馬場ふみか × 佐藤瑠雅 – 豊かに生きる
古民家での田舎暮らし、囲炉裏端がつなぐ人間模様を丁寧に描いたドラマ「アリスさんちの囲炉裏端」に出演する2人に話を聞いた。
アリスさんは、生活のひとつひとつを楽しんでいるところが素敵(馬場)
― まず、本作への出演が決まったとき、どのように受け止めましたか?
佐藤瑠雅(以下、佐藤):最初は囲炉裏端という漢字も読めなかったぐらい無知だったので(笑)。決まったときは高校生を演じるということも含めてびっくりしました。
馬場ふみか(以下、馬場):私もかなり驚きましたね。いつもは大事件が起きて、人が死んだり、血が流れたり、復讐したり、そういった怒涛の展開がある作品が多いので、ここまでゆっくりほのぼのとした作品でオファーをいただけるんだと。あと、お料理するシーンもたくさんあるので、普段あんまり自炊はしないタイプなんですけど、これは頑張らないといけないなと思いました。
― お二人それぞれの第一印象はいかがでしたか?
馬場:少年かな(笑)。初めて会ったのは衣装合わせの日でしたが、全然しゃべらなかったよね。
佐藤:全然しゃべらなかったです。
馬場:監督から「ご自由にしゃべっていただいて」みたいに言われたけど、何をしゃべったら良いものかと。でも実際に現場に行くと、佐藤くんがたくさん話してくれました。
佐藤:僕、すごい人見知りなので、ちょっと気を使わせちゃったかも。
馬場:そんなことないですよ。
佐藤:馬場さんはお姉さんというか、かっこいい女性だなと思いました。撮影を通してずっと変わらずかっこよくて、独特なオーラが常に出ている方なので、すごいなって。
馬場:いえ全然たいしたことないです。
― 水瀬アリスと森山晴海という役をどのように捉えて、何を大切に演じましたか?
馬場:アリスさんは不思議なオーラのある女性ですけど、生活のひとつひとつを楽しんでいるところがすごく素敵ですよね。お料理や火起こし、薪割りなど、自分で実際に楽しみながらやることでアリスさんになっていけるのかなと思いました。
― 撮影中にリアルに体験していったんですね。
馬場:薪割りのリアクションはガチです。ドキュメンタリーな感じで割れるまでやって、割れたときにはすごく盛り上がっていました。
― アリスさんの成長も楽しみですね。佐藤さんはいかがでしたか?
佐藤:僕がもともとアニメや漫画が好きなので、原作になるべく寄せたいという思いがありました。僕に出せる晴海像を7〜8割ぐらい作って現場に持って行って、監督と馬場さんの演じるアリスさんがどんなふうに来るのかを受けながら作り上げていきました。
― 演じる際に大事にした部分は?
佐藤:晴海くんはずっとおじいちゃんと過ごして、加藤雅也さん演じるはるじい(森山晴信)の仕草を小さいころから見ているので、はるじいの癖をちょっと真似してみたり。そういう細かい部分も大事にしました。
― お二人でのんびり会話をするシーンが多かったですが、現場もほんわかした雰囲気で?
馬場:そんなことはなく、撮影はバタバタで。昼間のシーンが多いんですけど、山間部なので日が落ちるのが早くて、通常のドラマより早い朝の7時から撮って日が暮れる前には撮り終わる毎日でした。
― 朝が早い分、夜はゆっくり過ごされたんですか?
馬場:そうですね。でも次の日の準備をして早く寝ないとあっという間に朝がやってくるという。
― 健康的ですね。
馬場:はい。健康になったと思います。普段、仕事から帰って家にいると余計なことをやっちゃうんですよね。
佐藤:誘惑が多すぎる。
馬場:突然夜中に掃除を始めたり、3時間ぐらいある映画を観始めたりして、寝不足で仕事に行くみたいなこともあるので。
― 現場はバタバタとはいえ、ロケ地となった京都府綾部市は良さそうなところですね。
馬場:すごく自然の美しい場所で、撮影しているお家のまわりも鹿がいっぱいいて。
佐藤:現地の方々が温かく迎えてくださって。
馬場:すごくおいしいご飯を差し入れていただいたり。おいしかったね。
佐藤:おいしかったですね。
馬場:ドラマの撮影中は、とにかくずっと食べていたんですよ。びっくりするぐらい。毎話、囲炉裏で作った料理も食べるし、ケータリングもいただくし、差し入れも各所から届いて。
― それがハードな撮影の活力に?
