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崇高な理念から生み出される心を掴むユニークなプロダクト|MAISON de SABRÉ オマー・サブレ

Jul 8, 2025
「サブレの家」を意味するブランド名やカラフルなラインナップは親しみやすさがあふれるが、素材も技法も全てが「プレミアム」。前例に捉われず、サステナブルを遵守し生み出される<MAISON de SABRÉ(メゾン ド サブレ)>の上質なプロダクトには世界的なセレブからもラブコールが送られている。今回は展開も拡大傾向にある日本でのポップアップイベントのために来日したCEOのオマー・サブレに、ブランドの誕生からモノづくりの背景までを語ってもらった。

崇高な理念から生み出される心を掴むユニークなプロダクト|MAISON de SABRÉ オマー・サブレ

Jul 8, 2025 - FASHION
「サブレの家」を意味するブランド名やカラフルなラインナップは親しみやすさがあふれるが、素材も技法も全てが「プレミアム」。前例に捉われず、サステナブルを遵守し生み出される<MAISON de SABRÉ(メゾン ド サブレ)>の上質なプロダクトには世界的なセレブからもラブコールが送られている。今回は展開も拡大傾向にある日本でのポップアップイベントのために来日したCEOのオマー・サブレに、ブランドの誕生からモノづくりの背景までを語ってもらった。

ルールを設けないことで生まれる独創的なプロダクト

—前職は歯科医だったそうですが、どうしてレザーブランドを立ち上げることになったのでしょうか。

オマー:私は2014年に大学を卒業してから歯科医として働いていましたが、父親が突然病に倒れてしまったんです。弟のゼインも歯科医になるべく大学に通っていたのですが政府からの学生ローンでした。これからの父親の治療費、弟の学費返済のサポートを考えると歯科医のままでは難しい。そこで思いついたのが事業のアイデアで、2017年に<MAISON de SABRÉ>を立ち上げました。

—ブランドを立ち上げようと決意してレザーを選んだのはどういう理由だったのでしょうか。

オマー:どうしてレザーブランドだったのかという疑問はよくわかります。ですが歯科医とレザーグッズというのは作業や工程として近しいものがあるんです。どちらもさまざまな工具を使用し、技術を駆使して、ミリ単位まで正確さが求められます。レザーグッズの製作は自分がこれまで学んできたこと、経験してきたことが活かせると思いました。

—細部にまでこだわるということでは通ずるものがあるように思いますが、大きな方向転換のように感じます。

オマー:<MAISON de SABRÉ>の強みは細かいところまで、小さなパーツまで品質を追求するところだと自負しています。そういう考えは歯科医の経験から培われたものでもあるので、カテゴリーに大きな違いはありますが自分としてはつながっています。

—もしも歯科医を辞めなければいけないような状況にならなければ<MAISON de SABRÉ>は誕生していなかったのでしょうか。

オマー:誕生していなかったでしょうね。歯科医をずっと続けていたと思います。家族を取り巻く環境はとても大変でしたが、結果的に大きなチャレンジをするきっかけになったのは間違いないです。

—<MAISON de SABRÉ>は「サブレの家」という意味ですが、弟のゼインさんとの共同経営だからそういう名前になったのでしょうか。

オマー:<MAISON de SABRÉ>という名前はお客さんへの「約束」を意味しています。自分たちの名前が付いているからにはクオリティの低いプロダクトを世に出すわけにはいきません。「サブレ家はひとつひとつのレザーグッズと真摯に向き合ってモノづくりをしています」とブランド名からも伝えたかったんです。

—最も身近な存在ともいえる兄弟でやっているからこその強みのようなものはありますか。

オマー:いちばんは「強固な信頼」が生まれることです。信頼があるからこそオープンな関係を築けています。何があっても私は弟であるゼインの味方ですし、ゼインも私の味方です。私は<MAISON de SABRÉ>のCEOですが、最高経営責任者というのはときに全ての決断の責任を一人で背負わなければならないこともあります。ですが<MAISON de SABRÉ>ではCEOだからといって私が独断で決めることはありません。同じ価値観を持つゼインと一緒に考えて最適解へと導いていけるのは強みだと思います。

—なんでも言い合えるオープンな関係だと時には意見がぶつかることもないですか。

オマー:もちろんケンカのようなこともありますよ(笑)。ブランドを立ち上げた初期は私とゼインでは長期的なビジョンに対して考え方は微妙に異なっていました。それでもオープンに意見を交わすことで、現在では目指すべき方向性はしっかりと共有できています。現在でも意見がすれ違うことはありますが兄弟ですから最後には結託できていますよ。

—創業は2017年ですから10年も経っていないのに世界各国で展開し、話題性でもブランドの成長ぶりは目覚ましいですね。

オマー:<MAISON de SABRÉ>では生産やマーケティング、セールス、イベントなどのチームに「こうすべき」という厳格なルールを設けていません。それはルールによってクリエーションが制約されることもあるからです。自由に考えることができ、自由に動けるからこそ、これまでにはなかったようなプロダクトを生み出せて、ブランドの成長につながっていると思っています。最初に製作したスマートフォンケースもかなりユニークだと評判になりましたが、それこそが前例に捉われない<MAISON de SABRÉ>の強みではないでしょうか。

