ATTACHMENT が新デザイナー交代後初コレクションをランウェイで発表、ブランドの精神性を表現
ショー会場は東京は四谷にあるスタジオ「IMAGE STUDIO 109」。
「ブランドの精神性を表現したい」という思いから白いスタジオを選び「白い光の世界」を作り上げた。
リハーサルの合間、デザイナー榎本は創業デザイナーから受け取ったバトンについて「”人を引き立てる服”という不変のブランドコンセプトをわかりやすく具現化していきたい」と語った。
「服は着る人の個性や魅力、内面を引き立てるための付属品」としている同ブランドにおいては、ディテールやデザインを削ぎ落としていくことでブランドの本質に近付けると榎本は考えている。
その精神性はショーのインビテーションにも反映されており、添えられた白い枠は額縁の役割を成し「引き立てるためのもの」というブランドのあり方そのものだった。
今シーズンは、遡ること昨年8月、榎本が古本屋で偶然ロバート・ライマンのアートブックを手に取ったことから動き始めた。
初めて触れたライマンの作品は、榎本が数々見てきたアート作品とは異なる何か惹かれるものを感じたという。
また、ライマンの至言「There is never any question of what to paint only how to paint(何を描くかではなく、どのように描くかという問いである)」は、ものづくりの過程をデザインとしているブランドの精神とも深く結び付いている。
コレクションアイテムとしては、ライマンの作品から着想を得たカラーパレットが目を引く。
平坦な白ではない白の表現には、異なる素材をレイヤードすることで、カラーパレットに奥行きを与えている。
オレンジやネイビーはライマンの作品に使われているカラーをベースに用い、そこから発展させてライマンの世界観に溶け込むカラーもアイテムに落とし込まれている。
ブランドの定番アイテムのカットソーやダウンコートはゆったりしたシルエットにアップデート。
また、ワイドシルエットのパンツも数多くラインナップされ、新生<ATTACHMENT>を印象付けるアイテムの一つとなっている。
<ATTACHMENT>が元来得意としているミリタリーにミニマル要素を落とし込んだデザインも顕在しており、1950年代中期から1970年代中期まで米海軍で採用されていたG-8フライトジャケットは、リブをなくしミニマルな印象の美しさを演出している。
エレガントな90年代のムードは今シーズン榎本が特に表現したかったものの一つ。
特に一番出したかったアイテムだというダブルのコートはオーバーサイズでミニマルな印象を持たせる一着に仕上がっている。
ショーの冒頭3体連続で色柄違いを着用していたところからも想いの強さが伺える。
以前在籍していたブランドでもシューズを手がけてきたこともあり、シューズに対してのこだわりは強いという。
シューズは総体的にミニマルでありながら履きやすさを兼ね備え、アウトソールはオリジナルで制作されたものを使用し、更なる軽量化としなやかさを実現した。
特にドレスシューズは、1990年代のシューズデザインをベースに製作され、一般的なドレスシューズの製法であるグットイヤーウェルト製法ではなく、カジュアルな革靴に用いられることの多いステッチダウン製法でドレスシューズのディテールを表現したこだわりの一品。
エフォートレスでタウンユースなデザインが功を奏し、スタイルに絶妙なバランスを与えている。
今シーズンのティザーを公開した時点で海外から多くの反応があったという。
海外のマーケット強化はしていくものの、あくまでも日本代表であることを念頭に置き、日本のカルチャーとして表現していきたいと語る。
榎本においては、もとより手がけていた<VEIN(ヴェイン)>にこの度<ATTACHMENT>が加わり、2つのメンズブランドのデザイナーを兼任することとなった。
2ブランドのデザイナーを兼任することについて「強い意気込みもあるが、淡々と迷いながら粛々と精進している」と言葉を吟味しながら語った。
今後は2ブランドそれぞれの色を出しながらコレクションを展開していく。
発表された2022年秋冬コレクションは以下から見ることができる。