ファッション業界人が今注目している日本ブランドは?新鋭ブランド、NFT、飾っても美しいプロダクトに注目。
普段から多くのブランドを見ている業界人は、今どんなブランドに注目しているのか。
今知っておきたいブランドから、男性的なものづくりでユニセックスに着用できるブランドまで。
様々なブランドのPRを担う6名の注目ブランドは見逃せない。
志賀 光 / TEN10
sumpry
このブランドは今シーズンから立ち上がったTシャツのブランドです。
パーソンズでデザインを学び、NYと東京の建築事務所で活躍したのちに、ブランドを立ち上げました。
出会いは最近ですが、この時期はほとんど毎日着ています。
男性服という概念が変容しているなか、ある男性服の文化を概念として取り入れながら、ジェンダーレスなTシャツに特化したモノづくりをしているブランドです。
丁寧で妥協のないクラフトマンシップを、アイデンティティを込めたパッケージに収めるというアーツ&クラフトのステップは、建築やアパレルなどの垣根を越えて大切なモノであると気付かせてくれると同時に、しっかりとそのステップを踏み締めて歩いているところに、深く共感をしています。
また、個が培い磨いた感覚を衣服に投影することで、他を豊かにしていく、ファッションの営みを感じられることがとても嬉しくて、ワクワクしてしまうと同時に、「あぁ、やっぱりファッションって楽しいなぁ」と思わせてくれます。
今後の期待も込めて、とても注目しているブランドです。
sumpry
www.sumpry.com
林 洋介 / THÉ PR
Onemiler & Detrans
ワンマイラー&デトランズは2021年にデビューしたブランドで現在とテクノロジーを融合し、今後(プラスワン)ファッションブランドのあり方として注目のブランドです。革と革の間に薄いチップを挟む技術(メタ・ライニング)にNFTを入れるなど面白い試みと新たな可能性を感じます。
Onemiler & Detrans
https://www.onemiler.com/
長坂 啓太郎 / Sakas PR
COGNOMEN
COGNOMENは、デザイナーの大江さんが2020年に立ち上げたブランドです。
ブランド名のCOGNOMENは、ラテン語で愛称をつけたくなる様なモノ作りという意味なのですが、その通りそれぞれのアイテムに個性があり、かつ服としての完成度の高さを感じます。
完成度が高いことには裏付けもあり、国内のコレクションブランドで商品企画を経験しています。
デザイナーズブランドはその名の通り、デザイナー自身のアイディンティティや経験が濃縮されています。
大江さんの作るコレクションは、本人のバイタリティや個性を色濃く良い意味で感じる事ができます。
MENS・WOMENS共に毎シーズン着実にファンを増やしておりこれから色んな場所で目にする事が確実に増えていくブランドの一つです。
ニットウェア・フリンジシリーズがブランドのシグニチャとなっておりますが、男性女性関係なく一度店頭で実物を手に取って着ていただければ私が感じている事を体感していただけるのではと思います。
VALAADO
VALAADOはデザイナー大脇さんが2021年に立ち上げた新鋭ブランドです。
2年間試作を重ねて1型のみでブランドを立ち上げたました。
2016年からパタンナーとして独立をしており、様々なブランドのパターンを手掛けております。
技術的なレベルが高いことは勿論、プロダクトのクオリティにもかなりの拘りがあります。
仕立てはトラディショナルでありながらも、シルエットやディテールはモードを感じるところは既存のパンツブランドにはあまりなかったテイストであり、私も含めた世代(2000年代にファッションに対して多感だった)にはかなり刺さる部分があります。パターンには立体裁断を施していたり、レディースのニュアンスも感じたり、実際に女性でファッション感度の高い関係者にも既に気にかけている方が出てきています。
また、パンツブランドとは思えない実験的なヴィジュアルもVALAADOの大きな特徴です。
僕が面白いなと思っているのは、LOOKの為にパンツと共地のジャケットやトップスを制作しているところです。
デザイナーがパタンナーということもありますが、ブランディングの為に費やす時間や想いをそこでも感じる取る事ができました。
私も何本か購入させて頂いて履いていますが、履いた時の存在感がとてもあるのでこの時期はシンプルなトップスで十分にスタイリングが成り立ちます。
