ROLD SKOVのフランチェスコ・ロッシーニが初来日で魅了されたもの
Interview
ー 日本に来るのは初めてだとお伺いしました。これまで持っていた日本へのイメージと実際の印象を教えてください。
世界の反対側とも言えるほど遠くに住んでいる私は、日本の強い尊敬の文化、細部へのこだわりと組織力の高さにいつも魅了されてきました。これらは私がこの国に足を踏み入れた瞬間にすぐに気付いた特徴でした。最初に思ったことは「わあ、ここは本当に全てがうまく機能していて素晴らしい!」ということでした。この街の一員のように感じるには多くの時間は必要ありません。すぐに街の隅々からポジティブな雰囲気と素晴らしいバイブスを感じました。
ー 日本のカルチャーや音楽シーンで影響を受けているものはありますか?
普段デザインをする際に参考にする要素は、深く知っている私のバックグラウンドの一部にほぼ限定されています。音楽はもちろんですが、デザインや写真、スポーツ、旅行などもそうです。この日本での素晴らしい体験は確実に私に大きな刺激を与えており、将来のクリエイションにとって力強いインスピレーションの源になると確信しています。現時点で<ROLD SKOV>がこの土地で評価されていることがとても嬉しく、誇りに思っています。
ー デザインをする上で気をつけていることを教えてください。
最初のコレクション以来、常に製品そのものに重点を置いてきました。私にとって品質は非常に重要であり、最も大切なのは服そのものです。生地やフィット感、ボタンやリベット、ジッパーといったアクセサリーも含めてすべてが重要な要素です。今日、私たちはある意味で「イメージのみ」の表面的な社会に生きており、それが基本的なコミュニケーションになっています。残念ながら、製品以上にイメージが重要視されている現実は理解していますが、それでも私は品質を追求する道を歩み続けたいと思っています。現在のように急速に進む世界にとって少し険しい道かもしれませんが、長い目で見れば必ず報われると信じています。
ー ブランドが掲げる精神性やアティチュードを教えてください。
実はとてもシンプルなんです。平日は仕事に集中し、週末は音楽を楽しんでリフレッシュします。この2つは密接に関連しているんですよ。音楽は週の間に溜まったストレスを発散させ、リセットする手段ですが、<ROLD SKOV>の周りにいる人々との大切なつながりでもあります。どちらをしているときも自分自身に100%正直であり、自由で幸せを感じられるので、自然体でいられます。きっとその姿勢が周りにも伝わり、評価してもらっているのだと思います。
ー 実はまだ知られていない<ROLD SKOV>の魅力を教えてください。
可能な限り最高の方法で物事を行うことを目指してきました。人生においても、仕事への取り組み方においても奇想天外な発想や突拍子も無いことを狙って行動する必要性を感じたことはありません。クリエイティブプロセスは非常に標準的な流れを踏んでおり、コレクションのテーマの選定から始まって、生地や素材の選定、最初のプロトタイプの作成、不具合の修正、正式なアイテムの完成へと進んでいきます。各ステップが最大限の献身と注意をもって行われるならば、最終的な仕上がりは間違いなく美しいものになるでしょう。
ー 今後のブランドの目標を教えてください。
次の2025秋冬コレクションに間違いなく力を入れています。無理をしないように、今はすべての力を来シーズンのプレゼンテーションに集中させています。来年の1月にミラノファッションウィークで発表を行う予定です。今年の6月は<ROLD SKOV>にとって初めてのファッションウィークだったので、本当にエキサイティングでした。1月にはさらにレベルを上げて、もう少し競争力を高めるつもりです。
Photos by Francesco Rossini
訪れたすべての街で見た色とりどりの看板が大好きでした。
この写真に映る鮮やかさは、懐かしさを感じさせながらも心を温かくしてくれます。
京都市内で最も暗がりのある通りには、本物の魅力が漂っています。
高層ビルのイメージとはかけ離れた場所で、日常生活のリアルな息吹を存分に感じることができます。
数ある歴史ある古いお店の素晴らしい入口の一つ。
外観のシンプルさと細部への徹底したこだわりが、この土地の本質と文化を見事に表現しています。
(ちなみに料理も美味しかったです、へへ)
なぜかわからないけれど、この写真が旅の中で一番のお気に入りです。
これは京都で撮影したもので、この光景を遠くから見た瞬間、急いで駆け寄り写真に収めたのを覚えています。
たぶん学校の集合写真か何かだと思います。みんなきちんと笑顔で整列して、
背後には壮大な神社がありました。まさに魔法のような場所でした。
カウンターでの二人の夕食。
仕事帰りの一杯を楽しみながら、ジャケットをハンガーに丁寧にかけている姿が印象的でした。
小さいけれど親密で心地よい空間を今でも覚えています。料理を焼く準備が整った鉄板、隣の厨房から
漂う典型的な料理の香り、まさに唯一無二の雰囲気でした。
<ROLD SKOV(ロード スコフ)>は考案から制作に至るすべての工程をイタリア国内で行うコンテンポラリーメンズウェアブランド。どのコレクションにおいても一貫したアイデンティティで表現し続けるのは、一つ一つのプロダクトが、私たちが今生きる社会から放たれるコードを読み解きカタチにしたものであること。シーズンに左右されることなく、自由に考え、選択に対する“責任”を持つことを本質としながら、空想的なデザインとクラフトマンシップを組み合わせている。現代的な生き方に馴染む完璧なバランスを求め、特別な服作りを目指している。現代人に合うシルエットや着心地を追求したリラックス感のあるシルエットと生地が特徴だ。
- Photograph : Toma Uchida
- Edit : Miwa Sato(QUI)