<MARC JACOBS>3つの名作バッグからみるクリエティブの変遷
THE J MARC
「THE J MARC」は、新生<MARC JACOBS>のシンボルとして、アルファベットのJを組み合わせたデザイン。時代が進むにつれて、カメラバッグ、ショルダーバッグ、サドルバッグとバリエーションが追加に。2024年プレフォールコレクションから登場した「THE CLOVER SHOULDER BAG」は、ブランドを象徴する“J マーク”をレザーで覆った、新たなアイコンバッグだ。
「THE J MARC」がデビューした2016年春夏シーズンは、<MARC BY MARC JACOBS>と結合した初のコレクション。赤、青、白の星条旗カラーを中心とするカラーパレットに、デニムジャケットやスタジアムジャンパーといったアメカジ・アイテムをミックス。<MARC BY MARC JACOBS>で得意としていたストリートカジュアルを、ノスタルジックなアメリカン・スタイルに昇華した。
THE TOTE BAG
「THE TOTE BAG」は2020年にデビュー。<MARC JACOBS>にとって重要なインスピレーションソースである「ミリタリー」をカジュアルなキャンバストートバッグに落とし込んだデザイン。フロントには、グラフィカルなロゴが大胆に配置されている。素材はレザーが定番だが、キャンバスやジャカード、メッシュ、デニムなども。
その「THE TOTE BAG」、2024年の40周年節目のショーにはビッグサイズで登場した。ショーのテーマは「WONDER」。大きさを誇張した服をまとったモデルが持つと、さながら人形のようで、サイズ感にバグが起きたような錯覚に。マークは、見慣れたものを抽象化し、これまでにないエレガンスを表現するとともに、変わらないファッションへの愛と探究心をポップに表した。
THE SACK BAG
2022年秋冬コレクションでは、ふくらみをもたせたボリューミーなニットウェアやドレスがランウェイを席巻した。ショーはニーチェの格言「現実によって死なないために芸術はある」にインスパイアされたもの。デニムのシルエットを進化させたり、黒を基調としたスーツルックがあったり。また、プラスチックや石膏、ビニールなど意表を突く素材を使った実験的なアプローチも。
モデルたちが肩掛けしていた「THE SACK BAG」は、「サック=袋」という意味のとおり、持ち運びしやすいハンドルタイプ。上質なフルグレインレザーを採用しており、使えば使うほど味わいが増すのも特徴のひとつ。機能性と個性を重視し、そのバッグがすべての人々の日常生活にフィットすることがマークの目的。サイズもミニからエクストララージまで豊富に展開。洋服ともども、マークの気持ちが視覚的に表現されたパワフルなクリエイションを見せつけた。
- Text : Kaori Sakai(QUI)