。ムロさんに対しては申し訳なかったのですが、そのおかげでどんどん気持ちが入ったというか。言葉に出すってすごく大事なことだなと思いました。
それに1人でお芝居をしていると気持ちがのりにくいときもあるんですが、セリフをぶつける相手がいると、相手から情報をキャッチして気持ちものってくるので、お芝居って楽しいなと感じます。
— 脚本を読んで、ひかりはどんな子だと思いましたか?
すごく明るくて、友達思いで。ひかりと同じ学校だったら、友達になりたいと思う存在だと思いました。私は彼女ほど明るくはないんですけど、「こうしたい」という意志の強さみたいなところは通ずるかもしれません。
— ひかりの意志の強さをどんなところで感じましたか?
病気だと告げられたとき、最初は冷静に受け止めているふりをしているけれど、一人になってからいろいろな可能性を考えて、自分のなかに落とし込もうとしているところが私と似ているなと。
— 思春期の娘と父親の会話や距離感にリアルさがありました。中田さん自身の経験も取り入れたのでしょうか?
私も今、反抗期なので(笑)。そのままというわけではないですけど、自分に近付けて考えた部分もあります。でも親というのはすごく大切な存在ですし、いつか親が子を想う気持ちがわかる日がくるのかなと。今はついつい、あたりが強くなってしまいますが……。
— 今回主演として現場に立つムロさんの姿を見ていかがでしたか?
ムロさんは、お芝居に対して真っ直ぐで、真剣で、真摯に向き合っている方なので、いろいろなことを学ばせていただきました。ムロさんがいると現場が和んで、和気あいあいとした空気が生まれるんです。あと、役に深みを持たせるためにもスタッフさんやキャストの方々とコミュニケーションをとることは大事だと思うので、いろいろな方と話をしている姿もとてもかっこよかったです。
— 現場で印象的だったエピソードはありますか?
ムロさんが高価なウナギのお弁当を差し入れてくださって、すごく美味しかったことを覚えています。ムロさんがご自身で「あったかいウナギのお弁当を、主演俳優さんが差し入れてくださいました~」って、それが面白くて。寒い現場だったので、身も心もあたたまりました。
— 今回のムロさんの姿を思い出して、これからの現場でいかせたら素敵ですね。
そうですね。ムロさんから学んだことを、これからの現場でも大事にしていきたいと思っています。一番最初に学んだことって一番大事な気がするので。マイペースだけれど初心を忘れずに、やることはきちんとやるというスタンスでできるようになりたいです。
— 中田さんは、もともと女優というお仕事に興味があったのでしょうか?
私は人の前に出て表現できるタイプでは無いと思っていたので、全然考えていませんでした。最初はお母さんにオーディション会場へ連れていかれて、自己紹介をして、お芝居をやってみて。オーディションが進んでいくごとにお芝居って面白いかもしれないと感じるようになりました。
— 2016年の東宝シンデレラオーディションですね。
オーディションがきっかけでお芝居が面白くなってきたんですけど、初めは少しやらされている感じで。でもこのままだと私は何も残せないまま終わっていくだろうなと思い、お芝居を真剣に頑張ろうと決意を固めました。
— 役者として頑張ろうと心に決めてから、映画やドラマを観る視点が変わりましたか?
映画は昔から好きでしたが、特に意識して観るようになったかもしれません。特に私と同年代の方が出ている作品をよく観るようになりましたし、演じている役者さんがどういう経緯でお芝居をするようになったんだろうとか、いろいろ調べるようになりました。
— 将来のビジョンはありますか?
人としてしっかりしていて、自分を持っていて、年齢を重ねるごとに魅力的になっていく人に憧れます。いろんな可能性を秘めた幅の広い役者になりたいです。
— では最後に、映画『マイ・ダディ』を観る方にメッセージをお願いします。
たくさんの方に観ていただきたいですが、特に今の私(18歳)と同年代の方におすすめしたいなと。思春期だったり反抗期だったり、親に対して直接自分で気持ちを伝えるのが難しい年頃だと思うんです。だからこそ、この映画を通してちゃんと伝えるということの大切さを感じていただけたら嬉しいですし、この作品を機に親子や大切な方との距離が縮まったらいいなと思います。
Profile _ 中田乃愛(なかだ・のあ)
2003年6月21日生まれ。石川県出身。2016年、第8回「東宝シンデレラ」オーディションにてファイナリストに選ばれる。2019年、国内外の映画祭で話題となった長久允監督の映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES』でデビュー。
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Information
中田乃愛さん出演映画『マイ・ダディ』
2021年9月23日(木・祝) より全国公開
ムロツヨシ初主演。父と娘の「愛」の物語。
出演:ムロツヨシ、奈緒、毎熊克哉、中田乃愛、臼田あさ美、徳井健太(平成ノブシコブシ)、永野宗典、光石研
監督:金井純一
脚本:及川真実、金井純一
©2021「マイ・ダディ」製作委員会
- Photography : Hana Yoshino(guilloche management)
- Styling : Haruna Konno
- Hair&Make-up : Chiaki Shioyama
- Art Direction : Kazuaki Hayashi(QUI / STUDIO UNI)
- Text : Sayaka Yabe
- Edit : Yusuke Takayama(QUI / STUDIO UNI)