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セレクトショップの次なる視線 | DELTA 代表 大倉綾

Jan 10, 2024
その名の通り、オーナーやバイヤーの審美眼がフルに発揮される「セレクトショップ」。
トレンドをとらえたブランド、趣味や嗜好性が表れた服、目利きがキャッチした 新世代のデザイナーなど、コンセプトが明確なショップであるほど、 ファッションに対する美意識は店内の品揃えからも一目瞭然だ。そんなショップを訪れるファッションフリークが気にしているのは、 常に新しい刺激を提案してくれるオーナーやバイヤーの次なる動向や関心。
今回は環境や人権に配慮したセレクトでも知られる「DELTA(デルタ)」の大倉綾さんにお話を伺った。

セレクトショップの次なる視線 | DELTA 代表 大倉綾

Jan 10, 2024 - FASHION
その名の通り、オーナーやバイヤーの審美眼がフルに発揮される「セレクトショップ」。
トレンドをとらえたブランド、趣味や嗜好性が表れた服、目利きがキャッチした 新世代のデザイナーなど、コンセプトが明確なショップであるほど、 ファッションに対する美意識は店内の品揃えからも一目瞭然だ。そんなショップを訪れるファッションフリークが気にしているのは、 常に新しい刺激を提案してくれるオーナーやバイヤーの次なる動向や関心。
今回は環境や人権に配慮したセレクトでも知られる「DELTA(デルタ)」の大倉綾さんにお話を伺った。
Profile
大倉 綾
DELTA 代表

今年で20周年を迎える、東京・代々木上原のセレクトショップ「DELTA(デルタ)」のオーナー兼バイヤー。ファッション業界で様々な経験を積んだ後、2004年に「DELTA」をオープン。2020年に地球環境と人権をテーマにしたプロジェクト「BREATH BY DELTA」をスタート。デザイン性の高いゼロウェイストなコラボアイテムを様々なデザイナーと企画している。

Instagramをチェック!
@delta_customer_service
@boutique_delta
@breath_by_delta

看板は大きく掲げずディスプレイでDELTAらしさを伝える

ー 代々木上原駅を出た瞬間に印象的なメインディスプレイが目に飛び込んできました。

現在の場所には2008年に移転したのですが、私が建築家の永山祐子さんのファンだったので内装をお願いしました。その永山さんからもメインディスプレイは常に「DELTA」のサインにしてほしいと言われました。なので「DELTA」は店名を大きく掲げるような看板は出していないんです。

ご自身でセレクトショップをやろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

セレクトショップをやる前も洋服を販売する仕事はしていました。ブティックの店長でした。そのときに「あなたが自分のお店を持ったら私は必ず行く」と言ってくれたお客さんがいたんです。そのお客さんも誰にでも言っているわけではきっとなくて、自分のことを信頼してくださる方がいるならやってみようかなと。あとは家族など周囲からの後押しもありました。

ー 周囲から薦められての独立だったんですね。

20年ぐらい前ですけど、当時は起業ブームのような時代でもありました。同世代の友達も飲食店やギャラリーなどを始めていて、そういう空気に自分も一緒に乗っていった感じですね。

ー お店を始める場所として代々木上原だったのは何か理由があったのですか。

バブルの頃に代々木上原の航研通りにアパレル企業の本社が多かったこともあり、「第二の原宿にする」という動きがあったそうなんです。それが自分たちがショップを立ち上げた2000年代にはその動きも立ち消えになっていて家賃が安かったんです(笑)。でもファッション業界の方の隠れ家のような場所でもあったのでセレクトショップをやるには適しているかなと思いました。一番最初のお店は、エリアは同じ代々木上原でしたが最寄駅は東北沢でした。