馬場:そうですね。たくさん食べて頑張るという。
― 作中で、とくに印象に残った料理はなんでしょう?
佐藤:僕はジビエ料理です。イノシシをいただいたのですが、ちゃんと食べたことがなかったのですごく印象深いですね。それからジビエ料理について自分でも色々調べたりしてます。
馬場:囲炉裏料理というと和食のイメージが強いと思うんですけど、アリスさんの料理はパエリアとかサンドイッチとか洋食も多くて。炭の香りがするなど、普段作るものとは全然違ってすごくおいしかったです。
― なかなか囲炉裏のある場所には行けないですが、食べたくなりますね。
馬場:そうなんですよ。飯テロって真似したくなるものですけど、真似はなかなかできないよねって。憧れさせる飯テロです。
時間を共有できる仲間がいることはすごく幸せ(佐藤)
― 本作の撮影を経て、田舎暮らしに憧れは抱きましたか?
馬場:良いなと思いますが、私には素敵な部分しか見えていないから、実際に暮らすとなると過酷でもあるでしょうね。
佐藤:僕は憧れます。夏に岩手のおばあちゃんの家に1泊2日ぐらいで帰ったんですけど、そこも本当に今回のロケ地のような環境で。もっと長期でいたいなと思うので、自分が歳をとったら田舎に住んでみたいかもしれません。
― 都会でも田舎でも、より豊かな人生を送るために環境は重要になると思うのですが、そもそもお二人は豊かに生きるということをどういうふうに考えていますか?
佐藤:僕は友人ですかね。友人と過ごす時間が多ければ多いほど、僕は豊かな人生、楽しい時間を過ごせていると思います。一緒に時間を共有できる仲間がいることは、すごく幸せなことだなと。
― でもたとえば、仕事がどんどんうまくいってより忙しくなって、プライベートで友人と過ごす時間がとれなくなってきたらどうでしょう?
佐藤:そのときそのとき一緒にお仕事をする方たちとも仲良くできて、良い雰囲気でお仕事ができるというのも良いなと思います。
― 佐藤さんにとっては、多くの人と関われることも俳優業の魅力のひとつなのかもしれませんね。
佐藤:そうですね。今回の作品では1か月間、はじめましての方々といきなりお仕事をする。ここから長くお仕事をさせていただく方々もいるかもしれないし、素敵な出会いがあるかもしれない。お芝居って変な仕事だなとは思いますけど、一番いろんな人に会える仕事なんじゃないかなと思います。
― 馬場さんにとって豊かな人生とはどんなものでしょう?
馬場:いろんなことひとつひとつに心が動くこと。その余裕を持てると良いなと思っています。忙しすぎるとピリピリして、余裕がなくなってくるじゃないですか。そういうときでも人に感謝するとか、おいしいものを食べて幸せな気持ちになるとか、そういう心の状態をしっかり感じられることが豊かなのかなと思います。
― すごくわかります。いっぱいいっぱいだと心もギチギチになって動かなくなる。余裕があるというのは大事な状態ですよね。
馬場:そう、難しいですけどね。
― ただどうしてもギチギチになることもあると思うんですが、そんなときに馬場さんの心の潤滑油になってくれるようなものはありますか?
馬場:お酒が大事(笑)。
― 何を飲まれるんですか?
馬場:麦焼酎です。ワインも好きです。
― 佐藤さんはお酒は?
佐藤:お酒、好きですよ。
― 本作では年の差恋愛が描かれますが、実際の恋愛で年齢差は意識しますか?
馬場:したことはないかな。
佐藤:僕もあんまり気にしないですね。
馬場:どんな人かというほうが大事ですよね。
― どんな人が良いですか?
佐藤:そこ詳しく聞きたいです(笑)。
馬場:会話がスムーズにできる人が良いです。話の内容が問題じゃなくて、どうしてもスムーズに会話が続かない人ってたまにいませんか?
佐藤:いますね。
馬場:その人が嫌いというわけではないけど、シンプルに波長が合っていない。
― 晴海くんみたいな子はどうですか?
馬場:高校生はちょっと(笑)。
― 確かにそうですね。トラップみたいになっちゃいました。
馬場:危ない危ない。
― 佐藤さんはどんな人に惹かれますか?
