本展は、フランス・ダンケルクを拠点とする現代美術地域コレクションFRAC Grand Large（フラック・グラン・ラルジュ）とエルメス財団との協働により実現した。

Nefeli Papadimouli | We Are Forests | 2021 | Video installation
©Nefeli Papadimouli- Collection FRAC Grand Large — Hauts-de-France

展覧会タイトルの「体を成す からだをなす」は、フランス語の「Faire Corps（一体となる、調和する）」に由来し、個と社会の関係性や身体の集合的な在り方に迫る試みだ。出展作は1973年から2025年までに制作されたもので、ヨーロッパ、アメリカ、日本出身のアーティスト13名による多彩なメディアを用いた作品が並ぶ。

ヘレン・チャドウィックの写真作品《In the Kitchen》やアンドレ・カデレの《丸い木の棒》、アナ・トーフの無音映像《サイドショー》、ネフェリ・パパディムーリによるコスチュームとヴィデオ作品《森になる》など、社会的・政治的文脈の中で身体性を問う作品が目を引く。また、言語や詩を媒介に、魔法や愛、クィアな未来を思索するタレク・ラクリッシ、そして笹原晃平は忘れられた傘で構成したドーム状のインスタレーション《Sunny》を発表する。

作品群はジェンダー、移民、身体、歴史といった今日的なテーマを孕みながら、境界や制度のゆらぎを観客に示唆する。観る者は、既存の枠組みではとらえきれない“からだ”のあり方を多層的に体感することになるだろう。

【アーティスト】

ÅBÄKE | The Handshake | 2014 | Collaboration with Kazutaka Furukomi and Rakkan Ohata
©ÅBÄKE-Collection FRAC Grand Large ― Hauts-de-France

アバケ/オバケ（Åbäke）
2000年にロンドンで結成された、アート、グラフィック、教育などの分野を横断するコレクティヴ。物語や文脈、メディアの機能そのものに問いを投げかける。

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André Cadere | Exhibition with Galerie des Locataires, Avenue des Gobelins, Paris, April 3-8, 1973
Photo : Emmanuel WATTE ©Courtesy Succession André Cadere et Galerie Hervé Bize - Collection FRAC Grand Large ―Hauts-de-France

アンドレ・カデレ（André Cadere）
ポーランド生まれ、パリを拠点に活動。制度批評を軸に活動し、美術館の外で作品を提示する実践で知られる。

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Helen Chadwick | In the Kitchen | 1977 ©Helen Chadwick –Collection FRAC Grand Large ―Hauts-de-France

ヘレン・チャドウィック（Helen Chadwick）
ロンドン出身。女性の身体や社会的な役割を主題に、エレガントかつ挑戦的な作品を展開。

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Jesse Darling | Epistemologies (collapsed cabinet) | 2018
© Jesse Darling - Collection FRAC Grand Large - Hauts-de-France

ジェシー・ダーリング（Jesse Darling）
オックスフォード出身。構造と傷つきやすさの共存をテーマに、身体や社会構造の不安定さを再構成する。

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Christine Deknuydt | Mirror effect | 制作年不明 | Photo: Ludovic Linard | ©Arlette Deknuydt- Collection Frac Grand Large ― Hauts-de-France

クリスティーヌ・デュクニット（Christine Deknuydt）
ダンケルク生まれ。詩的なテキストと具象モチーフが交差するドローイング作品を多く手がけた。

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Jessica Diamond | Me Constellation From the series Tributes to Kusama | 1992-1993, 2025 | サイズ可変 © Jessica Diamond - Collection FRAC Grand Large - Hauts-de-France

ジェシカ・ダイアモンド（Jessica Diamond）
ニューヨークを拠点に活動。言葉とビジュアルの融合によって、権力や欲望を批評的に可視化。

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Pauline Esparon｜L’écoucheur ottoman｜2020 ©Pauline Esparon - Collection FRAC Grand Large Large ―Hauts-de-France

ポーリーヌ・エスパロン（Pauline Esparon）
フランス出身。素材の特性と触覚性に焦点を当てたプロセス志向の作品を展開。

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Tarek Lakhrissi | Hard to love | 2017 | Video © Adagp, Paris - Collection FRAC Grand LargeーHauts-de-France

タレク・ラクリッシ（Tarek Lakhrissi）
文学と詩を背景に、クィアな視点から言語と身体の関係性を探る。

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Paul Maheke | The Mauve Hour IV | 2021 ©Paul Maheke -Collection FRAC Grand Large ーHauts-de-France

ポール・マへケ（Paul Maheke）
身体性とスピリチュアリティ、不可視性を探る作品で注目される。

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Bruno Munari | Seeking comfort in an uncomfortable chair | 2012 Photo: FRAC Grand Large
© Bruno Munari. Courtesy Corraini Edizioni, Maurizio Corraini s.r.l., Collection FRAC Grand Large ーHauts-de-France

ブルーノ・ムナーリ（Bruno Munari）
未来派や教育分野にも多大な影響を与えたイタリアのデザイナー／アーティスト。

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Nefeli Papadimouli | Kind of Us | 2019-2020 | Photo: Emmanuel WATTEAU © Adagp, Paris, Nefelipapadimouli-Collection FRAC Grand Large -Hauts-de-France

ネフェリ・パパディムーリ（Nefeli Papadimouli）
ギリシャ出身。彫刻やパフォーマンスによって「中間性」の表現を追求。

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Kohei Sasahara | Sunny | 2016 | Photo: Aurélien Mole© Kohei Sasahara – Collection Frac Grand Large ーHauts-de-France

笹原晃平（Kohei Sasahara）
東京生まれ。場所や人との関係性に着目したインスタレーションを展開。

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Ana Torfs | Sideshow | 2019 | Video| Photo: Ana torfs © Adagp, Paris,- Collection FRAC Grand Large ーHauts-de-France

アナ・トーフ（Ana Torfs）
記憶や知覚の構築をテーマに多様なメディアで活動。

【開催情報】
展覧会名：体を成す からだをなす ― FRAC Grand Large収蔵作品セレクション
会期：2025年7月19日（土）〜10月12日（日）
会場：銀座メゾンエルメス ル・フォーラム（東京都中央区銀座5-4-1 8・9階）
開館時間：11:00〜19:00（入場は18:30まで）
休館日：水曜日（ただし7月30日は開館）
観覧料：無料
主催：エルメス財団、FRAC Grand Large ― Hauts-de-France
後援：在日フランス大使館／アンスティチュ・フランセ
Instagram：https://www.instagram.com/hermes/