ReStyle30周年|Merletteの歴史とともにあるドレスを京都の藍染めで再解釈
自分らしさを素直に築ける「ReStyle」こそ真のキュレーション
—マリーナさんにとって「ReStyle」とはどのような存在でしょうか。どのようなショップイメージをお持ちですか。
ファッションを本気で愛している人にとっては楽園のようなショップだと思います。「ReStyle」のラインナップは私の毎日のスタイルを完璧ともいえるぐらいに反映しているので、日本なのに我が家のようにも感じていました。「ReStyle」の提案は特定のスタイルだけではないので、真のキュレーションそのものです。どのアイテムも丁寧に選ばれていると感じられるので、まるで最高のクローゼットに足を踏み入れたような気持ちになれます。だからこそファッション好きにとっての楽園であり天国なのです。
—マリーナさんのファッション観とも一致しているのが「ReStyle」というショップなんですね。
私は個性的なデザイナーズブランドとお気に入りのヴィンテージを組み合わせるのが大好きです。「ReStyle」のセレクトは「素直に自分らしいワードローブを築く」という精神を体現していて、現代のファッション好きが求めているのは、まさにそういうスピリットだと思います。ブランドの世界を発見して、個人的に直接触れ合う。これこそが<Merlette>が伊勢丹新宿店でのポップアップストアで目指していることです。
—2026年は<Merlette>にとっては10周年、そして「ReStyle」も30周年とお互いにとって節目の年です。
そこは少し運命的な巡り合わせを感じています。「ReStyle」の30周年と同じ年にブランドとして10周年を迎えられたことで、「女性のクローゼットで本当に長く愛され続けるものとは何か」ということをあらためて考えさせられました。新作をお届けするだけでなく、自分にとってコレクションの一部のように感じられる特別なアイテムを提供したいと強く思いました。そういう考えが伊勢丹新宿店で行う<Merlette>の10周年のポップアップにもつながっています。
—そのポップアップのためにラインナップされるスペシャルピースはどのようなものなのでしょうか。

スペシャルピースは<Merlette>の10年の歴史のなかでお客さまに最も愛されてきたドレスのシグネチャースタイルを再構築したものです。アーカイブに眠るアイコニックなアイテムを日本の伝統的な藍染めを通じて完全に再解釈し、まったく新たな命を吹き込みました。歴史あるものを現代に合わせて進化させることこそ「リスタイリング」ですよね。今回は新たにデザインを起こさず、「愛され続けるデザインは時代を超越していく」という考えのもと、アーカイブを活用しました。
—<Merlette>が日本の染めにフォーカスする企画は過去にも「ReStyle」で取り上げていますよね。
京都の伝統的な黒染め工房とのコラボレーションした「KUROZOME REMAKE」のことですね。そのプロジェクトでもアイテムに新しい命を吹き込むことができたと思っています。黒に染まる部分と染まらない部分が存在することによって鮮やかなコントラストを生み出し、見慣れていたはずの<Merlette>の服が全く別物のように見えたことが深く印象に残っています。
—今回の藍染めで印象に残っていることは?
アップサイクリングの試みとしては、<Merlette>として最も本格的ともいえる取り組みでした。黒染めのときと同じように単なるアーカイブの再発売ではなく、既存の服そのものを物理的に変容させました。10年前に私たちがデザインしたドレスが、色と質感を変えるだけで現代的で新しいエネルギーを帯びる様子は驚くべきことでした。これは丁寧な仕立ての服には、進化し続けるライフサイクルがあるという考えを裏付けています。
—今回は藍染めという手法を選ばれましたが、そのいちばんの理由はなんだったのでしょうか。
生地に、服そのものに、驚くほどの誠実さを宿らせることができるのが藍染めだと思っています。深みがありながらも自然なブルーがふんわりとしたシルエットに自然な落ち着きをもたらしてくれますし、天然の藍が綿の繊維を強化することによって経年変化が美しく現れていきます。着て、動いて、日々を過ごすほどに、まるで上質なヴィンテージデニムのように自分に寄り添う一着になっていく。そのようなファッションの楽しみ方ができるのが、<Merlette>が理想としている女性像です。
「人生にフィットする服を」という想いがより深まった
—京藍染師の松﨑陸さんとの取り組みはいかがでしたか。どこに魅力を感じましたか。

100年前に一度は滅びてしまった京藍を復活させ、京藍を栽培するところから商品製作、アート製作、教育面にまで注力し、1,000年先まで残る藍染を目指し活動している陸さんとの出会いにとても刺激を受けました。真の芸術性によって独特で有機的な柄を生み出す陸さんのようなアーティストとコラボできたことを大変光栄に思っています。私が最も魅力的だと感じたのが、驚くほど有機的なドット柄とスプラッシュデザインによる美しいコントラストです。全ての工程が人の手と自然の要素に委ねられているため、ときには予期せぬ芸術的な模様が浮かび上がり、その柄が落とし込まれた服は唯一無二ともいえます。陸さんが生み出す芸術性と個性は、私たち自身が手作業でスモッキングやディテールに注ぐこだわりとも重なり、敬愛すべきものです。陸さんは布を染めているのではありません、布に描いているのです。
—マリーナさんも現地で染めの工程を体験されたそうですね。

技術的なスキルを超えた陸さんの制作過程を目の当たりにすることは非常に瞑想的で、とてもスピリチュアルな体験でした。染液の中で布を注意深く、ゆっくりと撹拌していくには並々ならぬ忍耐力が求められます。最も印象に残っているのは染液から持ち上げた布が空気に触れることで文字通り色が咲き誇り、藍色特有の深みのある青へと変化していく瞬間を目の当たりにしたことです。それは、服作りは「生きた芸術」であることを美しく思い出させてくれる瞬間でした。
—藍染めによってアーカイブのアイテムにどのような変化が生まれましたか。
風合いが豊かな白のコットン素材が<Merlette>のメインコレクションともいえるのですが、それが藍染めによって生地が柔らかくなり、さらにリラックス感あふれるナチュラルな着心地が生まれました。手作業で染め上げられているため、一枚一枚が染料を異なるように吸収し、表情が同じドレスはありません。
—今回の取り組みを通じて<Merlette>としても新しい発見や気づきはありましたか。
藍染めのプロジェクトによって、<Merlette>のクリエーションの原点に立ち返ることができました。「人生のさまざまなシーンで、着る人の動きにも合わせて美しくフィットするワードローブを築いていきたい」という私たちの信念を再認識できたことで、ワンシーズンだけではなく、さまざまなスタイリングで長く愛用できるアイテムを作っていきたいという想いがさらに強まりました。

—最後に「ReStyle」のお客さま、QUIの読者に向けて、マリーナさんが考える<Merlette>の魅力を教えてもらえますか。
「着ることで自由を感じられる服」、それが<Merlette>が目指していることです。私たちは忙しい毎日を送る女性やファッションを愛しながら何よりも着心地の良さを大切にする女性のために、親近感が生まれるような一着を心を込めてデザインしています。美しいシルエットでありながら、着ていることを忘れさせてくれる、自分の人生を楽しむことに集中させてくれるファッションをこれからもお届けしていきたいと思っています。
<Merlette>26SS PRE/MAIN COLLECTION POP UP
□2026年4月22日(水)~4月28日(火)
□伊勢丹新宿店 本館3階 センターパーク/ザ・ステージ#3
ポップアップを記念して、<Merlette>を購入した方に、先着順でポストカードとペーパーハンガーがプレゼントされる。
ポップアップについての詳細はこちら
- Text : Akinori Mukaino(BARK IN STYLE)
- Edit : Yusuke Soejima(QUI)