Plain, Simple, Useful, Joyful — フィリックス・コンランが日本での暮らしから考えた家具
テレンス・コンランが掲げてきたデザインの原理に、フィリックス・コンランは「Joyful」という言葉を加えた。それは、新しい思想というよりも、日本での生活を通して自然と立ち上がってきた視点だった。
Plain, Simple, Usefulに、Joyfulという視点を
無駄を削ぎ落とし、使うことを起点に考える。
良質なデザインが生活の質を高めるという考え方は、テレンス・コンランが長く体現してきたものでもある。その哲学を身近な環境で見つめながら育ち、いま改めて向き合っているのが、孫でありプロダクトデザイナーのフィリックス・コンランだ。
フィリックスがそこに重ねたのが「Joyful」という視点だった。家具が生活の中にあり続けるものである以上、使う人にとって無理のない存在であることが重要だと考えている。派手な装飾や演出ではなく、使い心地や、時間とともに馴染んでいく感覚。その積み重ねが、「Joyful」につながっていく。
ロンドンから奈良県東吉野へ。暮らしが変わり、視点が変わった
ロンドンを拠点に家具やプロダクトを手がけてきたフィリックスは、3ヶ月間日本を旅するなかで奈良県・東吉野を訪れた。都市から離れたある山あいの土地で、空き家や、手入れが行き届いていない森林の風景を目の当たりにする。そうした光景を前に、デザインを通して関われることがあるのではないかと感じた。
その後、30歳を節目に東吉野への移住を選び、まずは自身が住む古民家の修復に取り組んだ。床や壁、設備といった空間を構成する要素をひとつずつ見直しながら、地元の職人や素材と向き合っていく。手を動かしながら整えていく家づくりの経験は、フィリックス自身のものづくりの感覚にも少しずつ影響を与えていった。
日本の暮らしのために設計された、新作ソファ「SHIMIDO」

今回発表された新作ソファ「SHIMIDO」は、日本での生活を前提に設計されたプロダクトだ。フィリックスはこれまで世界各地で数多くのソファを手がけてきた経験から、良質なソファが日々の暮らしの時間に与える影響の大きさを実感してきた。

穏やかな曲線を描くフォルムは、東吉野で日常的に目にしてきた山並みから着想を得ている。空間に置いたときの印象と、実際に座ったときの感覚が大きく乖離しない、落ち着いたかたちを目指している。
「SHIMIDO」が目指したのは、座った瞬間のインパクトではなく、長く座り続けられる心地よさ。沈み込みすぎることなく、身体を支えるバランスを重視している。作業をしたり、くつろいだりと、日常のさまざまな場面に自然と馴染む設計だ。座面の奥行きは2タイプを用意している。


張地には、イタリア製コットンのウォッシャブルカバーを採用。取り外して洗える仕様は、使い続けることを前提としたものだ。カバーは全8色展開で、空間や好みに合わせて選ぶことができる。脚部にはヒノキ材を使用し、床を傷めにくい構造としている。
なお、フィリックス自身のお気に入りはアームチェアだという。包まれるような形と、長く座り続けられる感覚が、最もよく表れていると感じているそうだ。
暮らしの中で考えられた、アイランドとボックス

東吉野での暮らしや古民家の修復を通して、フィリックスはキッチンという場所について改めて向き合うようになった。自宅の中で最も長く時間を過ごす場所だからこそ、より心地よく、使いやすい空間であるべきだと考えたという。
そうした暮らしの中で、キッチンまわりの収納や作業台についても、日々の使われ方を起点に考えられた。その考えをかたちにしたのが、「ISLAND」と「HELPFUL STORAGE BOX」だ。


「ISLAND」は、キッチンの中心に据える作業台として設計された。調理や配膳の場であると同時に、人が自然に行き交う場所でもある。前後どちらからも使える構成とすることで、動線を限定せず、暮らしの中に無理なく組み込まれることを意識している。
「HELPFUL STORAGE BOX」には、酒枡(ます)づくりの技術を応用した構造を取り入れ、木の組みだけで成り立たせている。調理器具やキッチンツールのほか、炊飯器やレコードなども収まるサイズで、置く場所や使い方を限定しないつくりとなっている。素材にはヒノキを使用し、木目や香りといった特性に加え、湿気の多いキッチン環境に適していることから選ばれた。ボックスはスタッキングが可能で、収納量や配置を、暮らしや空間に合わせて調整できる。
日常の中で、心地よさが積み重なっていく家具
フィリックス・コンランが日本でつくった、この新しいコレクション。
日々使われる中で、少しずつ馴染んでいくことを前提にした家具だ。
Plain, Simple, Useful, Joyful。
その言葉の意味は、使う人それぞれの日常の中で、ゆっくりと実感されていくのかもしれない。
商品・販売情報
フィリックス・コンランによる新作コレクションは、ザ・コンランショップ限定のエクスクルーシブラインとして展開される。
SHIMIDO SOFA by Felix Conran

3 Seater Sofa W190×D75 / 85×H79cm ¥495,000(D75) / ¥517,000(D85)
2 Seater Sofa W150×D75 / 85×H79cm ¥385,000(D75) / ¥418,000(D85)

Armchair W85×D75 / 85×H79cm ¥319,000(D75) / ¥341,000(D85)
Ottoman W50×D50×H38cm ¥165,000
ISLAND + HELPFUL STORAGE BOX by Felix Conran

Island 2 W120×D45×H88cm ¥242,000
Small Draw W29×D38×H8.6cm ¥16,500

Medium Draw W29×D38×H14.6cm ¥27,500
Large Draw W29×D38×H28.8cm ¥33,000
発売日:2026年1月24日(土)より先行発売
展開店舗:ザ・コンランショップ 丸の内店
販売:ザ・コンランショップ オンラインショップ
The Conran Shop
The Conran Shop(ザ・コンランショップ)は、世界中から厳選した家具や照明、インテリア小物、ギフトに加え、オリジナルアイテムも多く展開するホームファニシングショップ。
1973年、イギリスを代表するデザイナー、テレンス・コンランによってロンドンに1号店がオープン。現在はイギリス、日本、韓国、クウェートの4カ国で展開し、インスピレーションの源となるアイテムとスタイリングを通して、日々の暮らしを豊かに楽しむ提案を行っている。
URL:https://www.conranshop.jp
Instagram:@theconranshop.japan
フィリックス・コンラン(Felix Conran)
フィリックス・コンランは、家具、建築、プロダクト、建材分野を横断して活動するプロダクトデザイナー兼起業家。1994年生まれ。祖父であるサー・テレンス・コンランの影響のもと、幼少期よりものづくりとデザインに親しみながら育つ。
2018年に英国で家具ブランド<Maker&Son>を共同設立し、耐久性、透明性、責任ある製造を軸としたブランド構築に携わる。2023年には日本各地の工房や地域を巡り、素材や手仕事に関するリサーチを実施。奈良県・東吉野村との出会いをきっかけに、2024年3月より同地へ拠点を移している。現在は日本を拠点に、建築、家具、プロダクト、建材のデザインを手がける。
URL:https://ha.partners/
Instagram:@felixconran
- Text & Edit : Y.O(QUI)