Connected to Me vol.03 – Anna Melody
私たちにとって心地の良い未来とは。
日々の小さな選択でも、それは波紋のように広がり、地球や私たちの明日にコネクトしていく。
習慣や価値観を変えることは難しいけれど、知ることは今からでもできる。メイクアップアーティストの坪井茉衣良を中心に、有志のクリエイターたちがスタートしたプロジェクト『Connected to Me』では、地球環境と向き合う人々の暮らしを伝えます。
第3回は、モデル/俳優の杏奈メロディー。
便利なものが幸せ?
今はお金を払えば楽になんでも手に入りやすい社会だけど、その逆でキャンプやフィルムカメラとか、わざわざ感を楽しむものが流行っている風潮もありますよね。
日常の大部分では、まだまだ早くて楽なものが便利ってなってるけど“本当にそれで幸せなのか”っていうことに疑問を持ち始める人がもっと多くなっていくんじゃないかなと思う。
お金を払えば楽になんでも手に入る社会が進行しているから、面倒なことばかりが目立ってしまっているけど、実はなんとなく心が明るくなるような瞬間や今まで気づかなかったことに出会える瞬間って、面倒なことをやってるときに生まれていたり、隠れているのかなって感じることもあります。
例えば最近フリマを開催しました。心の距離が近い愛着のあるものは捨てられないから、誰かの元で生きていてくれたら嬉しいなって思って。わざわざ開催して、運んで、売って、売れなかったものを持って帰ってきてっていう手間をやることで、最後を自分の目で見届けられてすごい良かった。
売った物の中には、私が生まれた頃にお母さんが愛用していたネックレスもありました。自分が譲受けたけど、つけこなせないからずっと眠らせていたものです。いつも行ってるサロンの人が買ってくれたので、私の20年もののネックレスがまた新たな人生を歩み始めて嬉しかった。
楽に選べる選択肢が多すぎる社会は、自分の選択一つに対しての愛着が気薄になっていると思う。
ネットショッピングしていると次々と似たブランドを見つけて、元々欲しかったものからずれていく。本当に欲しいものの価値観が徐々にブレていきやすい。
選ぶ時も、買う時も、手にしている間も、なんとなくその物との心の距離が離れてしまっている。だから愛着が薄くて、大切に扱えなかったり、すぐに捨ててしまい、また新しいものを買うという消費しすぎる社会のサイクルが生まれている気がする。
お金の価値≠モノの価値
物々交換イベントに行くこともあります。お金は物の評価が定量化、数値化されて目に見えすぎる。そういう評価の限界は特にアートの文脈で強く影響している気がしていて、別々のものが安易に比較されてしまうことへの違和感が際立ってる。
今の自分はお金が大事と大事じゃないの変わり目くらいにいます。変化の過渡期にいるって思うのは、頭では分かっていても行動に移れないからです。行動に移すとなると、自分で苦しい思いをするとか物理的な刺激が伴いますよね。
でもやっぱり人間は自分の身に危険が迫らないと、行動には起こせないような気がしています。だから政治・社会問題に関心がない人がいることも、全然当たり前だと思っていて。
自分が生まれ持った特権っていうのは当たり前すぎて気づくのが難しいから、自分の特権を他人に批判的に見られる経験がないと気づかなかったりする。だから大切なのは、なんで自分が関心を持てないのか(自分の特権に気づいて)理解した上で関心を持とうとすることだと思う。
大きな団体でアクションするのはすごく尊敬するけど、私は変化を起こしていくには話すのが一番かなって思ってる。正しいから発信、発言するんじゃなくて、あんまり知識がなくても自分なりの意見を喋り合うことが大事。言葉を交わす事というより、もっと深い部分での心のやりとりの様な中で、共感や新しい発見があったりしながら、お互いがじんわり変化していく、そんな人間のコミュニケーションの醍醐味を信じています。
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make-up
MAILA TSUBOI
Photography
Kouhei Iizuka
stylist
Kaori Suzuki
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Yui Suzuki