佐藤:僕があんまりおしゃべりじゃないので、おしゃべりな方には惹かれます。現場ではちょっとギアを上げておしゃべりになれるんですけど、自分が素でいるところでは本当にしゃべらないので。
あとは好きなことが共通ではなく、嫌なことが共通すること。たとえば僕は箸の置き方とか、食事のマナーを見ちゃうタイプなので。相手もそういうところが気になる方のほうが良いですね。
― その考え方は良いですね。アリスさんみたいな人はいかがでしょう?
佐藤:アリスさんみたいにお料理を作ってくれるお姉さん、最高じゃないですか。あ、馬場さんはさっき自炊しないって……。
馬場:しません(笑)。
佐藤:すみません(笑)。僕は料理が好きで、自炊もするタイプなので、アリスさんといろいろ作り合えたら楽しそうです。
― 最後に、本作の見どころを教えてください。
佐藤:毎話ごとに登場人物が増えていき、料理もどんどん凝ったものになっていきます。アリスさんはなんで田舎に戻ってきたのか、晴海くんはアリスさんにどういう感情を抱いていくのか、彼らの変化にも注目してほしいです。
馬場:大変おいしいお料理が毎話出てくるのは見どころですし、アリスさんと晴海くんだけでなく、囲炉裏を囲む人たちみんなそれぞれの持つ温かさがすごく魅力的だなと思います。そういったところに注目してご覧いただけるとうれしいです。
Profile _
馬場ふみか(ばば・ふみか)
1995年生まれ。新潟出身。2014年に映画「パズル」で女優デビュー。インナーブランド「misora」クリエイティブディレクター。第44回ヨコハマ映画祭にて「恋は光」の演技が評価され最優秀新人賞を受賞。「仮面ライダードライブ」(テレビ朝日)で敵女幹部・メディックを演じて話題となり、映画「黒い暴動」で初主演。2017年フジテレビ月9「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」3rd Season、2018年映画「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」に新人フライトナース雪村双葉役で出演しさらなる注目を集め、2018年「深夜のダメ恋図鑑」(ABCテレビ・テレビ朝日)で地上波連ドラ初主演。また現在、1月9日(木)スタート毎週木曜23:59〜 読売テレビ・日本テレビ系オリジナルドラマ「私の知らない私」に出演、主人公の親友を演じている。
Instagram X
佐藤瑠雅(さとう・りゅうが)
2001年4月17日生まれ。千葉県出身。2020年にダンス&ボーカルグループのオーディション番組を経て芸能界入り。「仮面ライダーギーツ」(22年9月~23年8月/EX)には、演技未経験から抜擢され「彼のいる生活」ではW主演を務めるとともに、挿入歌「note」の作詞も担当。ダンスボーカルグループBLD(ビルド)のメンバーでもあり、アーティストとしても今後のさらなる活躍が期待される。
Instagram X
jacket ¥65,780 (top & bottom set price)・pants ¥65,780 (top & bottom set price) / Ayne doppio, Other stylist’s own
Information
ドラマ「アリスさんちの囲炉裏端」
2025年1月7日(火)スタート
【第1話放送情報】
※放送時間は編成の都合などにより変更となる場合がございます。
BS-TBS:1月7日(火)21:00~
CBCテレビ(CBC):1月12日(日)25:47~
RKB毎日放送(RKB):1月11日(土)26:00~
HBC北海道放送(HBC):1月13日(月)25:29~
テレビ神奈川(tvk):1月7日(火)23:30~
KBS京都:1月11日(土)23:30~
【第1話 配信情報】
Lemino:1月7日(火)10:00~ ※先行見放題独占配信
出演:馬場ふみか、佐藤瑠雅、角心菜、南琴奈、てつじ(シャンプーハット)/片山萌美/加藤雅也
原作:「アリスさんちの囲炉裏端」キナミブンタ(集英社 ヤングジャンプ コミックス・ウルトラ刊)
監督:篠原哲雄、富田未来、高階貴法
脚本:今西祐子
©キナミブンタ/集英社・「アリスさんちの囲炉裏端」製作委員会
- Photography : Yuta Fuchikami
- Styling for Fumika Baba : Aya Ishida
- Hair&Make-up for Fumika Baba : Conomi Kitahara(KiKi.inc)
- Styling for Ryuga Sato : Shingo Tsuno(impiger)
- Hair&Make-up for Ryuga Sato : Kaori Mori
- Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI)