最強の邦画3選|Lenny code fiction片桐航の「映画三枚」Vol.5
1993年生まれ、滋賀県出身。ロックバンドLenny code fictionのVo.&Gt.。多い時には年間200本以上の映画を観る、知る人ぞ知る映画通。独自のランキング付けには定評がある。
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どうも、片桐航です。
映画に関してよく聞かれるのが、「洋画か邦画どっち観ます?」っていう質問。これに対して個人的には「どっちも観ます」って答えるねんけど、洋画しか観ない人、逆に邦画しか観ない人っていうのも結構いるみたい。あまり映画を観ない人には、特に洋画のハードルがまだ高いらしい……。
ということで今回は、誰にでも響く邦画を紹介したい!
Disc1 『彼女がその名を知らない鳥たち』
この映画のおもしろいところは、何を説明してもネタバレになる事。
無知のまま体感して欲しい。
新しい感覚が体験できる。
オチにどんな感情を抱くのか、どんな想いをするのか予想することさえせず、とにかくこの映画という1つの作品に身を委ねれば委ねるほど最後の最後まで楽しむことができる。
おそらく日本語、言葉使い、表情の裏側が全部理解できる日本人やからこそここまでおもしろい作品になったんだと思う。
究極の邦画。オレから言えるのはそれだけ。
あとは2人の演技が素晴らしい。としか言いようがない。予想はせず、ただ予告はみてこの映画に臨むといいでしょう!
Disc2 『四月物語』
岩井俊二という監督を知ってますか?
個人的に日本で1、2番目に好きな監督で、『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』の原作を書いた人です。
その岩井俊二監督の1998年の映画。67分という短さの中に、恋愛という感覚がずっと詰まってる。
この映画の特徴は「大事な言葉を言わない」という点。心の中に大きな大きな想いを持っていてもなかなかハッキリ言えない経験。恥ずかしかったり、言葉が出てこなかったり。そういう感覚を表情や少しの言葉で表現している。その表情と行動の連続がかなり響く。
派手な演出も派手な展開も全くない中に、昔1回は経験したであろう恋のあたたかさがあなたを訪ねるでしょう。
雨が降る休日の夕方。この時間が1番ぴったり。
Disc3 『日本で一番悪い奴ら』
しっとりじっくりと心に刺さる日本の映画も好きやけど、こういうリアルの中に派手さがある映画も大好き。
内容はタイトル通り。北海道での警察の悪事。やけに派手なのに舞台が知ってる場所であったり、実際の時間を元にしてるから妙にリアル。そして何故かその姿にかっこよさを見出してしまう。
自分が体験したことのない体験ができる。それが映画の醍醐味でもあり、この映画は間違いなく初めての体験を与えてくれる。
テンポも早く展開も多い。そして何より綾野剛さんがかっこいい!!!それだけでみても価値がある(笑)。ちょっとグロめなシーンがあるから、そういうのに耐性ある人は絶対に見るべき1作。
特に洋画と邦画を分けて考えた事って今までなかったんですけど、やっぱり日本で生まれ育ったからこそわかる情緒であったり間であったり、邦画にも色んな楽しみ方があるんだと再確認しました。
ゆっくり見るのもよし、派手さに飛び込むのもよし。それぞれの感覚で楽しんでください!
今月のMM計画 inspired by ” Twisted Justice”
映画『日本で1番悪い奴ら』にインスピレーションを得て、Lenny code fiction片桐航が新たに紡いだ1曲。
♪モバイルサイト「THEATER02」で再生する
※スマートフォンのみ対応
MM計画とは“1MOVIE 1MUSIC”をコンセプトに、1日1本映画を観て、その作品に着想を得て1日1曲作るという片桐航の私的プロジェクト。無類の映画好きかつ300曲ものストックを持つソングライター片桐航ならではのスパルタ作曲術で、過去には1カ月間連日MMしたこともあるという。映画と音楽の幸福な協奏がここに!
styling:橘昌吾(@shogo_tachibana)
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- Text : Wataru Katagiri(Lenny code fiction)
- Photography : Kei Matsuura