パリ・ファッションウィーク 2025 秋冬メンズコレクションガイド — 過去と未来、伝統と革新の融合 vol.3
FURSAC/フルサック
<FURSAC>の2025秋冬コレクションは、冒険的でありながらもエレガンスを体現していた1980年代の男性のスタイルを反映し、変化する世界に適応するハイブリッドなシルエットを提案している。
コレクションでは、スプレッドカラーのシャツ、フレアジーンズ、イブニングコート、リラックスしたネクタイやブーツが組み合わされ、モジュラー・ユニフォームとして自由で実用的なデザインが見られた。
文化的引用や多様なスタイルが融合したコレクションは、エネルギッシュで現代的な冒険心を持つ男性に寄り添い、時代を超越したエレガンスを象徴している。
FURSAC 2025AW COLLECTION RUNWAY
Juun.J/ジュン・ジー
<JUUN.J>の2025秋冬コレクションは、構造と流動性、繊細さと大胆さを融合させたドラマティックなコントラストをテーマにしている。
コレクションでは、テーラードアイテムとオーバーサイズのシルエットが組み合わさり、デニムやスエードといった素材が使用され、ブランドのモダンな美学が表現されている。
伝統と現代性が融合したコレクションは、革新的でありながら誰もが着やすいデザインに仕上げられ、グローバルな影響力を持つ韓国発ファッションの次なるトレンドを予感させる。
JUUN.J 2025AW COLLECTION RUNWAY
Maison MIHARA YASUHIRO/メゾン ミハラ ヤスヒロ
<Maison MIHARA YASUHIRO>の2025秋冬コレクションは、「パラドックス」をテーマに、約30年にわたるブランドのアイデンティティを再提示することを目指した。
コレクションでは、逆説的なデザインとして、上下逆さまにドッキングされたブルゾンや、脱構築手法を取り入れたトップス、新たに誕生したスニーカー「OLIVER」や、コラボレーションスニーカー「AUTRY」を発表。
テーラリングの再考を通じてブランドの本質を明確にし、時間と風化に耐える強度を持つ逆説的なプロセスとして、ブランドの哲学を深めている。
Maison MIHARA YASUHIRO 2025AW COLLECTION RUNWAY
KENZO/ケンゾー
<KENZO>の2025秋冬メンズコレクションは、未来的な列車の旅をテーマに、旅のエネルギーを表現したプレッピーなスタイルを提案している。
コレクションでは、英国風テーラリングを現代的に解釈したスーツ、和風の要素を取り入れたスリーピーススーツが登場。
グラフィティ・アーティストFutura 2000とのコラボレーションによるグラフィックやニットウェアが登場し、ユニークな質感のニットやデニムが展開されている。
都市と自然、過去と未来、伝統と革新が融合し、ブランドのアイデンティティを新たな視点で表現したコレクションに仕上がっている。
KENZO 2025AW COLLECTION RUNWAY
KIKO KOSTADINOV/キコ コスタディノフ
<KIKO KOSTADINOV>の2025秋冬コレクションは、映画『ダムネーション』に影響を受け、無骨でテクスチャー豊かなシルエットと生々しい質感が表現されている。
コレクションでは、軍服や伝統的なクラフトに影響を受けた素材や構造が採用され、レイヤードや異素材の組み合わせが強調されたアイテムに目を奪われる。
<ASICS(アシックス)>との新たなコラボレーションで、1950年代に開発された足袋型マラソンシューズに着想を得たローカットファブリックランナーや、ラップアラウンドストラップ付きのハイトップブーツも登場。
ブランドの精緻な構築とアシンメトリーなデザインが一貫して感じられ、特に背面や側面からの視点で初めて明らかになるシルエットが、今シーズンを象徴する要素となっている。
KIKO KOSTADINOV 2025AW MENS COLLECTION RUNWAY
White Mountaineering®︎/ホワイト マウンテニアリング
<White Mountaineering>の2025秋冬コレクションは、モダニズムの起源とされるブルータリズム建築をテーマに、機能的なウェアに投影している。ブルータリズムは粗削りで原始的な素材を使用し、そのデザインには機能性が欠かせない。
コレクションでは、Gore-texなどの機能的素材やデニム、ウールといった天然素材が組み合わされ、機能性と素材の美しさが際立つデザインが随所に光る。
徹底的に機能性を追求し、視覚的にも印象的なラインや形状が反映された機能的ウェアは、ブルータリズムの哲学に基づいた美しさを表現している。
White Mountaineering 2025AW COLLECTION RUNWAY
doublet/ダブレット
<doublet>2025秋冬コレクションは、工業的な欠陥や不完全さに対する新たな視点を提案している。
コレクションでは、破損や曲がった部分が美として再解釈され、その中に秘められた機能性を取り入れた素材が使用されている。
欠陥を逆手に取った機能性素材や、人間の「ズレ」や「誤解」を象徴するアイテムは、正しさを押し付けられずに自由な可能性を表現しており、曲がった部分こそが新たな価値を生むというメッセージが込められている。