お店を訪れる客層はひとくくりにはできないほど幅広い

ー DELTAは約20年続いていますが「こういうお店にしていく」というのはどのようにして決めたのでしょうか。

DELTA」は私が代表、夫の有記がディレクターと二人で始めたのですが、夫のいとこがブルックリンに住んでいたのでお店を始める前に遊びに行ったんです。その頃のニューヨークは活気に満ちていて、<3.1 Phillip Lim (スリー ワン フィリップ リム)>や<alexanderwang(アレキサンダーワン)>など、若いアジア系デザイナーがセンセーショナルに登場した時期でした。そこでまずはニューヨークの若いデザイナーを紹介するショップにしていこうとなりました。

ー 熱気のあるニューヨークのファッションカルチャーがDELTAによって日本で紹介されていたんですね。

その頃に「DELTA」が積極的に取り扱っていたブランドのひとつが<DR. MARTENS(ドクター マーチン)>です。英国ブランドですがニューヨークでクラブやライブに行くとおしゃれな人たちがみんな履いていたんです。日本では一時期のブームが去ったこともあって履いている人は少なかったのですが、自分たちはリアルなファッションシーンを届けたかったので「これだ!」って感じでした。

ー DELTAに来店されるのはどのようなお客さんが多いですか?

内装が永山祐子さんということもあって、建築やインテリア関係、エンジニアなど理系女子も多いです。ミュージシャンやグラフィックデザイナーなどのアーティストから医療に携わる方などお客さんはかなり幅広いですね。ブランドやアイテムのセレクトも実験的なことを私たちが意識しているところもあるので、そういう部分に呼応する方が自然と集まっているのかもしれないです。ファッションの化学反応を求めるような方たちとでもいうのでしょうか。

問題を解決し新たなものを生み出すクリエイターに惹かれる

ー ブランドやアイテムをセレクトするときに基準にしていることはありますか。

初期の頃は「見たことない!おもしろい!」といった衝動的に心を動かされたブランドやアイテムをセレクトすることが多かったです。現在は2020年に2号店としてコンセプトショップの「BREATH BY DELTA(ブレス・バイ・デルタ)」をオープンさせたこともあり、環境や人権に配慮したブランド、アイテムが主軸なっています。価値観などがものすごいスピードで変化している時代に柔軟に対応しながらも新しいことに挑戦しているデザイナーさんには特に注目しています。

ー 新しいことへの挑戦とは?

機能においても環境への負荷の削減にしても進化した生地をモノづくりに取り入れたり、服だけに限らないですけど生産の過程で大量の残布や残糸が出ますが、それを積極的に再利用したり。さまざまな問題を解決しつつ、なおかつ新しいものを生み出すクリエイティブに惹かれますね。なので同じような考えを持ったブランドとコラボレーションもしています。

ー これまでにどのようなコラボレーションをされましたか。

コラボレーションもブランドとの取り組みがスタートではなく、「DELTA」のサステナブルな活動に共感してくださった鞄で有名な豊岡の工場から「一緒にモノづくりをしませんか」と連絡があったんです。私たちはモノづくりに関しては素人ですが、ブランドとつなげることはできるとその工場に紹介したのがオーストリアの<SAGAN vienna(サガン ヴィエンナ)>でした。もともと日本のデットストック生地でバッグを作っていたブランドなので「工場から日本製でやりませんか」と声をかけたらすぐに興味を持ってくれました。さらに第2弾として同じ工場で<kudos(クードス)>のバックパックを作りました。本体のナイロンもジッパーも再生素材です。

ー 今はリサイクルだから再生素材だからといってデザインも犠牲になっていないですよね。

それがデザイナーさんたちが挑んだ結果のひとつなんだと思います。最終的には「DELTA」も「BREATH BY DELTA」にしたいという考えはあります。ただ「このブランドは、このアイテムは、これがサステナブルで」なんて説明するつもりはなくて、ファッションとして気に入って選んだものがそうだったというぐらいでいいと思っています。あまりにこちらからの発信が強いと押し付けのようになってしまいますから。

時代と並走したセレクトをし続けるショップでありたい

ー DELTAといえば洋服の循環にもつながるフリーマーケットの「UPPER FIELDS MKT」を主催されていますよね。

長年「DELTA」で服を買ってくれているお客さんの「もう着ることはないけれど、捨てるのはもったいない」というひと言がきっかけでした。それで私たちが代行で販売するフリーマーケットが始まったんです。「DELTA」で服を買いたいけれど高くて手が出せなかったという若い世代の方からも喜ばれました。売り上げの一部はドネーションをしているのですが、それに共感してくださったデザイナーさんが私物を販売したり、最初は規模も小さくてシークレット開催だったのが現在では定期イベントになりました。UPPER FIELDS MKTをきっかけにクリエイター同士がつながって新しいことを始めたり、私たちも知らないところでおもしろいことがいろいろ起きています(笑)。

ー デザイナーさんの私物なんて普段のコレクションからは知ることができないような意外な側面も見えてきそうですね。

それはありますね。私たちも「こんなものを集めてるの?」みたいな楽しい驚きがありますよ。ファンの方にとっては私物を知ることができるのはすごくうれしいみたいです。

ー ファンとして知りたいということでいえばいつお会いしてもおしゃれな綾さんですが、スタイリングはどのように決めていますか。

昔の雑誌を見るのが好きで、80年代のファッション誌を参考にすることもあります。建築にも興味があるので建物やインテリアの色や構造からインスピレーションを得ることも多いです。他にもレストランで出された料理の盛り付け、色彩からイメージしたり。過去にパティシエさんから「DELTAのInstagramに刺激されてケーキを作った」なんて声をもらったこともあります。単純に美しいと感じられるものが好きなんですよね。それが建物でもスイーツでも。日々のスタイリングは流行のことは考えていないですね。

ー このセレクトショップ連載は「次なる視線」というテーマがあるのですが、DELTAは時代と並走したショップづくりをしていることがよくわかりました。

DELTA」をこうしていきたいというよりは時代によって取り上げるべきブランドやアイテム、クリエイターというものは必ずあるので、そこに柔軟に対応していくという姿勢は変わらないと思います。ちょっとした未来の予想ということで
いえば温暖化はこれからも進んでいくと思うので、メンズファッションにワンピースを取り入れる時代がくるかもしれないと。あれほど涼しい服をウィメンズに留めておくのはもったいないです。もしかしたら何年後かに「BREATH BY DELTA」がジェンダーフリーのドレス専門店になっているかもしれないです(笑)。

大倉 綾がリコメンドする3つのアイテム

DELTA × 廻巡飯店  | SAKIORI SLEEVE MILITARY JACKET ¥71,500 (in tax)

<DELTA × 廻巡飯店 >の裂織ミリタリージャケット
購入はこちらから

kudos | Regenerated Cordura®︎ Nylon Backpack ¥39,600 (in tax)

<kudos>のバッグパック
購入はこちらから

RIV NOBUHIKO  |  VINTAGE TIE NECKLACE ¥19,800 (in tax)

<RIV NOBUHIKO>のヴィンテージタイネックレス
購入はこちらから


DELTA

2004年に「DELTA」を立ち上げ、2008年に代々木上原の地に移転した。独自のセンスで選び抜かれたラインナップから「DELTA」だけの別注アイテムまで他のショップでは見られないハイセンスなアイテムが揃っている。

〒151-0066
DELTA 東京都渋谷区西原3-4-3
平日 13時〜20時 /土日12時〜20時 休:火曜日
TEL03-3485-0933

〒151-0064
BREATH BY DELTA 東京都渋谷区上原1-33-16
月水13時〜20時/土日12時〜20時 休:火曜日
TEL 03-6804-7130

Instagramはこちらから!
@boutique_delta
@breath_by_delta
HP:https://deltaonline.jp/

  • Photograph : Leo Bannai
  • Writer : Akinori Mukaino

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