4月1日は、エイプリルフール – 世界を騙した華麗なる嘘
エイプリルフールは「嘘をついてもいい日」として知られています。でも、その起源や歴史についてはあまり知られていません。今日は、世界のエイプリルフールの有名なジョークを紹介しながら、エイプリルフールが持つ独特な魅力や面白さに迫っていきます。
エイプリルフール 世界を騙した華麗なる嘘
英BBCによる「スパゲッティの収穫」報道
1957年4月1日、イギリスBBCのニュース番組で、このようなニュースが流れました。「今年の冬は穏やかで、スパゲティゾウムシの駆除も上手くいったので、スイスの農家たちはスパゲッティの豊作を喜んでいます」
このニュースには、スイスの農民たちがスパゲッティの束を木から引きずり下ろす映像が添えられていました。このニュースに多くのイギリス人がだまされ、何百人ものひとが自分のスパゲッティツリーを育てる方法を知りたいとBBCに電話したといいます。しかも、BBCの担当者は「トマトソースの缶にスパゲッティの小枝を入れればいい」と答えたのだとか。
これによりBBCは多くの批判にさらされましたが、エイプリルフールのジョークをメディアが扱った最初の例と言われています。
スイス観光局のYouTubeで、実際の映像を見ることができます。
ストッキングで白黒テレビをカラーにする方法
1962年4月1日、スウェーデンのテレビ局は、技術専門家のシェル・ステンソンをニュースで紹介し、新しい技術のおかげで、自宅の白黒テレビを簡単にカラーテレビにすることができると発表しました。当時、スウェーデンのテレビは1チャンネルだけで白黒放送だったのでこれはビッグニュースでした。
ステンソンは、こう言いました。「視聴者がしなければならないことは、たったひとつ!テレビ画面の上にナイロンのストッキングを被せるだけで、メッシュが光を曲げて、画像がカラーであるかのように見えるんです!」
必要なのはナイロンのストッキングだけで、画面からちょうどいい距離にいる必要があり、色のスペクトルに光を当てるには頭を左右にずらしたりする必要があるかもしれないと言いました。それは光のプリズム効果の関係だと最もらしく説明を足しました。
これには何千人もの人々がだまされ、ストッキングを買う行列ができたといいます。
今日でも、多くのスウェーデン人は、父親がテレビに被せるストッキングを探して家の中を駆け回ったことを覚えていると報告しています。
ちなみに、スウェーデンでのカラー放送は、1970年4月1日に開始されたというから何とも粋な話です。
嘘が本当になったGoogleのエイプリルフールジョーク
2014 年、4 月 1 日にGoogleが公開したのは、プレイヤーが Google マップを使用してポケモンを探して捕まえることができるゲーム。1日限定で、世界中のGoogleマップ上にポケモンが現れたのです。これ、どこかで見たことがあると思いませんか?
そう、実はポケモン社とGoogleが一緒に作ったこのジョークをきっかけに、2年後、世界的な大ヒットゲームポケモンGOが誕生したのです。
エイプリルフールの起源
エイプリルフールの始まり
エイプリルフールの起源については、諸説あり詳しいことは分かっていません。
ただ、1983年、ボストン大学の歴史学教授であるジョセフ・ボスキン氏がAP通信のインタビューにこのように語っています。
エイプリルフールの起源は、古代ローマ時代に、愚か者や道化師たちが時の皇帝コンスタンティヌスに、「道化師たちの誰かでも、皇帝と同じかそれ以上に王国を支配できる」と自慢したことがきっかけだと述べました。
道化師の発言を面白がったコンスタンティヌス帝は、愚者の王であるクーゲルを一日皇帝に任命する機会を与え、この習慣が定着し、エイプリルフールという伝統が生まれたと教授は説明したのです。
しかし、数週間後、ボスキン教授は自分のデマをすべて告白しました。すべてエイプリルフールのためのジョークで、「エイプリルフールの起源が判明した」という嘘だったのです。
しかも、クーゲルは実際にはユダヤの鍋料理の名前で、教授はエイプリルフールがどのように始まったのか、実は知らなかったと告白しました。
エイプリルフールの起源については、今もなお謎に包まれていますが、ボスキン教授のインタビューは、一つの教訓を与えてくれます。私たちは、情報に対して常にそれが本当なのか、常に疑う必要があるのです。
エイプリルフールが教えてくれるメディア・リテラシーの重要性
エイプリルフールのジョークは世界中で楽しまれてますが、その一方で近年はコロナ禍やAI技術の発展によって顕在化したフェイクニュースの問題を重く受け取り、エイプリルフールのジョークを自粛する流れもあります。エイプリルフールに限らず情報を扱うときには、常に真偽を確かめることが大切です。なかには巧みに嘘が混じっている可能性があることを忘れずに・・・。
もちろん、このコラムは別として。
MV Marmaduke Arundel “Duke” Wetherell, Public domain, via Wikimedia Commons
※1 Robert Couse-Baker from Sacramento, California, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, via Wikimedia Commons
※2 LEFT:Capitoline Museums, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons
RIGHT:unknown engraver, Public domain, via Wikimedia Commons
- Director : Takashi Okuno
- Writer : Kuuki Asano
- Edit : Ryota Tsushima