ただ、在り続けること。「smokebooks 清澄白河」|本屋を遊ぶ vol.4
ほしい本がなくても遊びに行きたくなるような、ユニークなインデペンデント書店を巡る連載「本屋を遊ぶ」の第4回は、清澄白河にひっそりと佇む「smokebooks 清澄白河」へ。夫婦で営むこの店には、美術書や古書、アートが静かに共存し、肩肘張らずに本と向き合える穏やかな空気が流れている。北澤夫妻に、この店のあり方と、本との向き合い方を聞いた。
東京・清澄白河にある独立書店。美術、デザイン、写真、建築、絵本などのアート関連書籍を中心に、古書から新刊まで和書・洋書を取り扱う。2010年に開店し、現在は千葉県松戸市のみのり台店とともに営業。本の販売・買取に加え、店内やショーウィンドウを活用した展覧会や作品展示も行うなど、書店とギャラリーの機能を兼ね備えた文化拠点として知られる。
「smokebooks 清澄白河」について
― 清澄白河に店舗を構えたきっかけを教えてください。
北澤友子(以下、友子):旦那が勝手にはじめました。笑
北澤孝裕(以下、孝裕):軽トラで移動販売の本屋を始めた時に知り合ったアーティストから、「アトリエの半分を使って本屋をやらないか」と誘われました。その後、そのアトリエをやめるタイミングで「このまま使う?」と聞かれ、そのまま引き継ぐことになりました。
期間限定の店舗とうたって始めましたが、そこから15年が経ちました。
― 店名の「smokebooks」に込めた思いを教えてください。
友子:旦那が勝手につけました。
孝裕:良くも悪くもない言葉。誰でも知っている言葉。色のない言葉。雰囲気。
― 本を好きになったきっかけや、これまでご自身に影響を与えた本との出会いがあれば教えてください。
友子:特に印象に残っているのは、この2冊です。
『フレデリック ちょっとかわったのねずみのはなし』レオ・レオニ(好学社)
こちらは高校生の頃に喫茶店で出会った絵本です。グラフィックデザイナーのレオ・レオニ、翻訳は谷川俊太郎。怠け者にみえるフレデリックが、みんなを勇気づけてハッピーにしてくれる内容。色や音や言葉がおなかが空いて寒くて凍えそうなときこそ大切だと教えてくれました。
『オリーブ』(マガジンハウス)
90年代、インテリア、ファッション、仕事、写真、雑貨や文具などなど興味があり、あれやこれやをたくさん紹介してくれた雑誌で、紹介された店に行ったり、本を見たり、音楽を聴いたり、手づくりをしたり。<青春そのもの>といってもいいかもです。感謝しかない。
偶然から生まれた本棚
― 美術書や古書を扱う理由を教えてください。
友子:旦那が勝手にやってます。
孝裕:東京都現代美術館が近いからです。
― お店の本は、どのような基準でセレクトされていますか。
友子:旦那が勝手に買ってきます。笑
孝裕:出会い。雰囲気。偶然。

― 本棚の並べ方や空間づくりにおいて、意識していることはありますか。
友子:怒られないように、勝手に置いてます。
孝裕:見やすく。佇い。偶然。
― どんなお客さんが多いですか?
友子:東京都現代美術館の帰りの方。
孝裕:同じく。

― 実店舗の本屋ならではの魅力を教えてください。
友子:本との偶然の出会い。
孝裕:同じく。
― 本屋としてどのような立ち位置を意識されていますか。
友子:ただ、ある事。
アートと本
― 本だけでなく、アート作品も扱うようになったきっかけを教えてください。
友子:東京都現代美術館が近いこともあり、お店でアート本を扱ってるからです。
孝裕:偶然の出会いがあり、アート本を扱っていたこともあって、自然と始まりました。
― 「本屋」という場所だからこそできる、アートとの関わり方があれば教えてください。
孝裕:アートに対する敷居が低いこと。
思い入れのある本
― 思い入れのある本はありますか。
友子:『Calendar 2026 / Every day is a new day』カレル・マルテンス(Roma Publications)
東京都現代美術館で開催される「TOKYO ART BOOK FAIR」にも毎年出展しているオランダのディストリビューター・IDEA BOOKSから輸入しているもので、カレル・マルテンスが毎年デザインを手がけています。毎年、すべての日のデザインが異なっているので、本当に一日一日がそれぞれ特別な日で、同じ日はないんだなと感じられます。
赤ちゃんを抱っこしてご来店された方には、お誕生日をうかがってプレゼントすることもあります。「額に入れて飾ります!」と喜んでくださることも。ほかにも、1週間分や1か月分を壁に貼ったり、お手紙に添えたりと、いろいろな使い方を考えたくなる、本当に美しいデザインです。
孝裕:『AUTOBIOGRAPHY SOL LEWITT 1980』ソル・ルウィット(Multiples, Inc.)
10年ほど前に一度売って以来、ずっと仕入れたいと思っていましたが、なかなか縁がありませんでした。ところが、東京都現代美術館で「ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー」展が始まるタイミングで2冊も入荷したんです。本は本を呼ぶ。不思議だなと思いました。
作品では自身の存在を消しているソル・ルウィットですが、この写真集ではルールやコンセプトはそのままに、人柄や存在が自然とにじみ出ているところに魅力を感じます。
― 最後に、smokebooks 清澄白河店はこれから、どんな場所でありたいですか。
孝裕:本屋であること。
『本屋であること。』
その飾らない一言に、smokebooksが大切にしてきた姿勢が凝縮されているように感じた。
流行を追うことでも、大きく変わることでもなく、本と、人と誠実に向き合い、その場所で静かに続けていく。
だからこそ、この店には人が集い、本と出会い、人との縁がゆるやかに育まれていくのだろう。
smokebooks 清澄白河
東京都江東区三好3-9-6
営業時間:11:00 〜 17:00
ウェブサイト:https://www.smokebooks.net/
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- Edit / Text / Photograph : Seiko Inomata(QUI)