新しいブランドではありますが、完成度やブランディングのレベルはかなり高いブランドだと思っています。
是非一度店頭で履いてみてほしいです。
水澗 航 / ENKEL
stein
「ミニマルでありながらマクシマル」のブランドコンセプトの通り、一見ミニマルな洋服で特徴が掴みづらいかもしれませんが、
考え抜かれたパターンや素材へのこだわり、縫製から細部のディテールまで洋服作りに真摯に向き合ったモノ作りをしています。
着たときのボリューム感や落ち感、生地の溜まり方やシワの入り方、洋服の陰影まで考えられていますがそれを主張する訳でもなく
着ていて「なんかいいな」を感じられる洋服です。
「神は細部に宿る」といった建築界の巨匠に通じる部分が多く、アパレル業界のミース・ファンデル・ローエを地で表現しているデザイナーだと思います。
静謐な雰囲気を纏った服でジェンダーレスでも着られるのも魅力です。
SEEALL
2019年にスタートした瀬川誠人が手がけるブランド。
時代感を捉えたコレクションはもちろんですが、幅広い感性と職人的なモノ作りの姿勢を感じられ、デザイナーの伝統と技術のリスペクト、
様々なカルチャーへの造形の深さ、ユニバーサルなモノ作りの中に世界の職人の技術をミックスされたコレクションに毎回感心しています。
デザイナーのバックボーンから生まれるアイテムはドメスティックとインポートのハイブリット感があり、クラフトと工業製品の良い部分を掛け合わせた、今までにあまりない雰囲気の洋服です。
デザインされているけれど洋服としてのリアリティーがあり、上質だけど普段使いもしやすく、着やすいのも魅力です。
モノの良さの割に買いやすい金額設定にも毎回驚いています。
個人的に共感できる部分も多くこれからが楽しみなブランドとして注目しております。
SEEALL
https://seeall.jp/
柳 翔吾 / MATT.
kudos
実験的で、洋服のルールーや常識をポップに壊し、挑戦するデザインが現代のメンズユースカルチャーに刺さっている印象です。
可変性と普遍性の両方を持ち合わせたデザインバランスは、デザイン、ファッションの歴史や知識があるからこそ成り立っています。
服そのものだけでなく、スタイルを提案するブランドでもあり、こういったブランドがその時代のムードを作っていくブランドの一つなんだなと思いました。
SHINYAKOZUKA
デザインの根底にファンタジーでソフトな世界観から着想を得たコレクションながら、しっかりとメンズウェアの職人気質なハードな要素を抑えており、実力派なブランドだと思います。
ここ2シーズンでブランドのスケールも大きくなり、そのスケールをしっかりと業界、ユーザー共に示すことでコレクションブランドとしての独自のポジションを築き上げつつあると思います。
直球で見せないデザインのテクニックなどもファッション好きな男心をくすぐります。
SHINYAKOZUKA 2022AW COLLECTION
久戸瀬 崇裕 / TEENY RANCH
Blanc YM
宮内裕太郎が手掛けるミニマルな世界観の中に、一癖を加えたそのテクニックが癖になるブランド。
生地アプローチが毎回面白く、トレンド入りする前から無染色ウールや、ペーパーシルク100%のコート、インサイドアウトでのニットの柄出しなど、一見普通に見えて、見ると細部まで語り口が消えないブランド。
本人もコートを作りたいというよりは、作りたいポケットがあって、それを逆算した結果コートが生まれたなど、
通常のデザイナーのモノづくりと逆転的な発想でものを作ることが多く、デザイナーでありながら、職人と思わせる思考回路が、見る人ごとへのギャップを与え、面白いプロダクトを作っていると思っています。
LQUARTET
元キャピタルの宇梶将弘が手掛けるブランド<LQUARTET(エルカルテット)>。
かなりマニアックな作りで、洋服のほとんどのステッチが蛇行していたり、シャツの表に襟芯を縫い付けたり、一見デザイン性が強い印象。
ただ、蓋を開けると、その蛇行ステッチが通常の工場では受けてくれるところがないほど難しい技術や、ナイロンなども1点1点職人が手染めで行っているなど、デザインとクラフトマンシップを融合させた面白いアプローチが、今後も伸びを感じています。
LQUARTET
https://l-quartet.com/