桜田ひより × 山本美月 – 生きてくバランス
ともにモデルからキャリアをスタートし、現在は俳優として第一線で活躍する2人が、お互いから受けた印象など撮影を振り返りながら、仕事への向き合い方やプライベートとのバランスについても率直に語り合った。
等身大の姿と、まっすぐな姿のメリハリを大事にした(桜田)
― お二人は本作で初共演だったそうですが、お互いにどんな印象を抱きましたか?
桜田ひより(以下、桜田):もともとテレビで拝見していたので、お会いできることがすごく楽しみでした。私は勝手に「どう話しかけよう」ってドキドキしていたんですけど、すごく気さくに話しかけていただいたので緊張が解けました。
山本美月(以下、山本):私は今回共演させていただく前から、ひよりちゃんはとにかく透明感がすごいなと思っていました。実際に会ったら透けちゃいそうなぐらいで。待ち時間などは、ひよりちゃんの肌の透明感について、よく話をしていました(笑)。
桜田:していましたね(笑)。
山本:たくさんお話ができて嬉しかったです。これまでの現場では自分よりも年上のキャストの方がほとんどという状況が多かったので、今回、お姉さんのような立ち位置で作品に参加させていただいたことも新鮮でした。
― 桜田さん演じる美優と山本さん演じる沙希は、同じカフェ「Double」で働く後輩と先輩の間柄でした。それぞれお芝居で意識したことや、現場で感じたことがあれば教えてください。
桜田:「Double」の美優ちゃんは、アットホームな雰囲気の中でのびのびとバイトしているイメージなんですけど、そこを一歩出て看護学生として病院で研修している場面ではスイッチが切り替わるんです。ニコニコしている等身大の姿と、ひとつの目標にまっすぐ向かう姿のメリハリはすごく大事にしていました。
― 学校の友人といるときも、神尾楓珠さん演じる丈流といるときも、やっぱりそれぞれ雰囲気が違っていて。たしかにいろんな美優がいましたね。山本さんはいかがでしたか?
山本:私は産後、お芝居の仕事を少しセーブしていて久しぶりの作品への参加だったので、お芝居の感覚を思い出せるのかすごく不安で。とても息の合ったお芝居をする(神尾さんと桜田さんの)2人の邪魔にならないようにと思っていました。
― お二人の共演シーンでお気に入りのパートは?
桜田:マッサージチェアのシーンがすごく好きです。どこから持ってきたんだろうというマッサージチェアを沙希さんが使っていて、美優ちゃんが一生懸命話しているのに「あー」って(笑)。
山本:マッサージチェアでくつろいでいましたね。
桜田:こんなに穏やかな先輩がいるからこそ、美優ちゃんはのびのびと働けるんだなって実感できました。
山本:現場はすごく明るい空気だったよね。撮影が冬だったので、寒かったけど。
桜田:寒かったです。
― お店の中なのに寒かったんですか?
桜田:そうなんです。ビルの一角を貸し切って、そこをセットにして撮っていたんですけど、コンクリートむき出しのビルで……。
山本:足もとから冷える。
桜田:大雪も降って。
山本:寒さでいうと本当に過酷だったね(笑)。
休めるときに休んで、リフレッシュしたほうがいい(山本)
― お二人は劇中だけでなく、俳優としても先輩後輩の間柄ですよね。
山本:ひよりちゃんは何歳なの?
桜田:22です。
山本:おー。私、33だっけ? 30を超えてくるとわかんなくなる(笑)。
― 山本さんは20代を振り返って、やっておいたほうが良いと思うことはありますか?
山本:仕事をしすぎないほうがいいと思います。
― というのは?
山本:休めるときに休んで、リフレッシュはしっかりしたほうがいい。私はプライベートでインプットする時間も大切だと思うんです。アウトプットばかりしていたら、いつかからっぽになっちゃう気がしていて。仕事が人生の全てではないはずなので、プライベートも充実させたほうがいいかなと、今になって思います。
― とくにどういうことを経験しておいたほうがいいでしょうか?