—そういうチャレンジする姿勢も評価されてのことだと思いますが「Forbes 30 UNDER 30 ASIA」にも選出されました。その時の心境はいかがでしたか。

オマー:<MAISON de SABRÉ>のことを広く知ってもらえるきっかけにもなったのでブランドとしてはインパクトのある出来事でした。「Forbes 30 UNDER 30 ASIA」に選出されたということは自分たちが進んでいる方向が間違っていないことの証でもありますから、大きな自信にもなりました。

 

ずっと先を見据えて本気でサステナブルに取り組む

—プロダクトのデザインにおいて最も意識していることはなんでしょうか。

オマー:ユニークであること、美しくあること、機能的であることを大切にしています。例えば<MAISON de SABRÉ>のスモールトートバッグは見た目はシンプルかつクリーンですが、内側にはいくつものポケットを備えコンパクトながら収納力に優れています。内装をバイカラーにしているのもバッグを開けたときの楽しさのためです。私たちは「Make Your Mark」をブランドコンセプトに掲げているのですが、そこには夢や目標に向かって頑張っている人たちと<MAISON de SABRÉ>のプロダクトがベストな関係を築けるようにという想いを込めています。デザインの根底にはそのような考えも流れています。

—サステナビリティもブランドの方針として徹底していますね。

オマー:私はニュージーランド出身なので「地球環境を守る」という考えは幼い頃から自然と身についていました。動物の身体の一部であるレザーを素材として使用しているのでサステナビリティとは程遠いという意見もあるかもしれません。だからこそ自分たちがサステナビリティに本気であることを示すためにも汚水処理や薬品管理まで全ての工程において厳格な監査が実施されたLWG認定レザーを厳選していますし、年間で2,500万リットルもの水の節約を可能にするDriTan™ 技術も導入しています。

—環境に配慮したモノづくりを徹底すればするほどブランドにとって負担もあると思います。

オマー:もちろんコストはかかります。それでもブランドのこと、地球環境のことを長期的に考えたらLWG認定レザーやDriTan™ 技術の選択がベストであると信じています。環境のこと、お客さんのことを真剣に思っているからこそ、私たちは本物のサステナビリティをこれからも実践していきます。手間や時間がかかってもクリーンなモノづくりを徹底し、それによって生み出されるプロダクトはさらなる意味や価値を持つと思っています。

 

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—ブランドの理念、信念は崇高ですが<MAISON de SABRÉ>は遊び心がある印象です。代官山での「サブレ果実堂」のイベントはエンターテインメント性にあふれていましたね。

オマー:「サブレ果実堂」はフルーツチャームにフォーカスしたイベントでした。私と同世代のお客さんも多かったのですが90年代に子供時代を過ごした世代はカートゥーンに夢中になったはずで、そんな方たちはプレイフルなフルーツチャームに懐かしさを感じて惹かれたようです。代官山でのイベントは私自身も楽しんでいました(笑)。多くのチャーム好きが集まってくれたことで新たなコミュニティも生まれたようで、素敵なイベントが開催できたと思っています。

—フルーツチャームは世代も性別も問わず惹かれるはずです。あのキャッチーなプロダクトはどのようにして思いついたのでしょうか。

オマー:「SABRÉMOJI™チャーム」はバッグやポーチを製作すると必ず発生してしまうレザーの端材をアップサイクルして、お客さんにとってワクワクする、そして大切にしたくなるような「意味のあるサステナブルな製品」を作りたいという思いから始まりました。チャームは<MAISON de SABRÉ>の創造性の象徴のようになっていて、それがきっかけで生まれたコラボレーションもあります。サンリオとのコラボレーションなどはその代表例です。

—<MAISON de SABRÉ>はパリ、ミラノ、ニューヨークなど世界各国で展開されていますが日本のファンからはどのような声が寄せられていますか。

オマー:職人や職人技を大切にして、重視している私たちのクラフトマンシップに共感してくれるお客さんが多いです。日本での展開は5、6年前からですが、2024年からは実店舗のポップアップイベントも積極的に開催しています。イベントを考案する際にも日本のお客さんの希望や要望を反映するようにしています。ありがたいことに大阪のイベントで<MAISON de SABRÉ>のことを知ってくれた方が、東京で開催したときにも足を運んでくれたこともありました。<MAISON de SABRÉ>らしいユニークなイベントを開催し続けることができるのも、そんなお客さんの存在が励みになっているからです。

 

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—エリアに関係なくイベントに訪れるファンもいるんですね。

オマー:イベントに参加するために地域や都市を越えて足を運んでくださるお客さんというのは珍しいケースではありません。私たちがお客さんとのつながりを深めることができているのも、そんなファンのおかげだと思っています。なので私自身はイベントには必ず立ち会いますし、現場のリアルな声にも耳を傾けるようにしています。

—これからは日本の各地で<MAISON de SABRÉ>と出会える機会が増えると期待してもいいでしょうか。

オマー:バーニーズニューヨーク、トゥモローランド、阪急うめだ本店でも取り扱いがスタートしますし、日本でのイベントスケジュールはすでに埋まっているぐらいです。日本だけで開催するイベントも計画していますし、グローバル展開のビッグプロジェクトに日本も会場の候補として挙がっています。ここではそれ以上の詳細を明かすことはできません(笑)。ですがこれまで以上に日本のファンに<MAISON de SABRÉ>をお届けできるとお約束できます。ぜひ期待してください。

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  • Text : Akinori Mukaino(BARK in STYLe)
  • Edit : Yusuke Soejima(QUI)

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