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パリ・ファッションウィーク 2026年春夏メンズコレクションガイド — 「服とは何か」を再考する、新たな装いの物語 vol.2

Jul 30, 2025
2025年6月24日(火)〜29日(日)、パリ・ファッションウィーク 2026年春夏メンズコレクションが開催された。記憶や身体性、都市と自然、歴史と未来といった対立する要素を縫い合わせながら、それぞれのブランドが「服とは何か」を再考するような、濃密な物語が展開された今シーズン。素材や構造の実験性とともに、衣服に宿る時間性や感情、さらには社会との対話を重視するコレクションが数多く見られ、過剰な演出よりも「語りかける衣服」としての誠実さが際立った。世界的ブランドから気鋭のデザイナーまで、注目のランウェイをvol.1からvol.3にわたってご紹介。

パリ・ファッションウィーク 2026年春夏メンズコレクションガイド — 「服とは何か」を再考する、新たな装いの物語 vol.2

Jul 30, 2025 - FASHION
2025年6月24日(火)〜29日(日)、パリ・ファッションウィーク 2026年春夏メンズコレクションが開催された。記憶や身体性、都市と自然、歴史と未来といった対立する要素を縫い合わせながら、それぞれのブランドが「服とは何か」を再考するような、濃密な物語が展開された今シーズン。素材や構造の実験性とともに、衣服に宿る時間性や感情、さらには社会との対話を重視するコレクションが数多く見られ、過剰な演出よりも「語りかける衣服」としての誠実さが際立った。世界的ブランドから気鋭のデザイナーまで、注目のランウェイをvol.1からvol.3にわたってご紹介。

AMIRI/アミリ

<AMIRI>は「Chateau AMIRI(シャトー・アミリ)」と題した架空のホテルを舞台に、カルチャーと感性が交錯する幻想的なコレクションを展開。
映画や音楽、アートから着想を得た登場人物たちが、各々のスタイルで非日常の空間を漂った。
リラックスしたテーラードスーツ、刺繍ローブ、ジャカードのスリッパなど、クラフトマンシップが随所に光る洗練されたピースが並んだ。
非現実と日常の間を優雅に行き来するスタイルは、ラグジュアリーとは「共鳴する感性」であることを改めて提示していた。

CAMPERLAB/カンペールラボ

<CAMPERLAB>は初のランウェイを廃墟化した立体駐車場で開催し、ポストアポカリプティックなビジョンを打ち出した。
光と煙が満ちる中、歪んだシルエットや反骨的なディテールを纏ったキャストたちが、新しい価値観を体現した。
トロンプルイユのタータンスーツ、スパイク付きスニーカー「TORNADO」、変形バッグなど、挑発的なピースが会場に強い印象を残した。
クラフトとサブカルの融合により、靴作りの文脈を再解釈しながら、装いを通じて社会と身体に切り込むプラットフォームとして進化を遂げた。

CAMPERLAB 2026SS COLLECTION RUNWAY

Yohji Yamamoto POUR HOMME/ヨウジヤマモト プールオム

<Yohji Yamamoto POUR HOMME>は、宗教、戦争、環境といった現代の痛みに寄り添い、服を通して「祈り」の静けさを描き出した。
黒と白のミニマルな世界観に詩的な言葉を織り込みながら、メッセージが透けるような素材づかいや、羽織風のフォルムで語りかけた。
レッドの差し色や重厚なレザーシューズなど、繊細さと力強さの間にあるバランスが視覚と感情の両面に訴えかける。
視覚的な派手さを排しながら、今を生きる者たちの在り方に静かに問いかけるこのコレクションは、美と思想を等価に扱う稀有な表現だった。

