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京都最古の禅寺・建仁寺で「脳がととのう」を体感 |「ZEN NIGHT WALK KYOTO」レポート

Aug 8, 2024
京都最古の禅寺「建仁寺」で2024年8月2日より、夜間プレミアム拝観「ZEN NIGHT WALK KYOTO」がスタートした。脳をととのえるヒーリングサウンド「ニューロミュージック」を聴きながら回廊を巡る音と光のイベント。前日に行われたプレオープン内覧では、音楽制作に携わったDJ・Licaxxxなどによるスペシャルトークショーが開催された。

京都最古の禅寺・建仁寺で「脳がととのう」を体感 |「ZEN NIGHT WALK KYOTO」レポート

Aug 8, 2024 - ART/DESIGN
京都最古の禅寺「建仁寺」で2024年8月2日より、夜間プレミアム拝観「ZEN NIGHT WALK KYOTO」がスタートした。脳をととのえるヒーリングサウンド「ニューロミュージック」を聴きながら回廊を巡る音と光のイベント。前日に行われたプレオープン内覧では、音楽制作に携わったDJ・Licaxxxなどによるスペシャルトークショーが開催された。

ZEN NIGHT WALK KYOTO」とは?

「ZEN NIGHT WALK KYOTO」は、「脳がととのう」をテーマにしたサウンドアートナイトイベント。建仁寺法堂の巨大な天井画「双龍図」などで知られる日本画家・小泉淳作氏(1924-2012年)の生誕100年を記念した回顧展の一環で、ニューロテクノロジーと音楽を融合させたプロダクトを開発する「VIE」と「日本経済新聞社」が主催した。

本坊中庭や書院、方丈など寺内のいたるところにスピーカー約30台が設置されており、脳がととのうよう計算された「ニューロミュージック」を聴きながら回廊を歩くことができる。ライブ会場でも使用しているという本格的なスピーカーは、どこから音楽が流れているか分からないよう設置場所にもこだわり、より没入感を味わえるような工夫が施されている。

このほか、日本有数の枯山水「大雄苑」にはミストと光で雲海を表現し、「双龍図」には現代美術家・脇田玲氏のプロジェクションアートを投影。「ZEN NIGHT WALK KYOTO」でしか堪能出来ない企画が目白押しだ。

 

スペシャルトークショー「ニューロサイエンス×音楽、唯一無二の体験を」

スペシャルトークショーには、VIEの今村泰彦代表取締役社長をはじめ、建仁寺の内部部長・浅野俊道氏、VIEのチーフミュージックオフィサー・藤井進也氏、現代美術家・脇田氏、DJ・Licaxxx5人が登壇。イベントの見どころやニューロミュージックについて語り合った。

イベントを主催するVIEの今村氏は、音楽が脳に与える影響を踏まえつつ、「脳がととのうとはどういう状況か。脳科学で脳計測をした結果、シータ波を入れた音楽を聴くことで脳が整いやすくなることが分かった。わかりやすく言えば、サウナと水風呂の状態ですね。このイベントでは、その周波数を取り入れたニューロミュージックをアートとともに体験することができる。素晴らしい建仁寺の環境とサイエンスの力を感じつつ、昼間とは違う夜の顔を見て欲しい。ぜひ自分と向き合う体験を」とコンセプトと見どころを語った。

建仁寺の浅野氏は「実は夜間のイベントは想定していなかった。元々お寺は仏教を広め、信仰者を増やすことが役目。今村さんからお声がけいただいた際に、仏教の教えを具現化できるのではないかと思った」と意図を説明。また、「禅の言葉に冷暖自知という言葉がある。暖かいか冷たいかを知るには、自ら触れることが大切。このように、体感することは唯一無二の経験。ニューロミュージックと小泉先生の融合をぜひ楽しんで」と来場を呼びかけた。

ニューロミュージックの生みの親とも言われる藤井氏は「堂内に見どころはたくさんある。どの作品も見る角度やその人の心によって感じ方が違う。音楽神経科学そのものです。心のなかで音がどのように処理されているかを体感できるよう非常にうまく設計されている」と話した。

脇田氏は「双龍図に施した私がえげつない指示を出しておりまして、ここは見どころのひとつです。仏法の雨を降らせる龍に最新のコンピューターシミュレーションと爆音を使わせていただいた。色んな展示や空間にニューロミュージックが仕込まれているので、人との対話も楽しみながら回って欲しい」と自信をのぞかせた。

DJのLicaxxxは本坊中庭の「◯△□之庭」に楽曲を提供。「シータ波を使って、リラックス効果を意識しながら作りました。10分の尺があるので、10分滞在すると脳がととのうという体験をできると思います。ぐるぐる周りをゆっくり歩きながら環境音と合わせて聴きつつ、音楽で脳を整えるということをアハ体験して欲しい。観察する感じで音楽を聴いて」と制作の思い出を語った。

Licaxxx
東京を拠点に活動するDJ、ビートメイカー、編集者、ラジオパーソナリティ。2010年にDJをスタート。マシーンテクノ・ハウスを基調にしながら、ユースカルチャーの影響を感じさせるテンションを操り、大胆にフロアをまとめ上げる。

脇⽥玲
⽬の前にありながらも知覚できない⼒を可視化/可聴化/物質化することで、世界の⾒⽅を更新する作品をつくっている。主な展⽰に「アランとキースのために」(中村キース・ヘリング美術館, 2022)、⾳楽家⼩室哲哉との8K映像⾳響インスタレーション(Ars Electronica Festival, 2016)およびライブ・パフォーマンス(MUTEK / RedBull Music Festival, 2017)、⽇産LEAFと⼀体化した映像作品「NEW SYNERGETICS – NISSAN LEAF X AKIRA WAKITA」(NISSAN CROSSING, 2017)などがある。慶應義塾⼤学環境情報学部教授。博⼠(政策・メディア)。

 

見どころ① 「音回廊 ニューロミュージック」

脳をととのえる⾳楽「ニューロミュージック」を各所に配置した「音回廊」はイベントの見どころのひとつ。本坊から堂内に入るとまず見えてくるのが、本坊中庭「◯△□之庭」。禅宗の四大思想「地水火風」を、「□(地)」、「◯(水)」、「△(火)」で表し、◯、△、□の模様で「命」を表現している。
ここでは、Licaxxxが提供した10分程度のニューロミュージックが流れる幻想的な空間。どこからともなく落ち着いた音楽が聴こえ、庭に沿うように設置された光が不規則に青く点灯する。
小泉氏の作品が展示されている「小書院」と「潮音庭」を抜けると、巨大なふすま絵「蓮池」が飾られている「大書院」にたどり着く。この間も堂内にはニューロミュージックが鳴り響き、癒やしの空間が広がる。ニューロミュージックを聴きながら回廊を巡り、アート・インスタレーションを拝観することでマインドフルな状態へ導いていく。

見どころ② 「大雄苑 蒼海」

日本を代表する枯山水、方丈前庭の「⼤雄苑」では、ミストと光で大規模な雲海を表現。庭に投影される光と影のコントラストが美しく、細かなミストのおかげで夏の夜が一瞬で涼やかになる。
広縁に座りながらアートを眺めたり音楽を聴いたりすることもでき、「脳がととのう」を体感しながら、静かな夜を過ごすことができる。

見どころ③ 法堂「脇田玲 龍雨図」

建仁寺の象徴である⼩泉氏の「双⿓図」。その大きさは東西13メートル、南北6メートルと巨大で、2頭の龍が激しく躍動する様子が法堂の天井に描かれている。
このイベントでは最新のプロジェクションアートを用い、流体シミュレーション技術を使って、龍のエネルギーの流れを可視化している。大胆な音と光により、一層迫力の増した龍は圧巻だ。ゆったりとしたサウンドが次第に激しさを帯びていき、終盤には体を打つような爆音に変わっていく。この変化と余韻が絶妙で、気付けば龍の世界に引き込まれるだろう。ここでしか味わえないサイエンスとニューロミュージックの融合と、仏法の守護神である⿓のエネルギーをぜひ全身で体感して欲しい。

 

Licaxxxによるニューロミュージック楽曲提供
「ZEN NIGHT WALK KYOTO」展⽰コラボの他、脳が“ととのう”プレイリストをVIE Tunesにて無料配信。「ZEN NIGHT WALK KYOTO」では、スペシャルコラボとしてLicaxxxさんが制作したニューロミュージックの楽曲を展⽰内で公開します。さらに、ニューロミュージックを提供するアプリ、「VIETunes」でもコラボ楽曲を無料配信。プライベートでも、⾳を⼼や体をととのえるために取り⼊れることを⼤事にしている彼⼥の、“ととのう”トラックをぜひ楽しんでいただきたい。

VIE Tunes
「ニューロミュージック」をアプリで提供。直感的なスライダー機能により、「現在の状態」と「なりたい状態」を選択すると、⾳楽が最適な脳状態へ誘導します。様々なアーティストが制作したニューロミュージックを配信します。
・対応OS︓iOS / Android
・製品URL:https://vie.style/pages/vie-tunes
・参考(ニューロミュージックとは)︓https://vie.style/blogs/magazine/infographic

 

建仁寺夜間拝観「ZEN NIGHT WALK TOKYO」概要
開催期間︓2024年8⽉2⽇ – 2024年 9⽉22⽇
開場時間︓19:00-21:30 (受付締切21:00)
チケット価格︓⼤⼈ 2,200円(税込)、⼩⼈(12才以下)1,100円(税込)
チケット販売先︓https://zen.vie.style/
場所︓⼤本⼭建仁寺
住所:〒605-0811 京都府京都市東山区大和大路通四条下る小松町584番地
Instagram:@vie_brain

本件に関するお問合せ先
E-mail︓info@vie.style

All Photo
  • Text : Nishii Akane(STDUIO UNI)
  • Edit : Seiko Inomata(QUI)

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