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小塚氏の人柄が滲み出た“月夜の散歩道” SHINYAKOZUKA | Rakuten Fashion Week TOKYO 24S/S

Sep 8, 2023
楽天ファッションウィーク2日目、最後のフィジカルショーは<SHINYA KOZUKA(シンヤコヅカ)>。

小塚氏の人柄が滲み出た“月夜の散歩道” SHINYAKOZUKA | Rakuten Fashion Week TOKYO 24S/S

Sep 8, 2023 - FASHION
楽天ファッションウィーク2日目、最後のフィジカルショーは<SHINYA KOZUKA(シンヤコヅカ)>。

受付では、ショーのステイトメントと一緒にプレミアムモルツが配られ、ステイトメントを開けると1枚の絵が入っていた。

小塚氏は、今までのコレクションとはアプローチを変えたそうで、今回のコレクションから「絵に描いたような情景」というコンセプトで、「考えていることやインスピレーションから1枚の絵にしてコレクションを考えた」と語ってくれた。

今回のコレクション「issue#4 」は、「WONDERFUL WANDER “月が綺麗ですね”」というタイトル。
小塚氏は、今回のコレクションを「 “月が綺麗ですね”の一言で集約してる」と笑いながら振り返る。

“月が綺麗ですね”という言葉は、 夏目漱石が i love you を“月が綺麗ですね”と訳したという素敵な話から来たそう。

何かを介して、何気ない言葉で愛を伝えるという構造は、日本人特有の奥ゆかしさを表すと同時に、<SHINYAKOZUKA>の「曖昧さを残しつつ、解釈される余白をくれる」ブランドらしさも表されてるように感じる。

ランウェイは、月明かりのように、ぼーっとした光からスタート。
曲は、エレファントカシマシ「月夜の散歩」が流れる。小塚氏自身が、実際に夜散歩する時に聞いている曲だそう。

<SHINYAKOZUKA>といえば、小塚氏自身が手書きでドローイングした言葉や絵がプリントされているアイテムが特徴として挙げられるが、今回描かれた絵は、小塚氏自身、“夜の散歩”が好きでビール片手に歩いているところから生まれたもの。

例えばレストランで働く店員、カップルになるか微妙な距離感の男女、芝犬を連れてとことこ歩くおばあさん、看板だけで美味しいのが分かるトンカツ屋など、偶然出会った限られた街の情景から奥に潜むストーリー思い描きながら“夜の散歩”をするそうで、そのリラックスした時間からの中で、頭の真っ白なキャンパスに言葉や絵が描かれ絵空事みたいな景色になる感覚だそう。

よく月と家のモチーフを描くそうだが、これも“散歩でよく見る景色”だからと。

今回のコレクションのカラーパレットは、まさに“夜の散歩”でよく飲んでいたというプレミアムモルツの配色から来ている。

また、いつも“裏の方が素敵”・“豊かさは隠されたところにある”と考えていたが、リサーチの過程で出会った本から自身のバイアスが壊れ、そこから裏”も”素敵と言いたいのだと思うようになったという。
今までは<SHINYAKOZUKA>が得意とする太めのシェルエットが中心となっているが、今回は細めのレギンスを使用したコントラストをはっきりとしたスタイルが登場した。細いシェルエット“も”<SHINYAKOZUKA>を表現できたらとおっしゃっており、今までにない素敵なルックとなっている。

そして、ショーの最後には、ランウェイの壁に今回登場したルックがドローイングされる演出。
曲は、また1曲目同様にエレカシから「友達がいるのさ」が使われた。歌詞に登場する「歩くのはいいぜ!」は、まさに小塚さんの想いを代弁している。

まさに小塚氏自身が“夜の散歩”をしながら、街の風景をキャンパスにドローイングしているような演出となっており、ドローイングが進んでいく中で、ゆったりとした幸せな時間が会場を包み込んだ。

小塚氏自身の人柄がとても滲み出た素敵なコレクションの余韻そのままに、少し涼しくなった夜風に吹かれ、一駅歩きながら帰路についた。

SHINYAKOZUKA 2024SS COLLECTIONはこちら

  • text : soejima yusuke

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