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大切な瞬間に寄り添うバッグとシューズを。菅原希恵|G.ACLEVALYデザイナー

Dec 27, 2019
2020年の春夏にデビューを飾るバッグ&シューズブランド「G.ACLEVALY(ジー・アクレバリー)」。デザイナーの菅原希恵は、さまざまなアパレル企業で洋服のデザイナーとしてキャリアを積み、満を持して自身のブランドをスタートした。なぜ彼女は長年携わってきた洋服ではなく、バッグとシューズを生業にしたのか。ブランドの成り立ちやこだわりについて尋ねた。

大切な瞬間に寄り添うバッグとシューズを。菅原希恵|G.ACLEVALYデザイナー

Dec 27, 2019 - FEATURE
2020年の春夏にデビューを飾るバッグ&シューズブランド「G.ACLEVALY(ジー・アクレバリー)」。デザイナーの菅原希恵は、さまざまなアパレル企業で洋服のデザイナーとしてキャリアを積み、満を持して自身のブランドをスタートした。なぜ彼女は長年携わってきた洋服ではなく、バッグとシューズを生業にしたのか。ブランドの成り立ちやこだわりについて尋ねた。
Profile
菅原希恵(すがわら・きえ)
G.ACLEVALY デザイナー

北海道生まれ。高校を卒業後、エスモードジャポン東京校へ進学。2010年に同校を卒業した後、松本恵奈が立ち上げたファッションブランド「CLANE(クラネ)」などの数社でデザイナーとして活躍。2018年に独立し、フリーランスのデザイナーとして渡辺直美や新垣結衣など、芸能人のCM衣装を数多く手がける。2019年にユニセックスのバッグとレディースのシューズをメインとして自身のブランド「G.ACLEVALY」をスタート。

平面から立体へ。父の影響で動き出した夢

幼い頃から絵を描くのが好きだったので、描き方を習いに行って、漠然とですが将来は絵を描く仕事をしたいなと思っていました。

ところが、次第に絵だけではなく、工作や立体物を作ることにも興味を持ち始めるようになったんです。その理由は建築士の父の影響でした。父の仕事を見て、設計図が立体的な建築物になることへ憧れるようになったのだと思います。

“自分の描いた絵が立体物になる仕事”を考えた時に、たどり着いたのが洋服のデザイナーでした。小学生の頃からその夢を目指し始め、高校卒業後にデザインを学ぶために服飾の専門学校へ進学しました。

建築でもそうなのですが、きちんとした骨組みがあってこそ面白いものが生まれると思っていたので、洋服の土台となるパターンメイキングを学べる学校を探して、決めたのが「エスモードジャポン」でした。同校では当時、ファッションビジネスやマーチャンタイザーという分野ではなく、デザイナーとパタンナーに特化したカリキュラムがありました。

そこでまずパターンを学んでからデザインを学んだのですが、実際の仕事をするようになった時にデザイナーとしてパタンナーの意図を組んだり、逆にパタンナーとしてデザイナーの意図を組むこともできるので、どちらも学んでおいて本当に良かったです。

 

デザイナー業を経て、世の中に可愛い服が溢れていることを痛感

当時から企業に勤めながらも、将来のビジョンとして自分のブランドをやりたいとは思っていました。ただ色々なブランドの仕事に携わることができて良かったのは「世の中に可愛い服は溢れている」ということを知ることができたことです。素敵なデザイナーさんもたくさんいますし、アパレル業界の未来を考えた時に、自分が同じフィールドで勝負をするのは難しいと思いました。

「じゃあ何をやろう」と考えた時に、改めて自分の好きなアイテムがカバンとシューズだということに気づきました。自分自身が学んでいたのは洋服なのですが、昔からレザーのアイテムが好きで、いつか自分でも作れるようになりたいと憧れていたんです。

そして8年前初めて自分で縫ったのが、「Marjoram Bag(マジョラムバッグ)」。自分のブランドを始める時の看板アイテムにしたいと思いながら試作品を愛用していたのですが、意外に女性だけでなく男性からも好評で褒められて自信につながりました。

Marjoram Bag(マジョラムバッグ)

その経験からバッグに関してはユニセックスで展開したいと思うようになり、レディースのシューズと合わせて、ようやく夢を実現したのが「G.ACLEVALY」です。

 

“生きた証”をカタチにし、プロダクトとして残せる仕事

「G.ACLEVALY」というブランド名は、私の好きな「Leave a legacy=生きた証を残す」という言葉をランダムに並び替えた造語です。すこし壮大な話になってしまいますが、自分でブランドを立ち上げるということは、自分の生きた証として、オリジナルのプロダクトを世の中に残すことができるということ。それは私にとって一番のやりがいかもしれません。

それに、私の作ったプロダクトをお客様がそれぞれのシーンで使ってくださると思うのですが、その大切な瞬間の一つひとつに寄り添えるようなブランドになりたいという想いも込めています。だからこそ、飽きずにずっと長く愛せるようにミニマルなデザインながら細かいディテールの部分でオリジナリティを出すように意識しています。

モノづくりにもこだわっていて、すべてのプロダクトは東京の「レプラフォン」という老舗ファクトリーで作っていただいていています。シューズにはオリジナルの木型を使用していますし、バッグも何度も試行錯誤をして完成した力作です。

 

コンプレックスと理想を落とし込んだ、実用的なデザイン

デザインをする上で大切にしているのは、自分が欲しいと思うものを考えることです。たとえば、この「One Shoulder Back Pack(ワンショルダーバックパック)」は、女性が雑に持つことができるリュックがないという悩みから生まれました。

One Shoulder Back Pack(ワンショルダーバックパック)の1stサンプル

バッグが好きな女性は多いのですが、その中でもとりわけリュックに抵抗があるという方も多いんです。かわいいデザインがあっても極端に小さいものであったり、荷物を入れたいと思ってもアウトドアっぽいデザインの大きなものしかなかったり……。

そこであえてストラップを一本のワンショルダータイプにし、背負うのではなく肩掛けで持つことができるバッグを考えました。しかも、素材がレザーなので上品なスタイルにも合わせることができます。嬉しかったのは、リュックを一つも持っていないという女性が買ってくださったことです。あと、男性のお客様からも好評でした。

シューズに関しても、私自身足が大きいのが悩みで、デザインが良くてもサイズが合わずに断念するということがよくあります。だからこそ、自分のブランドでは一人でも多くの人に履いていただけるような木型にこだわりました。

「Slit Mule(スリットミュール)」は、トゥの形をスクエアにすることで足幅が広い方にも履きやすいようにしました。また、アッパーのレザーにスリットを入れているので甲高の方でも楽に履いていただけます。中敷にもクッション性がありはき心地も良いですし、スクエアの太いヒールには歩く時に安定感があります。

Slit Mule(スリットミュール)の1stサンプル

今年ブランドを立ち上げて初めて展示会をした時に、本当の意味で実用的なアイテムであれば価格に関わらずお客様が気に入ってくださるということを実感できました。これからも長く愛されるブランドを目指してモノづくりに取り組んでいきたいです。

 

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「人生の幸福度をあげてくれるもの」

もしかしたらなくてもいいものなのかもしれない、でもあることで人生が豊かになると信じています。

 

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