山本:仕事で出会う人も大切だけど、プライベートでの出会いも大切だと思うので、いろんな場所に行ってみることも必要じゃないかな。
― 桜田さんはキャリアを築いていくうえで心がけていることはありますか?
桜田:休みの日は予定を詰め込みすぎずに、自分の時間を大切にしています。自分と向き合う時間がなくなると、すごくきつくてもそれに気づけなくて、いつかどこかが崩れてしまったときには何もかも手に負えなくなっちゃうと思うので。
山本:心と体の健康が一番だからね。
― 自分の時間には何をするんですか?
桜田:とにかく何もしないです。家で犬と一緒にゴロゴロくつろいだり、お昼寝したり、簡単な料理を作ったり。その瞬間だけお仕事の存在を忘れられるので。
― そうやって普通に暮らすということも大切なんでしょうね。山本さんは久々の現場だったということですけど、今後の活動のビジョンはありますか?
山本:去年は子育てと仕事の両立でいっぱいいっぱいだったので、今年はもう少し仕事に重きを置いてやっていけたらなと。バランスをとるのは難しいんですけど、先日撮影していたドラマでは、子育てをしながらでも働きやすいように製作側の方々が配慮してくださっていて。とても働きやすい環境でお芝居をさせていただけたことに、感謝しています。
― すばらしいですね。桜田さんはいかがでしょう?
桜田:たとえば学生など、若いときにしかできない役ってあるじゃないですか。私はそのときの自分にしかできない役を大切にしていきたいです。去年妊娠する役をやったときには、いつか自分がママになるときも来るんだろうかと、将来を考えたりしました。
― 本作で演じた美優も今しかできない等身大の役でした。
桜田:そうですね。去年は自分の時間も増えてプライベートが充実していたので、これからも仕事とのバランスを大切に進んでいきたいなと思っています。
Profile _
右:桜田ひより(さくらだ・ひより)
幼少期からキャリアを重ね、「明日、ママがいない」(14/NTV)、『祈りの幕が下りる時』(18)で注目を集める。2018年から「Seventeen」の専属モデルとして活躍し、2023年3月に卒業。2024年には、第47回日本アカデミー賞「新人俳優賞」受賞した。今作の草野監督とは映画『にがくてあまい』(16)に続き2作目となる近年の出演作は「silent」(22/CX)、「あの子の子ども」(24/KTV・CX)、映画『交換ウソ日記』(23)、『バジーノイズ』(24)、『ブルーピリオド』(24)など。現在放送中の「相続探偵」にも出演中。
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dress ¥264,000 / ZIN KATO, Other stylist’s own
左:山本美月(やまもと・みづき)
1991年7月18日生まれ、福岡県出身。2009年雑誌「CanCam」の専属モデルとしてデビュー。近年の出演作は「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」(23/Netfilx)、映画『忌怪島/きかいじま』(23)、映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』(24)など。
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dress ¥176,000 / tanakadaisuke (tanakadaisuke.jp), Other stylist’s own
Information
映画『大きな玉ねぎの下で』
2025年2月7日(金)全国ロードショー
出演者:神尾楓珠、桜田ひより
山本美月/中川大輔/伊東蒼、藤原大祐、窪塚愛流、瀧七海
伊藤あさひ、休日課長、和田正人、asmi/飯島直子
西田尚美、原田泰造/江口洋介
Inspired by 爆風スランプ「大きな玉ねぎの下で」
監督:草野翔吾
脚本:髙橋泉
ストーリー原案:中村航
音楽:大友良英 主題歌:asmi「大きな玉ねぎの下で」(Sony Music Labels Inc.)
©2024映画「大きな玉ねぎの下で」製作委員会
- Photography : Shunto Sato
- Styling for Hiyori Sakurada : Shingo Tsuno(impiger)
- Hair&Make-up for Hiyori Sakurada : Go Ikegami(NICOLASHKA)
- Styling for Mizuki Yamamoto : Aya Kurosaki(Linx)
- Hair&Make-up for Mizuki Yamamoto : Mifune(SIGNO)
- Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI)