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西野七瀬 – 今のバランスが心地いい

May 20, 2024
舘ひろし演じる鷹山敏樹(タカ)と柴田恭兵演じる大下勇次(ユージ)を筆頭に、レジェント級のキャストが8年ぶりに再集結した『帰ってきた あぶない刑事』。
シリーズ初参加となる西野七瀬に、撮影時のエピソードについてインタビュー。さらに30歳という節目を控えたタイミングで、自身のキャリアを振り返ってもらった。

西野七瀬 – 今のバランスが心地いい

May 20, 2024 - FILM
舘ひろし演じる鷹山敏樹(タカ)と柴田恭兵演じる大下勇次(ユージ)を筆頭に、レジェント級のキャストが8年ぶりに再集結した『帰ってきた あぶない刑事』。
シリーズ初参加となる西野七瀬に、撮影時のエピソードについてインタビュー。さらに30歳という節目を控えたタイミングで、自身のキャリアを振り返ってもらった。

8年ぶりの『あぶ刑事(あぶデカ)』新作に出演

― 最初に映画『帰ってきた あぶない刑事』のお話を聞かれたとき、どういった印象を持ちましたか?

また新しい『あぶ刑事』が作られることに驚き、そこに自分が参加させていただけることにワクワクしました。現場に入ってからは、皆さんの作品づくりを見学させていただいているような感覚もありましたね。皆さんいつものやり方みたいな感じで、今までもこうやってシリーズが作られてきたんだろうなと。

― いつものやり方というのは?

舘さんと柴田さんがお2人で相談されて、台本にないセリフややりとりが現場でどんどん増えていったり、私にも「こうするからこうしてみて」と一緒に巻き込んでいただいたり。ご一緒したシーンだけでなく、本編を試写で観たときに自分が出ていないシーンでは「これ台本にはなかったな」という部分がいくつもあって。ずっとタカとユージを演じられてきたお2人だから、どういう発想が思い浮かんでも絶対に間違いじゃないんですよね。

あとは、港署でタカとユージのお2人に、仲村(トオルさん演じる町田透)さんがずっとタジタジだというのは裏でもその通りでした(笑)。

― 舘さんと柴田さんとは初対面でしたか?

はじめましてでした。

― かっこいいですよね。

ダンディーでした。合間でも話しかけてくださって。そのときのひと言ひと言、しゃべり方が常にダンディーで。オンでもオフでも変わらないんだなと思いました。

― 今回、港署捜査課刑事の早瀬梨花を演じるうえで心がけたことはなんでしょう?

本当に真面目で正義感が強く、まだ若手だけどしっかりしているという設定だったので、後輩の2人を引っ張っていく感じをうまく出せるよう意識しました。

― ご自身と重なる部分はありましたか?

どうだろう。今までしっかりした人をあまり演じてこなかったですし、そんなに引っ張るタイプでもないので……。

― グループでは後輩を引っ張っていく役回りも経験していたのでは?

私、実は全然引っ張ってないんです。後輩に対して手取り足取りというよりは、自由に育てるタイプだったので。きっといい先輩ではなかったと思います。

― そうなんですね。では年齢の近い女性として、早瀬に対して憧れのような感情も?

憧れはありました。個人的に、強い女性に憧れがあるので。自分もグループのとき、こんなふうに引っ張れたらよかったのかなって思います。

― これは挑戦だったなと思い当たることはありますか?

アクションです。拳銃を扱うので、撮影に入る前にアクションのスタジオに通って、銃の扱い方を教えていただきました。

― 生まれて初めての発砲。

そうですね。火薬を詰めてバンッと音が鳴るのは現場で初めてやるとなって、怖かったんですけど、舘さんは「大丈夫だよ」「試しに撃ってみな」と。とても頼もしかったです。

― 先輩たちがどんと来いと受け止めてくれた。

はい。あとは手錠をかけるのも難しくて、何回も舘さんの腕で練習させていただいて。「こうだよ、短く持ったほうがいいよ」と。すごくありがたかったです。

 

俳優としてキャリアを重ねていくこと

― 舘さんや柴田さんをはじめ、素晴らしいキャリアを築いてきた方々とご一緒されて、第一線で俳優を続けていくために必要なことはなんだと思いましたか?

作品への愛。それをかなり感じました。現場での佇まいや振る舞い、表に出ないときの人間性で、ちゃんと作品や役への思いを持っているのかどうか、わかる人にはわかると思います。今回に限らず、毎回ご一緒した人を近くで見て、見習わないとなと思うことばかりです。

― よりよい作品を作るために、カメラに映っていないときまですべてが徹底しているような?

私はそういうところを大事にしたいなと思います。

役に向かう際に大切にしていることはありますか?

その作品の中で、役の立ち位置や役割のバランスを意識しています。でも私は現場に行って、相手がいる状態でやってみてから考えることが多いので、事前にやるのは基本的にセリフを覚えることぐらい。いろいろ考えても、現場でその通りにはならないことが多いので。

― 今回は現場で作り上げていくことが多かったようなので、かなり肌に合ったのでは?

舘さんは、カメラの撮り方まで「このほうがいいんじゃないか」と提案していて。(作品に対して)すごく愛があるんだなと伝わりました。

― でも本当に奇跡的な作品ですよね。ドラマ放映開始から38年経った今も、同じメンバーで新作が作られるなんて。西野さんのデビューは2011年ですか?

オーディションが2011年で、CDデビューが2012年でした。

― お芝居のデビューはいつでしたか?

初めて地上波の連ドラでレギュラー出演させていただいたのが2013年。『49』というドラマで。グループ(乃木坂46)外で1人のお仕事はたぶん初めてだったので、自分の中ではとても大きい出来事でした。

― 最初からうまくお芝居できたわけじゃない?

最初はセリフを言う以外なにもできなくて、自然に動くこともできないし、ずっと立っているだけ。どう動けばいいのかわからないので、指示してもらって、そのとおりに動いて。ガチガチでした……。ちょっと苦い思い出でもあるんです。

― 当時から俳優業に対して魅力を感じていたんですか?

他のメンバーがドラマに出ているのを「いいなあ」って思っていました。グループ以外で1人の仕事があることが、まずすごいことだったので。ついに自分にもチャンスが来たのにできなさすぎて、まったく楽しさを感じる余裕もなく。私にはお芝居はできないなって思っちゃいました。

― 打ちひしがれたんですね。

はい。

― でも、それから今まで10年以上続けているわけで。お芝居に対する意識の変化があったんですか?

ひとつひとつの作品が終わるたびに、なにか吸収できているような気はします。最初はセリフを言うこと自体が悩みだったのが、今では表情や仕草とか、相手とのキャッチボールとか、悩みの内容が変わっているので、少しずつでも自分は前に進めているのかなと。

― 悩みは尽きないけれど、その質がかなり変わってきているんですね。お芝居の楽しさを感じられるようになってきましたか?

はい。楽しいです。たとえば自分の中で苦手な言い方や言い回しなどがあったとしても、それを別の作品で克服できたのかなと感じられたときはうれしいです。

― ちょうど映画公開の翌日、5月25日で30歳を迎えられます。歳を重ねること自体はポジティブに捉えていますか?

めっちゃポジティブです。楽しみです。

ひとつの節目となる誕生日だと思うので、30代のビジョンがあれば教えてください。

グループを出て1人になって、ずっと映画やドラマ、舞台のお仕事をやらせていただいて。ハードなスケジュールのときもあるけれど、お仕事以外の自分を大事にする時間もきちんととれています。今のバランスがすごく心地がいいんです。だから引き続き、仕事と仕事以外のバランスを気にしながら過ごしていきたいですね。

― いい意味でマイペースというか、自分のリズムを崩さず。

そう、すごくマイペースなんです(笑)。

 

Profile _ 西野七瀬(にしの・ななせ)
1994年5月25日生まれ、大阪府出身。2011年に乃木坂46の第1期メンバーのオーディションに合格し、デビュー。17年に映画『あさひなぐ』(英勉監督)で主人公を演じ、18年末に同グループを卒業。以降、数々の作品に出演。主なTVドラマ出演作に、「あなたの番です」(19/NTV)、「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」(20/CX)、「ホットママ」(21/Amazonプライム・ビデオ)、「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」(21/NTV)、「言霊荘」(21/EX)、「恋なんて、本気でやってどうするの?」(22/KTV)、「ポケットに冒険をつめこんで」(23/TX)、「大奥」(24/CX)、映画出演作に、『鳩の撃退法』(21/タカハタ秀太監督)、『シン・仮面ライダー』(23/庵野秀明監督)、『ある閉ざされた雪の山荘で』(24/飯塚健監督)などがある。『孤狼の血 LEVEL2』(21/白石和彌監督)では、日本アカデミー賞の優秀助演女優賞および新人俳優賞を受賞、『恋は光』(22/小林啓一監督)で、ヨコハマ映画祭の最優秀新人賞を受賞した。
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Information

映画『帰ってきた あぶない刑事』

2024年5月24日(金)より全国ロードショー

出演:舘ひろし、浅野温子、仲村トオル、柴田恭兵
土屋太鳳
西野七瀬、早乙女太一、深水元基
ベンガル、長谷部香苗、鈴木康介、小越勇輝/杉本哲太
岸谷五朗/吉瀬美智子
監督:原廣利
脚本:大川俊道、岡芳郎

映画『帰ってきた あぶない刑事』公式サイト

©2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

  • Photography : Ryohei Hashimoto
  • Styling : Kanako Onitsuka
  • Hair&Make-up : Yuka Noguchi(ROI)
  • Art Director : Kazuaki Hayashi(QUI)
  • Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI)

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