What’s essential — starring Anna Yamada
想像すること、理解することを
決して諦めない。
女優・山田杏奈が向きあうもの。
shirt ¥35,200・dress ¥77,000 / Y’s(Y’s PRESSROOM 03-5463-1540)、pumps ¥116,600 / TOD’S(TOD’S JAPAN K.K. 0120-102-578)、ring ¥1,375,000・earrings ¥231,000 / TASAKI(0120-111-446)
Interview with Anna Yamada
山田杏奈インタビュー
— 映画『彼女が好きなものは』で山田さんが演じた紗枝は、BL好きのいわゆる「腐女子」。役が決まった時の心境はいかがでしたか?
これまでBLというものに触れる機会がなく、「腐女子」というワードもなんとなく知っている程度でした。紗枝は一体どんな子なのだろう?と気になり原作を読ませていただいたのですが、人ときちんと向き合える強さを持ったやさしい女の子だなと。素敵な役をいただけて、やりがいを感じました。
— 2019年には「腐女子、うっかりゲイに告る。」のタイトルでドラマ化もされていましたね。ご覧になられましたか?
ドラマは観ていないです。映像はイメージとして残りやすいので監督からも観ないようにと言われていました。
— LGBTQというテーマについて、山田さん自身どのように向き合われたのでしょう。紗枝を演じる上で準備したことはありますか?
BLマンガを試しに読んではみましたが、LGBTQについて知識を深掘りすることはしませんでした。
紗枝を演じる上では、紗枝の価値観が一番重要なので、調べて達観しすぎるのではなく、「身のまわりで起きたら」という、当事者としてのリアルな反応を大切にしようと思っていました。
— 実際に好きな人がゲイだったら…と考えることもありましたか?
ありました。「どうしよう…」と、しんどくなってしまうだろうなと。でも、その対象が男性であれ女性であれ、自分以外に好きな人がいる事実は同じだよな、など色々考えさせられることも。
— 紗枝もその点で葛藤する場面がありましたね。
はい。紗枝のすごいところは、受け入れがたいことがあっても、相手ときちんと向き合おうとするんです。自分とは違う価値観を理解することや本質と向き合うのは、なかなか難しいことだと思うのですが、それを蔑ろにしない真っ直ぐさが、強くてステキです。
— 主人公の純を演じたのは神尾楓珠さん。ゲイであることを隠して生きる高校生役でした。山田さんとの共演は今回で3度目とのことですが、現場での印象はいかがでしたか?
楓珠くんは、ずっと純でいてくれました。だから私も長く紗枝でいることができたんです。純に「この子なら」と思ってもらうにはどんな紗枝であればいいんだろう、とずっと考えていました。そんな風に思わせてくれた楓珠くんには、とても感謝しています。
— 印象に残るシーンはありますか?
純がゲイであることが分かった後、同性愛についてクラスで話し合うシーンがあるんです。私は特にセリフはなく、クラスメイトの言葉をただ聞いて黙っているのですが、その時すごくイライラして何とも言えない感情がブワッと込み上げてきたんです。
— 具体的にどういう心境だったのでしょう?
「純のことどうしよう」ということで頭がいっぱいの中、クラスメイトの道徳的で綺麗な意見に耐えられなかったのだと思います。その時はただ、純のそばにいたかった。こういう精神状態は初めてのことで、自分でも驚きました。
— それほど、紗枝や純と向き合われていたんですね。純への想いや紗枝自身のことを叫ぶ体育館でのラストシーンは、心が揺さぶられました。
あのシーンはとても緊張しました。紗枝の想いを全部吐きだしてあげなきゃという気持ちが強く、かなり気合いを入れて挑んだシーンです。
— 今回の作品で、また新しい山田さんの表情に出会うことができました。今後のビジョンはありますか?
今はお芝居が楽しくて、このお仕事ができることを幸せに思っています。ただ、「私は絶対これ」とは決めていないんです。その時自分が幸せに楽しく過ごしていて、周りの人に何かを返せてさえいれば何をしていたっていいやと。いろんなことに触れ、挑戦し、それがまわり回ってどう繋がっていくのか、これから楽しみです。
— では、最後に映画『彼女が好きなものは』をご覧になる方にメッセージをお願いします。
純を追いかけて観てもらえれば、純の世界の一員になれると思います。自分が持っている考えや価値観と向き合い、新しい気づきに出会えるはず。この映画を通して、いろんな価値観や人生があること、その本質と向き合うことの尊さを感じていただけたら嬉しいです。
Profile _ 山田杏奈(やまだ・あんな)
2001年1月8日生まれ。埼玉県出身。2011年に「ちゃおガール☆2011オーディション」でグランプリを受賞。映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(16/宮藤官九郎監督)で映画初出演。映画『ミスミソウ』(18/内藤瑛亮監督)で映画初主演を務め、『小さな恋のうた』(19/橋本光二郎監督)では第41回ヨコハマ映画祭で最優秀新人賞を受賞。近年の主な出演作にドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」(20/W主演)、映画『名も無き世界のエンドロール』(21/佐藤祐市監督)、W主演映画『樹海村』(21/清水崇監督)など多数の出演作が続く。主演映画『ひらいて』(21年公開/首藤凜監督)も公開中。
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Information
山田杏奈さん出演映画『彼女が好きなものは』
2021年12月3日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
出演:神尾楓珠、山田杏奈、前田旺志郎、三浦獠太、池田朱那、渡辺大知、三浦透子、磯村勇斗、山口紗弥加/今井 翼
監督・脚本:草野翔吾
原作:浅原ナオト「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」(角川文庫刊)
©2021「彼女が好きなものは」製作委員会
- Photography : Takahiro Idenoshita
- Styling : Marie Takehisa
- Hair&Make-up : Suganaga Fumi
- Art Direction : Kazuaki Hayashi(QUI / STUDIO UNI)
- Text : Yui Hosomi(QUI / STUDIO UNI)
- Edit : Yusuke Takayama(QUI / STUDIO UNI)