FASHION
Yohji Yamamoto POUR HOMME 2026年春夏コレクション、“今”への詩的抵抗
Jul 04, 2025

SYSTEM/システム

<SYSTEM>は「Office Daydream」をテーマに、現代都市のオフィスという制約された空間に、幻想と柔らかさを紛れ込ませた。
ホワイトを基調とする繊細なカラーパレットと、透ける素材による空気を孕んだレイヤリングが、閉塞の中に微細な逃避を示した。
コレクションでは、シルクタッチのタフタ、軽量アウター、パッド入りのジャケット、シースルーシャツなどが展開された。
“働く”という日常を解体せずに詩的にゆるめていくスタンスは、都市生活者の理性と感情のバランスに寄り添った、静かなプロテストの形だった。

SYSTEM 2026SS COLLECTION RUNWAY

RICK OWENS/リックオウエンス

<Rick Owens>は「TEMPLE」というテーマのもと、愛を軸にグラマーと混沌の間に宿る美を再解釈した。
サステナブル素材や切り裂かれたレザー、鋲、フリンジを用いた構築的な衣服は、秩序と崩壊の境界を漂っていた。
象徴的なブリトースニーカーや破壊的なレザージャケット、再構築されたニットなど、過去と未来が交差するアイテムが並ぶ。
コレクションを通してリック・オウエンスは、生と死、記憶と忘却を衣服の中で儀式として可視化し、完璧ではない美しさにこそ人間らしさがあると語りかけていた。

Rick Owens 2026SS MENS COLLECTION RUNWAY

JUNYA WATANABE MAN/ジュンヤ ワタナベ マン

<JUNYA WATANABE MAN>は、「古いのに新しいもの」をテーマに、記憶と現在を重ね合わせる旅のようなコレクションを提示した。
ヨーロッパ建築のプリントやクラシックなモチーフが、ワーク素材やデニムとぶつかり合い、過去と今の接点を鋭く描き出す。
ネクタイを多重に配したシャツ、意図的に歪めたシルエット、解体再構築のワイドパンツなど、複雑さを肯定するアイテムが並んだ。
時間という素材を編集するような服作りは、記憶のレイヤーとしての衣服の可能性を改めて浮き彫りにしていた。

FASHION
JUNYA WATANABE MAN 2026年春夏コレクション、“古さ”を再編集する、新しいリアリティ
Jul 08, 2025

Juun.J/ジュン ジー

<JUUN.J>は「BOY‑ISH」をテーマに、若さの未熟さや変化を肯定し、成長の過程をスタイルとして可視化したコレクションを発表。
フォーマルなトップスに対して、ボトムはバルーンシルエットや多層構造で構築され、安定と不安定が交錯する構成となっていた。
シャープなショルダー、リネン調のスーツ素材、軽量ナイロンやストライプコットンが印象的なルックに用いられた。
失敗や模倣すら個性とする若さの特権を肯定するこのコレクションは、偶発性を受け入れることの美しさを静かに伝えていた。

JUUN.J 2026SS COLLECTION RUNWAY

Maison MIHARA YASUHIRO/メゾン ミハラ ヤスヒロ

<Maison MIHARA YASUHIRO>は「Ordinary People」をテーマに、日常の中にある違和感やズレを衣服に落とし込んだ。
MA-1とデニムのドッキングや4本袖のコートなど、既視感ある要素をずらすことで人間の複雑性を表現していた。
グラフィックアーティストNavinder NanglaとのコラボによるTシャツやフーディーは、意識の奥に潜む混沌を視覚化した。
「普通」の内側にある不確かさをすくい取る視点は、装うという行為に含まれる無意識との対話を促す鋭いアプローチだった。

Maison MIHARA YASUHIRO 2026SS COLLECTION RUNWAY

FASHION
パリ・ファッションウィーク 2026年春夏メンズコレクションガイド — 「服とは何か」を再考する、新たな装いの物語 vol.1
Jul 30, 2025
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パリ・ファッションウィーク 2026年春夏メンズコレクションガイド — 「服とは何か」を再考する、新たな装いの物語 vol.3
Jul 30, 2025

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