自分だけの“祭壇”を身につける、バッグデコレーションのすすめ
本記事では、年末年始にインスピレーションを得たQUIエディター武者がリサーチを重ね、仕立てた4つのデコバッグを披露。身近な素材を用い、自分だけの世界観をかたちにする方法や装飾のバランスを紹介していく。今こそ、心ときめく“好き”を纏う自由を、バッグからはじめてみては?
新潟県出身、在住。
大学卒業後、新卒で大手百貨店に入社し、広報を担当。
2020年4月より、QUIのファッションエディターとして活動中。
現在は自然豊かな田舎に平屋を建て、夫と静かで平穏な毎日を過ごしている。
普段は、色×色、柄×柄などを好んで着ているが、造形としての服やアクセサリーが好きなため、着るものだけでなく、サイズが合わず着られないものも収集している。
面白いと思うデザインアイデアに出会った時に財布の紐が緩む傾向がある。
夢は、衣装部屋を服とアクセサリーの博物館にすること。
デコレーションを行う前に
【事前に用意しておくといいもの】
・実家や家の奥深くに眠っているキーホルダーやネックレス
・Amazonや100均で売っているようなカラビナ
【あると尚良し】
・大きめのサイズの丸カン
・ヤットコ(丸カンを扱う際に必要)
・工業用のナイロンテグス
・ボタンやリボン
・100均で売っているチェーンネックレスや、手芸用品コーナーにあるアクセサリー制作用チェーン
・潰し玉(テグスにビーズなどを通してチャームを作る際に必要)
左右どちらかにインパクトを持たせて、メリハリあるバランスに
<Lotta Volkova × adidas>のボストンバッグは、ピンクに合うとびきりキュートな装飾を。
海外の作家さんからシャツを購入した際、ラッピングに使われていたレースのリボンがあまりに可愛く、そのままバッグにあしらってみました。
キリンのキーホルダーは、小さな頃から変わらず好きな動物。アメリカの閉業したゲストハウスの鍵や、語学学習の決意としてつけた英単語帳など、要素は雑多ですが、どれも自分の「好き」に正直な選択です。
ごちゃついた印象も味のうちですが、このバッグで言うとレースのリボンのように左右どちらかにひとつ、インパクトのあるパーツを置くと不思議とバランスがとれます。
キーホルダーはジッパー部分に付けて、バッグのデザインを維持
こちらは、昔の<MIU MIU(ミュウミュウ)>のハンド&ショルダーバッグ。美しいピスタチオグリーンの色味を主役にしたかったので、チャームは控えめに、メタリックカラーで統一しています。
チェーンは学生時代によく使っていたネックレス、イニシャルチャームは母から高校卒業の際に贈られたもの。ひとつだけ添えたぬいぐるみキーホルダーは中学生の頃に渋谷109で購入したもので、ジッパー部分に忍ばせました。
ジッパー部分にぬいぐるみキーホルダーを付けることにより、バッグ本来のデザインを損なうことなく、さりげない遊び心を加えています。
クラフトの共通項を拾った自作チャームで、唯一無二の存在感を
<Florist(フローリスト)>の個性的なハンドバッグは、パッチワークや刺繍など手仕事を感じるディテールが魅力です。今回はその「クラフト」というキーワードに合わせて、自作のチャームを添えました。
ボタンのチャームは、古いチェーンネックレスに丸カンでボタンをランダムに取りつけたもの。ビーズのチャームは、家の片隅で眠っていたものを工業用テグスに通しただけのシンプルな作りです。
ホームセンターに売っている工業用テグスは、太くて丈夫なので、擦れたり、力が加わったりしやすいバッグの装飾にも安心です。
主役には、幼少期にソニープラザで買ってもらったバレリーナバービーのキーホルダーを。
記憶と手仕事が重なることで、唯一無二の存在感が生まれました。
チャームの根本に缶バッジをつけて、隙間にできる抜け感を調整
<Paula Canovas Del Vas(パウラ カノバス デル ヴァス)>のショルダーバッグは、ネオプレン素材にフラワー柄のエンボス加工が施された、奥行きのあるデザインです。シンプルな佇まいだからこそ、あえて“ごちゃっと”した装飾を楽しむことができます。
寿司のチャームをはじめ、ガチャガチャで手に入れたたぁ坊や、1998年製のリカちゃん人形など、好きなものを思いきり詰め込みました。
また、ここでもボタンのチャームが活躍。短めのチャームばかりだと印象がまとまらないので、長さ出しとしても効果的です。
さらに缶バッジを添えることで、空間の抜け感が整います。
愛してやまない家族・レオパードゲッコー「クリボ」のネームタグや、幼い頃から好きなキャラクター「青クビ大根」のぬいぐるみも加えて、自分だけの小さな“祭壇”が完成しました。
年末年始に始めたバッグデコレーションから、気づけば数ヶ月。ふと振り返ると、バッグとの距離がぐっと近くなったことを感じています。持ち歩くたびに、ふと目に入るチャームに微笑んだり、装飾のひとつひとつに思い出が宿っていたり。
そんなふうに、少し手を加えるだけで、愛着は何倍にも膨らむのだと実感しました。もしクローゼットの奥で眠っているバッグがあるのなら、いま一度、そのバッグに新しい物語を与えてみてはいかがでしょうか。ほんの少しの工夫で、また今日からのお気に入りになるかもしれません。