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「ファッションとは何か」の対話を広げたい — Fashion in Helsinki 創設者 マルタ・ロウエカリ

Jul 7, 2026
2026年5月に開催された「Fashion in Helsinki」。QUIではイベントを率いる創設者のマルタ・ロウエカリ(Martta Louekari)氏にインタビューを実施した。「ファッションとは何か」「イノベーションはどこから生まれるのか」という問いを軸に、ヘルシンキという街が育む創造性、フィンランドの若手デザイナーたち、そして日本と北欧のつながりについて話を聞いた。

「ファッションとは何か」の対話を広げたい — Fashion in Helsinki 創設者 マルタ・ロウエカリ

Jul 7, 2026 - FASHION
2026年5月に開催された「Fashion in Helsinki」。QUIではイベントを率いる創設者のマルタ・ロウエカリ(Martta Louekari)氏にインタビューを実施した。「ファッションとは何か」「イノベーションはどこから生まれるのか」という問いを軸に、ヘルシンキという街が育む創造性、フィンランドの若手デザイナーたち、そして日本と北欧のつながりについて話を聞いた。

Fashion in Helsinki 創設者兼オーナー マルタ・ロウエカリ

—いま「Fashion in Helsinki」を世界に発信する意義をどのように考えていますか。

マルタ:何より「ファッションとは何か」「イノベーションはどこから生まれるのか」という国際的な対話を広げることにあります。フィンランドのファッションは、世界的に見ればまだ十分に知られているとは言えません。しかし、その中では独自の視点や新しいアプローチが数多く生まれています。「Fashion in Helsinki」は、そうした創造的な動きを世界に紹介し、国際的なファッションシーンに新たな視点を提供する重要なプラットフォームだと考えています。また、フィンランドがテクノロジーや建築だけでなく、ファッションや現代文化の分野においても高い創造性を持つ国であることを発信する機会にもなっています。

「Finnish Fashion Awards Event」の様子

—今回、特にどのような「ヘルシンキらしさ」を伝えたかったのでしょうか。

マルタ:私が特に伝えたかったのは、ヘルシンキが持つオープンさと自由な精神です。この街では、人々が自分らしく生き、自分自身を表現しながら活動することができます。また、年齢や肩書、専門分野にとらわれず、人と人との距離が近いことも大きな特徴です。クリエイター同士が自然につながり、新しいアイデアやコラボレーションが生まれやすい環境があります。そうした自由で開かれた空気こそが、ヘルシンキならではの創造性を支えているのだと思います。

—イベントでは、若いデザイナーとの出会いが多々ありました。マルタさんはフィンランドの若いデザイナーにはどのような特徴があると感じていますか。

マルタ:多くの若いデザイナーたちは、ファッションを単独の分野として捉えていません。アートやクラフト、サイエンス、テクノロジーなど、さまざまな領域を横断しながら活動している点が特徴的です。また、自分自身の価値観や社会との関わり方を作品に反映させる傾向も強く見られます。表現は非常に実験的でありながら、同時に個人的で誠実でもあります。サーキュラーデザインや新素材、デジタル技術などへの取り組みも活発で、既存のファッションの枠組みにとらわれない新しい可能性を探求しています。

<Marimekko>の生産風景

—現在のノルディックファッションの強みはどこにあると思いますか。

マルタ:最大の強みは、創造性と価値観を自然に結びつけていることだと思います。デザインの美しさを追求しながらも、サステナビリティや透明性、責任ある生産といった課題にも真剣に向き合っています。同時に、この地域には品質や機能性、長く使い続けられるデザインを重視する伝統があります。本当に価値のあるものを丁寧につくろうとする姿勢が、ノルディックファッションの個性につながっていると感じます。

<kalevala>の制作風景

—お話しを聞いていると、日本とノルディックのファッションコミュニティには共通点があるような気がしますね。

マルタ:はい、多くの共通点があると思います。文化的背景は異なりますが、どちらもクラフトマンシップや丁寧なものづくり、本質的な価値を重視する姿勢を共有しています。特に興味深いのは、自然との関係性です。日本とフィンランドでは、自然は単なるインスピレーションの源ではなく、暮らしや文化の一部として存在しています。その感覚は、素材選びや色彩、機能性、季節感への意識にも表れています。また、美意識の面でも、シンプルさや繊細さ、高品質、細部へのこだわりを大切にする点で共通するものがあります。

—今後日本との取り組みなども考えていますか。

マルタ:今後は、デザイナーや学生、ブランド、文化機関などが交流する機会をさらに増やしていきたいと考えています。コラボレーションや展示、教育プログラムなどを通じて相互理解を深め、新しい対話や創造的なつながりを生み出していきたいです。日本とノルディックには多くの共通点がありますが、それぞれ異なる歴史や文化的背景も持っています。その違いを共有し学び合うことが、新しいアイデアや表現を生み出すきっかけになるはずです。そうした交流を通じて、両地域のクリエイティブな可能性をさらに広げていければと思います。

「Finnish Fashion Awards Event」の様子

取材期間中に何度も耳にした「自由」「包括性」「コミュニティ」という言葉。その背景には、マルタ氏が語るヘルシンキという街の価値観があった。

誰もが自分らしく活動できること。異なる分野やバックグラウンドを持つ人々が自然につながること。そして、新しいアイデアや表現が歓迎されること。

「Fashion in Helsinki」は、そうした環境から生まれる創造性を世界へ発信するプラットフォームでもある。マルタ氏が語った「ファッションとは何か」という問いは、フィンランドにとどまらず、これからのファッションのあり方そのものを考えるための対話へとつながっていた。

Fashion in Helsinki
ウェブサイト:https://fashioninhelsinki.com/
インスタグラム:@fashioninhelsinki

  • Interview Support : Charles Kawamoto(QUI)
  • Edit & Interview : Yukako Musha(QUI)

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