アイコン素材と独自の美学を融合させた UGG® とのコラボ|AMBUSH® YOON インタビュー
韓国生まれ。20代をアメリカで過ごし、2003年に来日。2008年、VERBALと共に実験的なジュエリーブランドとして<AMBUSH®︎(アンブッシュ)>を設立。ジュエリー「POW!®」がセレブリティを中心に人気を博す。その後アパレルの展開も開始し、17年LVMHプライズのファイナリストに。数々のコラボレーションを手がける他、18年にはディオール メンのジュエリーディレクターに就任。現在はナイキのグローバル ウィメンズ キュレーターを務める。
アイデンティティが異なるからこそ新しいアプローチが生まれた
QUI:<UGG®>とのコラボレーションはどのようにして決まったのでしょうか。YOONさんはコラボレーションにすぐに興味を持ったのでしょうか。
YOON:<AMBUSH®>ではここ数シーズンのコレクションで「ユニフォーム」というテーマをずっと探求していたんです。シューズに関しても快適さを重視したいと考えていたのですが、まさにそんな時に<UGG®>のチームからコラボレーションのオファーをいただきました。タイミング的にも今回の取り組みはすべてがうまくいったと思っています。
QUI:<UGG®>と<AMBUSH®>はブランドとしての印象や方向性が異なるように感じます。どのようにして両ブランドの価値観やアプローチを融合させたのでしょうか。
YOON:コラボレーションは私の第2の天性です。<AMBUSH®>をご存知の方なら、私たちが過去10年間にわたり数多くのブランドや業界と協業してきたことを把握しているはずです。私はまだ進んだことのない新しい領域を探求することを常に歓迎しているので、<UGG®>と<AMBUSH®>のブランドイメージが異なることを課題として捉えていませんでした。
QUI:異なるアイデンティティを調和させるのに試行錯誤も特になかったということでしょうか。
YOON:試行錯誤という捉え方ではなく、むしろアイデンティティが異なるからこそ新しい価値観やアプローチを学ぶことができ、今後の<AMBUSH®>の活動に応用できるとポジティブに考えていました。
QUI:コラボレーションでは<UGG®>らしい「快適さ」をどのようにデザインに落とし込んだのでしょうか。
YOON:大切にしたかったのは<UGG®>の「デザインDNA」と「快適さ」を保つことです。その上で見たことのないようなフットウェアを表現したいと思いました。そこでアイデアとして思いついたのが最もタイムレスともいえるメリージェーンとペニーローファーを「ふわふわで楽しいシューズ」にすることです。<AMBUSH®>の25SSコレクションの「アートクラスの学生たち」というストーリーにもぴったりと合うようなデザインに仕上げることができたと思っています。
QUI:メリージェーンとペニーローファーをデザインするにあたり、特にこだわったディテールはどこでしょうか。
YOON:金属パーツを使ったのですが、それは<AMBUSH®>のジュエリーストーリーともつながることを意識したからです。ファー部分も外側にもっと見えるようにすることで、<UGG®>ならではの個性も引き出しています。とても快適で、履きやすいので私自身が本当に気に入っています!
QUI:メタルとシープスキンでは質感も異なりますがデザインとして調和させるのは大変ではなかったですか。
YOON:とにかく予想外なアイデアでコラボレーションシューズを生み出したかったので、このようなデザインアプローチになりました。
QUI:ピンク、ホワイト、バーガンディ、ブラックのカラーバリエーションには何か理由があるのでしょうか。
YOON:<UGG®>とのコラボレーションシューズは、<AMBUSH®>のルックをさらに引き立てるものだと思っていたので、カラーパレットは<AMBUSH®>のメインアパレルコレクションともリンクする4色を選びました。ホワイトとピンクはメリージェーンをとてもキュートに見せてくれますし、バーガンディとブラックはナチュラルブラウンのファーとの組み合わせでとてもコージーでリラックスした雰囲気をもたらしてくれます。
キャンペーンビジュアルはお気に入りの日本映画へのオマージュ
QUI:YOONさんはデイリーファッションにおいて「快適さ」や「リラックス感」を意識されていますか。
YOON:どんな服を着るにしても私にとって「快適」であることは何よりも最優先です。ドレッシーでもカジュアルでも、外出する前にその日の服装が身体的にも精神的にもリラックスできるているかどうかを自分自身でチェックしています。
QUI:「快適」が最優先というYOONさんは、どのようなファッションに惹かれますか。
YOON:生地が快適で、デザインも過度すぎず複雑すぎず、身体に心地よくフィットするようなアイテムに惹かれます。私が考えるファッションとは、自分自身を表現するための延長であり、服に自分が支配されるものではないと思っています。
QUI:コラボレーションのキャンペーンビジュアルでは10代の若者たちが登場し、思春期の一瞬の美しさや友情を表現しています。若者のカルチャーがYOONさんのデザインに影響を与えることもあるのでしょうか。
YOON:<AMBUSH®>は「ユニフォーム」というアイデアを探求し続けていますが、コラボレーションのビジュアルでは音楽的視点でのアプローチを新たに試みました。25SSでイメージしたのは、バンドの練習や追加のアートコースで放課後も遅くまで残っているグループです。放課後というのはアイデンティティが形成されるクリエイティブな空間で、このイメージを実現するために東京を拠点にした3人組バンドのGliiicoとコラボレーションし、才能あるイラストレーターのローレン・サイをメインキャラクターとして起用しました。ストーリーラインは、私のお気に入りの日本映画『リンダ リンダ リンダ』への心温まるオマージュです。たった5人のティーンエイジャーと借りたギター、そして夢。この映画は、若さという静かで儚い魔法を捉えています。
QUI:YOONさんにとって今回のコラボレーションは挑戦でもありましたか?
YOON:挑戦的なことは何もありませんでしたよ(笑)。私にとって新しい冒険に過ぎませんでした。メリージェーンとローファーは普遍的なフットウェアだからこそ、多くの人々をつなげることができるはずです。シューズを脱いだ後も余韻のように残る切なさと快適さ。そんな感覚が特に若い世代に届いてくれたらうれしいです。
QUI:最後にお聞きしたいのですが、現在のファッション業界をどのように捉えていますか。
YOON:クリエイターの誰もが自分にとって本当に響くものを作り、意図を持って世界に発信すべきです。私は旅行好きとしてファッションだけに限らず、世界がどれほど広大であるかを実際に自分の目で見てきました。服は生活の中で欠かせないものであり、自分にフィットするものが必ず存在します。重要なのは最も真実と思えるビジョンに沿って、エネルギーを込めて発信することです。そのエネルギーは自然と正しいオーディエンスを引き寄せるはずだと私は信じています。
【商品のお問い合わせ】
UGG® / Deckers Japan
TEL: 0120-710-844
URL: http://www.ugg.com/jp/
- All Photo : Xavier Tera
- Interview & Translation : Yukako Musha(QUI)
- Text : Akinori Mukaino(BARK IN STYLe)