いま行くべきアートイベント|2024年9月
墨絵アーティスト菅原ありあによる個展「Black Water」が渋谷のアートギャラリーSAIにて開催
展覧会のタイトル「Black Water」は、彼女が制作活動の中、筆を洗う工程で得たインスピレーションに由来している。水に溶ける墨の色が柔らかい黒に変化し、辺りを包みこむ。この「暗い水」から生まれる不安や好奇心をテーマに展示される新作群には、その世界で生きる命や物体が繊細に描かれる。
また本展では、これまでとは異なり彼女自身のこれまでのスタイルに加えて、様々なサイズの掛軸や風炉先屏風、巻物など伝統的な様式に作品を落とし込む、新たなプロセスを添加。その新鮮な進化には従来のトラディショナルな様式美の雰囲気とはまた異なる深みが生まれる。
菅原ありあ「Black Water」
会期:2024 年 8 月 23 日(金) – 9月8日(日)
時間 : 11:00 – 20:00
会場 : SAI
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 6-20-10
RAYARD MIYASHITA PARK South 3F 30800
03-6712-5706
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Gallery Commonが12名のアーティストによるグループ展「Eudaemonia」が開催
「Eudaemonia」(ユーダイモニア)とは、ギリシャ語で「幸福」を意味し、アリストテレスが唱えた「善き人生」を指す哲学の用語だ。これは、自身に固有の能力を活かして生きることが、真の「幸福」へとつながるという考え方だ。
Gallery Commonは、この「Eudaemonia」をテーマにした展覧会を開催する。社会が複雑化する中、12名の多様なアーティストたちが、軽やかで時にユーモラスな視点で反応し、好奇心と知的探求に満ちた作品を展示する。
展示される作品は、素朴さと皮肉、ナラティブとナンセンスの境界線上に位置する。断片的でシュール、奇妙でユーモラス、不満を抱きつつも希望に満ちている。これらは現代の複雑な感情を反映し、時代が変わっても紀元前350年の古代の芸術と同じように意味と充足を求めている。「幸福」は本展の作品とどう関わっているのだろうか。各アーティストがこの問いに独自の答えを出している。この展覧会でその答えを見つけてほしいと思う。
展覧会概要
「Eudaemonia」
2024年8月24日(土)〜9月22日(日)
オープニングレセプション:2024年8月23日(金)19:00-21:00
開廊時間:12:00-19:00 (水〜日) 月、火 休廊
Tel: +81 03 6427 3827
住所:150-0001東京都渋谷区神宮前5-39-6 B1F
mail:contact@gallerycommon.com
www.gallerycommon.com
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WHAT CAFE が narrative をキーワードに16名のアーティストによる展示会「WHAT CAFE EXHIBITION vol.37:Canvas of a Narrative」を開催
本展は、WHAT CAFEが注目するアーティスト16名による物語性を感じさせる約150~200点の作品を展示販売される。
誰もが昔慣れ親しんだ絵本の挿絵や、アニメや映画などのワンシーンで見た、ストーリーの起点や結末を想起させる登場人物の眼差しや仕草、場面や視点の転換を感じさせる光景を通じて、記憶の奥底に刷り込まれた感情を呼び起こす作品が取り上げられている。
会期中には出展アーティストの在廊や各種イベントの開催も予定され、会場でアーティストとコミュニケーションを楽しむことで、さらにアートを身近に感じていただける機会が提供される。
WHAT CAFE EXHIBITION vol.37:Canvas of a Narrative
会期:2024年9月13日(金)~9月29日(日)
参加アーティスト(敬称略・順不同):芦川瑞季、石田恵嗣、因幡都頼、井上時田大輔、岡田菜美、岡野智史、加藤崇亮、榊貴美、鈴木初音、西太志、深田桃子、増田伊眞、もりさこりさ、山田勇魚、山田ひかる、吉岡かおる
URL:https://cafe.warehouseofart.org/exhibition/what-cafe-exhibition-vol-37
会場:WHAT CAFE
住所:〒140-0002 東京都品川区東品川2-1-11
営業時間:11:00~18:00(最終日は17:00閉館)
入場料:無料
※感染症拡大防止の観点により開催中止・一部内容や時間が変更になる場合あり。
※会期中、展示の入れ替えや貸出イベントなどで休館することがあります。詳しい営業日は公式サイトをご覧いただきたい。
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東京都現代美術館にて 「開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ」が開催
東京都現代美術館にて、都内美術館初となる開発好明(1966-)の大規模個展「開発好明 ART IS LIVE―ひとり民主主義へようこそ」展を開催。開発はそのキャリアの最初期となる1990年代より、日常生活や社会現象など身の回りの出来事への関心を起点に、コミュニケーションを内包、誘発する表現活動を継続してきた。
その形態は、絵画、写真、パフォーマンス、インスタレーションの制作のみならず、日々のライフワーク、学校や地域でのワークショップ、毎年3月9日をアートの記念日とする「39(サンキュー)アートの日」の発案・提唱など多岐にわたる。その中でも継続的に行っているプロジェクトでは、開発の活動の背景にある哲学を垣間見ることができる。自分や友達に書いた手紙が1年後に届く《未来郵便局》、「誰もが先生・誰もが生徒」を合言葉に授業が行われる《100人先生》、地下スタジオに様々なゲストを招く《モグラTV》は、郵便、教育、マスメディアといった既存のフォーマットを模しながらも、メッセージの発信者と受け手の間に等価の関係があることを示唆する。
このように社会構造や制度、共同体、出来事への個人的な介入という身振りは、開発の実践の大きな特徴の一つとなり、その姿を故・池田修氏(元BankART代表)は「ひとり民主主義*」と呼んだ。一人(ひとり)と、皆の参加を前提とする民主主義という言葉は一見相反するように思えるかもしれないが、一致団結した運動体ではないからこそ、個々がお互いに反応(リアクション)することができ、それが連鎖的に人々を巻き込むことで活動(アクション)が生まれていくのだ。そこに開発の表現の醍醐味があるといえるだろう。
* 池田修「ひとり民主主義」『開発好明』BankART1929、2014 年より
開発好明(かいはつ・よしあき)
1966年、山梨県生まれ。1993年、多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。アジアン・カルチュラル・カウンシルの助成を受けて、ニューヨークやベルリンに滞在し、制作・発表を行う。2001年第4回岡本太郎現代芸術賞 優秀賞。2004年第9回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展参加。毎年3月9日をアートの日とする「サンキューアートの日」企画、震災支援活動「デイリリーアートサーカス」主宰。近年の主な個展に「中2病」(2016年、市原湖畔美術館)、「あれこれ開発工場」(2019年、彫刻の森美術館)、「開発再考Vol.1, 2, 3」(2019、2022年、ANOMALY)、主なグループ展に大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ(2006年-)、いちはらアート×ミックス(2014年-)、「あそびのじかん」(2019年、東京都現代美術館)。
開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ
開催期間︓2024年8月3日(土)-11月10日(日)
開場時間︓10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(9/16、9/23、10/14、11/4は開館)、9/17、9/24、10/15、11/5
場所︓東京都現代美術館 企画展示室 3F
住所:〒135-0022 東京都江東区三好4丁目1−1
「ISSEY MIYAKE LESEL D’ISSEY: Imagination of Salt」展が開催
「水」の香りを表現したフレグランス「ロードゥ イッセイ プールオム」から30年。三宅一生が本質的な自然のエレメントから得た新たなコンセプトのフレグランスが、ISSEY MIYAKE PARFUMSより誕生する。その発表を機に、8月28日(水)より9月8日(日)まで、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3にて「ISSEY MIYAKE LESEL D’ISSEY: Imagination of Salt」展が開催。
新作フレグランスのボトルをデザインしたデザイナー/アーティストの吉岡徳仁が、香りのインスタレーションを手がける。「根源的で普遍的なテーマに基づく、純粋で力強い香水の魅力を表現したい」と吉岡。自然や光をテーマとして革新的な作品を発表してきた彼ならではの、感覚を呼びさますダイナミックなインスタレーションに注目いただきたい。
吉岡 徳仁デザイナー / アーティスト
1967年生まれ。倉俣史朗、三宅一生のもとでデザインを学び、2000年に吉岡徳仁デザイン事務所を設立。デザイン、建築、現代美術の領域において活動し、国際的に高く評価されています。代表作は東京2020オリンピックトーチのほか、パリ・オルセー美術館に常設展示されているガラスのベンチ「Water Block」、結晶の椅子「VENUS」など多数。
Instagram:@tokujin_yoshioka
「ISSEY MIYAKE LE SEL D’ISSEY: Imagination of Salt」展
会期:2024年8月28日(水)- 9月8日(日)<会期中無休>
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
住所:東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
開館時間:10:00 – 19:00
入場料:無料
ワタリウム美術館にて「SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット」が開催
SIDE COREは、公共空間や路上を舞台としたアートプロジェクトを展開するアートチーム。近年その活動がますます大きな注目を集めるなか、本展は、東京では初の大掛かりな個展となる。
例えば、高速道路や線路、地下水路などを特殊な方法で撮影したり、公共空間で見られる街灯やガードレール、道路工事のサインなどを素材としたインスタレーション作品、ネズミの人形がただただ夜の東京を歩くドキュメント映像など、SIDE COREは、都市の独自な公共性や制度に着目し、これに介入/交渉することで作品作りを行なっている。その表現方法は常に広がり、更新され、今まさに現在進行形の見逃せないアーティストである。
SIDE CORE
2012 年より活動を開始。メンバーは高須咲恵、松下徹、西広太志。映像ディレクターとして播本和宜が参加。公共空間におけるルールを紐解き、思考の転換、隙間への介入、表現やアクションの拡張を目的に、ストリートカルチャーを切り口として「都市空間における表現の拡張」をテーマに屋内・野外を問わず活動。
Instagram:@side_core_tokyo
SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット
会場:ワタリウム美術館 + 屋外
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-7-6
開催期間:2024年8月12日[月・振休]→12月8日[日]
休館日:月曜日(8/12、9/16、9/23、10/14、11/4は開館)
開館時間:11時より19時まで
公式サイト
- Edit : Seiko Inomata(QUI)