海と森に浮かぶガラスのサウナ。 Hanaholmenで体験した、北欧ウェルビーイングの原点 – QUI編集部シャルルのホテル体験記
コロナ期間から始まり、リトリートを軸に日本各地のホテルや宿を取材し、皆様へお届けしてきたこの連載。今回のフィンランド滞在では、ヘルシンキ中心部のラグジュアリーホテルから群島エリアのリトリートホテルまで、様々な宿泊体験を重ねてきました。その旅の最後にステイ先として訪れたのが、ここ「Hanaholmen(ハナホルメン)」です。実は、今回の目的である「Fashion in Helsinki 2026」のオープニングプログラムとして開催された、ウェルカムディナーの会場でもありました。
1975年、フィンランドとスウェーデンの文化交流拠点として誕生したこの場所は、ホテル、レストラン、アート、建築が美しく融合した特別な空間です。海に囲まれた小さな島の上に建てられており、建物自体もフィンランドを代表するモダニズム建築として、現地の人々に広く知られています。
目の前に広がるのは、フィンランド湾の穏やかな海と美しい群島の風景。都会からのアクセスは非常に良いにもかかわらず、一歩足を踏み入れると、まるで別世界に迷い込んだかのような静寂に包まれます。私が滞在した客室からも、その息をのむような海を一望することができました。
館内の随所に飾られた北欧アートを眺めていると、1970年代建築のどこか懐かしい空気感を残しながらも、現代的に洗練された空間の心地よさに気づかされます。全室が海に面しているという客室の贅沢さも魅力ですが、今回の滞在で私が最も深く感動したのは、海辺に佇む「グラスサウナ(Glass Sauna)」でした。
正直に言うと、「フィンランドに来たからにはサウナはマスト」と考えていたため、この旅の間にも数多くのサウナを巡ってきました。しかし、「Hanaholmen」のグラスサウナは別格であり、私の中にあったこれまでのサウナ体験を鮮やかに上書きしてくれました。
ホテルの敷地内、静かな森の小道を少し歩くと、突如として鏡張りの小さな建築が現れます。外から見ると周囲の自然をそのまま映し出し、まるで森と同化しているかのような佇まい。この建物はマジックミラー構造になっており、外からは中が見えませんが、室内からは360度、遮るもののない絶景が見渡せます。視界に広がるのは、海、森、空。そのすべてが、ガラス越しに自分を包み込んでくれるのです。
2025年に誕生したばかりのこの新しい施設は、群島の自然を心ゆくまで眺めながらサウナを楽しむための、特別な空間として設計されています。心地よい熱気に包まれながら穏やかな海を眺めていると、時間の感覚が少しずつ曖昧になっていきました。時計を見ることも、スマートフォンをチェックすることもない。ただ、自分の身体と呼吸の音だけに集中する豊かな時間。「サウナとは本来、こういうものなのかもしれない……」としみじみ。日本でも多くのサウナを体験してきましたが、この場所で得た没入感は、今までの経験にない初めてのものでした。それは設備の豪華さによるものではなく、圧倒的な景色と静寂が作り出す「体験そのもの」であり、まさにプライスレスな価値を感じさせてくれました。
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サウナ室を出ると、すぐ目の前には冷涼な海。群島を渡る風が、火照った身体を優しくクールダウンしてくれます。フィンランド式の海へのダイブも体験し、過去最高と言えるほどの「整う」瞬間を味わいました。頭が驚くほどスッキリしていく中で、フィンランドの人々がなぜサウナをただの習慣ではなく、大切な「文化」として扱い、愛し続けているのか、その理由の片鱗を少しだけ理解できたような気がします。
「Hanaholmen」の本当の魅力は、ラグジュアリーブティックであることを決して誇示しない点にあると思います。美しい建築、素晴らしい景色、質の高い食事、快適な客室──必要なものはすべて完璧に揃っています。しかし、それ以上に印象に残るのは、圧倒的な「自然との距離の近さ」です。
何か特別なアクティビティを詰め込む必要はありません。ただ海を眺め、ただサウナに入り、ただ静かな時間を過ごすこと。その「何もしない贅沢」が、どんなアクティビティよりも心を深く満たしてくれます。北欧の人々が大切にしている「ウェルビーイング」の真髄を、私はこのホテルで強く実感しました。
フィンランドのファッションやデザインの根底には、常に自然との共生や、人間らしい暮らしを愛する価値観が流れています。「Hanaholmen」で過ごした時間は、その思想を五感で体感させてくれる最高の場所でした。もしヘルシンキを訪れる機会があるなら、ぜひ足を運んでみてください。配置された北欧デザインに触れ、そして間違いなく、あのグラスサウナだけでも体験してほしいと思います。
そこには、ガイドブックの文字や写真だけでは決して伝わらない、北欧の本当の豊かさが待っています。
ありがとう、「Hanaholmen」。また必ず帰ってきたい、私にとって忘れられない素晴らしいひとときとなりました。
Merci
Hanaholmen
フィンランド・ヘルシンキ近郊の小島に佇むHanaholmen(ハナホルメン)は、1975年にフィンランドとスウェーデンの文化交流拠点として誕生したホテル&カルチャーセンター。モダニズム建築と北欧アートが調和する館内は、全室からフィンランド湾と美しい群島の景色を望むことができる。都会から近い立地でありながら、豊かな自然と静寂に包まれた特別な環境が魅力。2025年には360度の絶景を楽しめるグラスサウナが誕生し、海と森を眺めながら本格的なフィンランド式サウナ体験を堪能することが可能。美しい建築や上質なサービスだけでなく、「何もしない贅沢」を味わえる北欧ならではのウェルビーイングを体感できる滞在先として高い評価を集めている。
Hanasaarenranta 5, 02100 Espoo, Finland
Instagramはこちらから
@hanaholmen.hotel
- text : Charles Kawamoto(QUI)
- edit : Miwa Sato(QUI)








