アートギャラリーが“今注目”のアーティストを紹介|recommend by NANZUKA
今回は、NANZUKAオーナーの南塚 真史さんに聞きました。
2005年、NANZUKA UNDERGROUNDの名で東京渋谷に設立。デザイン、イラスト、ストリートカルチャー、ファッション、ミュージックなど、アートの周辺分野における創造性をアカデミックに扱う実験的な企画ギャラリーとして活動。同時に、田名網敬一、空山基、山口はるみ、佐伯俊男といった、戦後日本のアートシーンの外で評価されてきた才能を再発掘し、国際的な現代アートの舞台での紹介に努めている。一方で、多くの国際的なギャラリーと協力し、佃弘樹、三嶋章義、大平龍一、谷口真人、モリマサト、ハロシといった国内の若手及び中堅作家の育成と紹介を行うと同時に、選り抜きの世界的アーティストと協力してグローバルなアートシーンの現在を体現している。
Susan Te Kahurangi King(スーザン ・テ・カーランギ・キング)
1951年、ニュージーランド生まれの独学のアーティスト。四歳までに言語能力を失い、代わりに幼少期よりペン、鉛筆、色鉛筆、クレヨン、マーカーを用いて、動物や人、漫画のキャラクターなどを漫画的な構図や、網目状に張り巡らせた波を連想させる画面で描くドローイング作品を多数制作。2009年に、キュレーターのピーターフェイが発掘し、個展を開催。以後、アウトサイダーアートの文脈を超えて現代アートの世界で高い評価を得ている。
©Susan King
Photo Credit: Sam Hartnett
©Susan King
Photo Credit: Sam Hartnett
〈注目ポイント〉
拡大する現代アートシーンにおいて、アウトサイダーアートの存在が意味する重要性は日々ましている。アート業界のパワーゲームに左右されず、純粋な美学的評価によってのみ発掘されるという美談の一方で、作者本人の意図を超えた経済的成功をもたらす点を問題視する意見も多い。しかし、NANZUKAが掲げる、同時代を生きる私たちの関心や問題意識こそがアートの本質的な存在価値であるというステートメントに即して、スーザンキングの作品は大きな意味を持つ。
Jang Koal(ジャン・コール)
1989年、韓国のウルサン生まれ。現在はソウルで制作活動を行う。楮(こうぞ)や桑といった植物から作られる「ハンジ」と呼ばれる伝統的な韓紙に何度も色を重ねて鮮やかに描かれるその作品は、李氏朝鮮時代から伝わる水彩画の肖像画(美人画)を連想させる。東洋文化の伝統とコールの描く現代的なイラストレーションのテクニックの融合は、場所と時代を超えた神秘性を生み出している。
©Jang Koal
©Jang Koal
〈注目ポイント〉
文化的に日本と深く長い関係性をもつ韓国の新世代のアーティスト。コールの作品が、ここ日本においても新鮮な印象を与える効果に、アジアのアートの大きな可能性を改めて感じる。
今回ご紹介いただいたのは・・・
NANZUKA オーナー
南塚真史さん
1978年東京都生まれ。早稲田大学美術史学科卒業後、2005年渋谷に「NANZUKA
UNDERGROUND」を設立。開廊以来、田名網敬一、空山基、山口はるみ、佐伯俊男といった美術の外のイラストの文脈に位置づけられてきた作家や、モリマサト、Haroshi、ダニエル・アーシャム、佃弘樹、トッド・ジェームスといった国内外の新進作家を取り扱ってきた。現在は渋谷と心斎橋のPARCOにある「2G」や、中目黒の「3110NZ by LDH Kitchen」なども手がけ、2013年、AISHO MIURA ARTS とのジョイントギャラリーとして香港支社「AISHONANZUKA」をオープン。2021年6月に新たなフラッグシップギャラリーをオープン。既存の「アート」の文脈を拡張し、「ファインアート」の枠を壊すために、ファッション、音楽、デザインなどの異業種とのコラボレーションを積極的に行っている。
NANZUKA UNDERGROUND
©NANZUKA
HP
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住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3丁目30−10
- Edit : Seiko Inomata(QUI)