いま観るべき映画|2023年5月
銀河鉄道の父
2023年5月5日(金・祝)より、全国公開
監督:成島出
原作:門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社文庫)
主題歌:いきものがかり「STAR」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
出演:役所広司、菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中 泯
©2022「銀河鉄道の父」製作委員会
〈STORY〉
笑って、泣いて、ぶつかってー 弱いけど強い、それが家族。
質屋を営む裕福な政次郎の長男に生まれた賢治は、跡取りとして大事に育てられるが、家業を「弱い者いじめ」だと断固として拒み、農業や人造宝石に夢中になって、父・政次郎と母・イチを振り回す。さらに、宗教に身を捧げると東京へ家出してしまう。
そんな中、賢治の一番の理解者である妹のトシが、当時は不治の病だった結核に倒れる。賢治はトシを励ますために、一心不乱に物語を書き続け読み聞かせる。だが、願いは叶わず、みぞれの降る日にトシは旅立ってしまう。「トシがいなければ何も書けない」と慟哭する賢治に、「私が宮沢賢治の一番の読者になる!」と、再び筆を執らせたのは政次郎だった。
「物語は自分の子供だ」と打ち明ける賢治に、「それなら、お父さんの孫だ。大好きで当たり前だ」と励ます政次郎。だが、ようやく道を見つけた賢治にトシと同じ運命が降りかかる──。
おとななじみ
2023年5月12日(金)より、公開
監督:高橋洋
原作:「おとななじみ」中原アヤ(集英社マーガレットコミックス刊)
主題歌:「Sweet Melody」 Kis-My-Ft2
出演:井上瑞稀(HiHi Jets / ジャニーズJr.)、久間田琳加、萩原利久、浅川梨奈、岡本夏美、菊池亜希子、宍戸美和、横澤夏子、村上健志(フルーツポンチ)、アンミカ、松金よね子、
©中原アヤ/集英社©2023 「おとななじみ」製作委員会
〈STORY〉
青山春と加賀屋楓は、 4歳の時から隣に住む “おさななじみ” 。 お互い一人暮らしを始めた24歳の二人は、 結局今も同じアパー トの隣の部屋に住んでいる。楓は小さいころからハルを想い続けているが、 肝心のハルは楓の気持ちに全く気付く様子はない。だらしないハルに、 楓はつい世話を焼きすぎて最早オカン化してしまっていた。
進展しない関係に業を煮やした楓は、おさななじみの伊織と美桜に相談し、 ハルを諦める事を宣言。しかし、 決意したものの、 ズルズルとハルを諦めきれない楓に、伊織は大人の男として優しく接し、 実は楓のことが小学生の頃から好きだったと告げる。急接近する楓と伊織の様子を目の当たりにして、 動揺するハル。鈍感ながらも、 自分の本心に気付き始めたハルだったが、楓に対して素直になることができず、 美桜に心の内を相談する。
実は、 ハルは楓の亡き母親と交わした約束を純粋がゆえに頑なに守り続けなければならないと思っていて──。
▼久間田琳加さんインタビュー
世界で戦うフィルムたち
2023年5月20日(土)より、池袋シネマ・ロサにて2週間限定公開
監督:亀山睦木
出演:北村龍平、谷垣健治、清水崇、深田晃司、片山慎三、祐真キキ、寺島しのぶ、松本卓也、宇賀那健一、戸田彬弘、野本梢、加藤綾佳、石橋夕帆、田中大貴、皆川暢二、中屋柚香、中垣内彩加、工藤孝生、岡田深、大石菊華、今村左悶、カン・ハンナ、Michael A Stackpole、Neilson Black、Louis Savy、掛尾良夫、矢田部吉彦
©noadd Inc.
〈STORY〉
世界中の映画制作者たちがしのぎを削る国際映画祭。濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』の快進撃はあったものの、韓国を筆頭にアジア勢が目覚ましい躍進を見せているこの潮流に日本はいまひとつ乗り切れていない。コロナ禍の混乱が続く2021年、若手監督・亀山睦木は、SF長編作品『12ヶ月のカイ』を手に世界各地の映画祭に挑み、その様子を記録し始めた。
応募から舞台挨拶、現地の関係者との交流、そしてホテルでの独白…。映像は亀山の奮闘と、英語力や日本映画業界の特殊性など、日本人ゆえに感じる壁を克明に映し出す。合間に挟まれるのは、亀山による映画関係者へのインタビュー。若手の監督・俳優のリアルな苦悩、そして寺島しのぶ、北村龍平監督ら世界で活躍する映画人の経験が彼ら自身の言葉で語られる。日本の映画制作者たち、そして日本映画は今どのような問題を抱え、これからどうなっていくのだろうか?
亀山たちは共に考え、道を模索していく。その先に見えてくるものとは…。
はざまに生きる、春
2023年5月26日(金)より、全国ロードショー
監督・脚本:葛里華
出演:宮沢氷魚、小西桜子、細田善彦、平井亜門、葉丸あすか、芦那すみれ、田中穂先、鈴木浩文、タカハシシンノスケ、椎名香織、黒川大聖、斉藤千穂、小倉百代、渡辺潤、ボブ鈴木 / 戸田昌宏
©2022「はざまに生きる、春」製作委員会
〈STORY〉
出版社で雑誌編集者として働く小向春(小西桜子)は、仕事も恋もうまくいかない日々を送っていた。ある日、春は取材で、「青い絵しか描かない」ことで有名な画家・屋内透(宮沢氷魚)と出会う。思ったことをストレートに口にし、感情を隠すことなく嘘がつけない屋内に、戸惑いながらも惹かれていく春。屋内が持つその純粋さは「発達障害」の特性でもあった。ただ、人の顔色をみて、ずっと空気ばかり読んできた春にとって、そんな屋内の姿がとても新鮮で魅力的に映るのであった。
周囲が心配する中、恋人に怪しまれながらも、屋内にどんどん気持ちが傾いていく春だったが、「誰かの気持ちを汲み取る」ということができない屋内にふりまわされ、思い悩む。さまざまな “はざま”で揺れる春は、初めて自分の心に正直に決断するー。
波紋
2023年5月26日(金)より、公開
監督・脚本:荻上直子
出演:筒井真理子、光石研、磯村勇斗 / 安藤玉恵、江口のりこ、平岩紙、津田絵理奈、花王おさむ、柄本明 / 木野花、キムラ緑子
©2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ
〈STORY〉
須藤依子(筒井真理子)は、今朝も庭の手入れを欠かさない。“緑命会”という新興宗教を信仰し、日々祈りと勉強会に勤しみながら、ひとり穏やかに暮らしていた。ある日、長いこと失踪したままだった夫、修(光石研)が突然帰ってくるまでは—。
自分の父の介護を押し付けたまま失踪し、その上がん治療に必要な高額の費用を助けて欲しいとすがってくる夫。障害のある彼女を結婚相手として連れて帰省してきた息子・拓哉(磯村勇斗)。パート先では癇癪持ちの客に大声で怒鳴られる・・・。
自分ではどうにも出来ない辛苦が降りかかる。依子は湧き起こる黒い感情を、宗教にすがり、必死に理性で押さえつけようとする。全てを押し殺した依子の感情が爆発する時、映画は絶望からエンタテインメントへと昇華する。
▼いま観るべき映画|2023年4月