神脚本映画3選|Lenny code fiction片桐航の「映画三枚」Vol.4
1993年生まれ、滋賀県出身。ロックバンドLenny code fictionのVo.&Gt.。多い時には年間200本以上の映画を観る、知る人ぞ知る映画通。独自のランキング付けには定評がある。
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どうも片桐航です。
さて、映画で大切なのは何でしょう。アクション?音楽?壮大さ?
色々あると思いますが、個人的には脚本力がかなり大切だと思ってます。
という事で、今回は脚本が神がかってスバラシイ映画3作品をおすすめします!
ただ神脚本というだけでなく、見応えがありすぎる映画を用意しました。気楽には観られない集中系の映画です。2020年、新しい時代にぜひ挑戦してみてください。
Disc1 『十二人の怒れる男』
この映画こそ神脚本です。
なぜならこれは、監督が「アクションがなくても、お金をかけなくても、脚本だけで最高の映画ができる」という宣言のもと作った映画だから。
ある凶悪事件の裁判の話なんですが、裁判が終わって観ている自分達も含め誰もが有罪だなと思う状況。一応審議室に入る陪審員12人、その内の1人が「無罪じゃないか?」と言い出すところから映画はスタートします。それからほとんど、この映画の舞台はその審議室のみで進んで行きます。
12人の男が話し合い、喧嘩し、審議していくうちに、あれ?ん?と疑問が浮かび、観ている自分達の意見も有罪か無罪か二転三転するくらいすごい脚本。
最後の最後に自分の意見がどっちになってるか、それも楽しみにしながら観てください。
日本でもこの映画をもとにして色んなパロディやリメイクなどが出てますが、圧倒的にこの原作が1番面白いです!
Disc2『女神の見えざる手』
自宅映画鑑賞はお菓子片手にソファでまったり、携帯を触りながらダラダラと、みたいな人はこの映画を観ないでください(笑)。『女神の見えざる手』を観るときは“絶対集中”をルールにする事をおすすめします。
一時期流行ったロビー活動(特定の主張を有する個人または団体が政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動)が題材なんですけど、1本通して一言一言が重要になってくる映画で、ロビー活動をする人=ロビイストの天才と天才のぶつかり合いが繰り広げられます。
天才の話し方についていくのも精一杯なうえ、その人達の作戦や嘘が巧妙すぎて少しでも置いていかれるとずっと離されます(笑)。ただ、見終わった時の満足感は他の映画とは比べ物になりません。
ラストはネタバレになるのでどう言ったらいいのかわかりませんが、「うぉーーーーーー!」という感情になります。
ずっと集中して追ってきた映画がラストシーンで全て繋がり回収される様は、まさに現代的神脚本。集中型の人、挑戦してみては?
Disc3『素晴らしき哉、人生』
人生とは?
人生において大切なものは?
なんて聞かれてもわからないし、そんなもの個人によって違う。と思うかもしれませんが、1946年に公開されたこの映画を観るだけでそれがわかります。
何十年経っても名作とよばれる理由には、やはりこの脚本力があると思います。人は何を大切にするべきなのかこんなにまで教えてくれるのはこの映画『素晴らしき哉、人生』しかありません。全国的に教材にするべきや!とまで思います(笑)。
後半までずーっと「なんでこのタイトルなんやろ?」とか「なんでこんなストーリーなんやろ?」とか思いながら観てると、終盤である事が起こります。
そこからは感動と素晴らしさのオンパレード。
こんなにもフリが効いてこんなにも上手くオチに繋がる映画が70年以上前に作られたなんて今でも信じられない。
クラシック映画を観るのはハードルが高いと思ってる人がいるかもしれませんが、この映画はクラシック映画の中でもかなり観やすいです。画質以外は今の映画とそれほど変わらないので死ぬまでに絶対に観てほしい1本。
この映画を観る前と後じゃ人生感が変わります。ぜひ!
3作品、それぞれちょっと趣向の違った神脚本映画をおすすめしました。
次回はどうしよ。考えるのが楽しくなってきました。
ではまた来月!
今月のMM計画 inspired by “Miss Sloane”
映画『女神の見えざる手』にインスピレーションを得て、Lenny code fiction片桐航が新たに紡いだ1曲。
♪モバイルサイト「THEATER02」で再生する
※スマートフォンのみ対応
MM計画とは“1MOVIE 1MUSIC”をコンセプトに、1日1本映画を観て、その作品に着想を得て1日1曲作るという片桐航の私的プロジェクト。無類の映画好きかつ300曲ものストックを持つソングライター片桐航ならではのスパルタ作曲術で、過去には1カ月間連日MMしたこともあるという。映画と音楽の幸福な協奏がここに!
styling:橘昌吾(@shogo_tachibana)
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- Text : Wataru Katagiri(Lenny code fiction)
- Photography : Kei Matsuura