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自分を貫ける、それが最も魅力的な人|PUMP management 代表 加藤メイ

Apr 28, 2023 - FASHION
まるで花束のようなロリポップキャンディ、現在では入手困難に違いないアイドル写真集、ひとつひとつがレトロチックで愛らしい赤いスツール、すべてを見守るように鎮座するカラフルなダルマ。
「アイデンティティとファッション」というテーマについて、話を聞くために訪れたモデルエージェンシーのPUMP managementは、足を踏み入れた瞬間から気持ちがあがるような空間だった。迎えてくれたのはCEOの加藤メイさん。
「見た目の情報量が多いとよく言われる」というスタイルからも、盛り盛りの自己表現を心から楽しんでいることは一目瞭然だった。
Profile
加藤メイ
PUMP management 代表

モデル事務所、PUMP managementの代表を務める。カナダでヘアメイクの学校に通った後、フィリピンでレコードレーベルの立ち上げに携わる。ヴィジュアル作成やアーティストの体づくり、ヘアメイクの仕事を経験する。帰国後、外国人・招聘モデルを多く抱えるモデル事務所でマネージャー業兼スカウティングの業務を担当。コロナ禍を経て独立し、PUMP managementを立ち上げる。

PUMP management
アーティストエージェンシー

唯一無二の魅力を吸い上げて、美の幅を最大限に広げていくをコンセプトに掲げる。

日本人、アジア人ならではの美を広めたい

QUI編集部(以下QUI):私はYouTubeだったりインスタライブだったり、個人的にもPUMPさんの公式メディアを観るのが好きなんです。被写体からだけでは見えてこないモデルさんのパーソナリティが伝わってくるような気がしているんです。

加藤メイ:(以下加藤):本当ですか!それはとてもうれしいですね。今日はPUMP managementのことや私自身が大切にしている考えなどをきちんと伝えられるよう頑張ります。

QUI:まずは加藤さんのことをお聞きしたいなと思っていて。これまでの経歴やPUMP managementを立ち上げることになった経緯など。

加藤:前職もモデル事務所でマネージャー、スカウターとして働いていたんですけれど、さらにその前はヘアメイクの仕事をしていたんです。その当時から自分のスキルを活かすことで表現の幅をもっと広げることができるんじゃないかという思いが強かったんですけど、ヘアメイクのままでは限界があるなと。そんな風に感じていた時に前の事務所の方に誘っていただいて、モデル業界で働くようになりました。

QUI:誘われて、即決ですか?

加藤:はい、働きたいですって(笑)。さらに話すとヘアメイクは海外で勉強をしたんですけど、その時に知り合いから請われて音楽レーベルの仕事をお手伝いしたんです。ジャケット撮影や製作、さらには歌手の方の身体作りから歩き方まで、主にビジュアル面を担当していました。プロデュースの経験はあったので、新しい才能を発掘して育てていくというモデル事務所の仕事については「やるしかない!」って感じでした。実際やってみたらとにかく楽しかったです。

QUI:そこから独立してPUMP managementを立ち上げたのは加藤さんとしてモデルエージェンシーの独自の方向性が生まれたからでしょうか。

加藤:実績を積み上げることで前事務所では本当に自由にやらせてもらって、自分の意見も通るようにはなっていましたけど、当然ですがモデルさんと契約する、しないの最終決定は会社であり社長です。「この子は絶対にイケる!」という自分なりの直感があるのに、会社のカラーと違うような気がしたら推したくても、推せなくて‥。そこにモヤモヤするぐらいなら自分で事務所を立ち上げようと思いました。前事務所は海外からモデルを招聘する外国人がメインでしたが、自分は日本人として日本人やアジア人モデルの魅力を広めていきたい思いもありました。独立のきっかけはいろんな考えが重なったことですね。

QUI:モデル業界というジャンルは同じですが、独立してから心理的に大きく変わったことはありましたか

加藤:まだ学校を卒業したばかりのような子たちが「モデルの世界で生きていく」と決意してPUMP managementを選んでくれたのなら、私としてもそれを出来るだけ受け止めてあげたい。責任はすごく大きいんですが、一緒になってPUMP managementを盛り上げていく、作り上げていくという感覚を共有できる喜びも同じぐらい大きいですね。

思うべきは他人、見るべきは自分

QUI:PUMPさんは「唯一無二の魅力を吸い上げて、美の幅を最大限に広げていく」ことをコンセプトとしていますが、それは設立当初から一貫されていることですか

加藤:過去にスカウトで海外を訪れた時にビジュアルとして個性的なモデルさんだけが所属するニューヨークやロンドンの事務所にお邪魔したことがありました。目が少し離れ気味だったり、歯並びにギャップがあったり、それを現地のエージェントさんは「Beautiful!」って私に言うんです。モデルさんたちは確かに誰もがフォトジェニックで、新鮮なルックスに私も「Beautiful!」という賛辞に共感できました。そんな経験もあったので、独立する時には純粋に自分が「イケてる!」と感じたらその直感を信じてみようと決めました。誰もが納得の整っている美しさもありますが、整いすぎていないからこその奇跡的なバランスの美しさってあると思うんです。

QUI:今回の「アイデンティティとファッション」という特集ではHIBARIさんにもモデルをお願いしました。HIBARIさんとはどのようにして出会ったんですか

加藤:HIBARIとは以前から知り合いではあったんです。HIBARIが渋谷でラップをしているグループに勝手に仲間入りして踊っている動画をInstagramにアップしていて、それを目にした時にまったく物怖じもせず、本気で楽しんで踊りきっている姿が素敵すぎて、すぐに「モデルやらない」って声をかけたんです。

QUI:HIBARIさんは「PUMP managementらしさ」を発信し続けている一人だと思いますが、加藤さんがモデルにしたいと感じるのはどんな方ですか

加藤:TOYAとHOSHIは自分からプロポーザルを送ってきてくれたのですが、二人とも「ファッションが大好き」だって。でも、私はそんな若者は東京にはいくらでもいるよって感じでした。それでもTOYAとHOSHIに共通していたのは「独自の概念とセンスがあって、ファッションが好きという熱量が他の人とは違う」という思いでした。だからといってすぐに採用というわけではなかったですけど、『自分にはこれがある』という圧倒的な思いを持っているか、持っていないかは判断基準のひとつではありますね。PUMPに所属する子たちの『自分にはこれが似合うとか、しっくりこない』という直感は信頼しているので、基本的には本人がやりたい髪型や髪色で表現したいことがあるなら自由にさせてます。それで内側からキラキラできるなら魅力的だなと思うので。

自分らしさを貫くことを大切にしてほしい

QUI:私は今22歳なんですけど「自分を自由に表現していいんだよ」、「自分の好きを大切にしていいんだよ」って応援してくれる大人がいたら生き方の幅が広がりそうな気がします。

加藤:カッコいいや可愛い、イケてるの尺度は本人にしかわからないですし、人それぞれだと思うんです。本人にとってテンションが上がるファッションがあるのに私の基準で似合わないよって判断してしまっては可能性は絶対に広がらないですし、新しい魅力も生まれないと思っています。私は所属モデルたちに「思うべきは他人、見るべきは自分」とよく言っています。誰かに憧れられるような、誰かに勇気を与えられるような存在になりたいなら、まずは自分自身と向き合って自分らしさを突き詰めろ、そんな意味合いです。なんとなくカッコいいと評価されているから自分もやってみようといった感じで世の中の風潮に流されてほしくないんです。周りからは変だと思われるようなことでも、自分が本心でかっこいい、イケてると思っているならやり切ってほしいと常に思っています。

QUI:もはやモデルというよりも表現者の領域ですね。

加藤:まさにその通りで、PUMP managementはモデルエージェンシーですが、所属する全員がアーティストであってほしいと思っています。モデルでありながら映像もやりたいと動き出している子もいますし、公式YouTubeを開設したのもモデルたちの表現できる場所を増やしたいと思ったからで、去年から周年のタイミングで発表している「PUMPSOUL」は自分らしさの個々の追求に挑んでいる姿をドキュメンタリー作品として皆さんに見てもらいたいと思って始めました。発信したい、表現したいと自ら行動を起こす子は私は全力で応援しています。

QUI:PUMPさんは個性派モデルエージェンシーと言われたりしていますが、今日お話を聞いて「見た目が個性的なモデルの集団」というイメージだけが先行しているように思いました。

加藤:そうなんです!ヴィジュアルやルックスが優先されがちなモデル業界ですが、PUMP managementが最重要視しているのは見た目じゃないよってことなんです。容姿が個性的であれば誰でも所属できますってことではないです。自分を貫くことを恐れない、怖くてもそれを乗り越えてでも伝えたいメッセージがある、それが大きい採用基準ですかね。とにかく自分がこれまで出会ったことのないような考えや感覚がある人は好きです!

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  • Photograph : Masamichi Hirose
  • Text : Akinori Mukaino
  • Edit : Miwa Sato (QUI)

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