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パリ・ファッションウィーク 2026年秋冬コレクションガイド — 現実に触れる衣服 vol.2

Apr 17, 2026
2026年3月2日(月)〜3月10日(火)、パリ・ファッションウィーク 2026年秋冬コレクションが開催された。今シーズンは、身体や環境、社会との接点を通して、衣服を現実の中で成立させるアプローチが、これまで以上に際立った。世界的ブランドから気鋭のデザイナーまで、注目のショーをvol.1からvol.3にわたってご紹介。

パリ・ファッションウィーク 2026年秋冬コレクションガイド — 現実に触れる衣服 vol.2

Apr 17, 2026 - FASHION
2026年3月2日(月)〜3月10日(火)、パリ・ファッションウィーク 2026年秋冬コレクションが開催された。今シーズンは、身体や環境、社会との接点を通して、衣服を現実の中で成立させるアプローチが、これまで以上に際立った。世界的ブランドから気鋭のデザイナーまで、注目のショーをvol.1からvol.3にわたってご紹介。

Rabanne/ラバンヌ

<Rabanne>が、2026年秋冬コレクションを発表し、ジュリアン・ドッセーナの考える「モダニスト・フェミニニティ」を軸に、磨き上げられすぎた完璧さから距離を取り、時代のエッセンスを取り込みながら再構築した。ショーに現れた女性たち、そして数名の男性たちは、どこか退廃的で、すべてを明かさない影をまといながらも揺るぎない自信を漂わせ、服と親密につながる感覚をそれぞれの着こなしで示した。1940年代を思わせるボトネックドレスにシアリングのインターシャジャケット、ボタンを開けてスリップを覗かせたチェックのスーツ、ポケットを大胆に配したチェックトラウザー、アニマルプリントのパンプス、フローラルブラウス、フェアアイルのセーターベスト、アイレットのコート、紙飛行機プリントのシュミーズ、フラワープリントのレザーブレザー、刺繍とビーズのツインセット、メタルメッシュのトップス、フリンジジャージーのスカート、Tストラップパンプス、レザーのトレンチが重ねられた。ドレスアップを人に見せるためではなく、自分の選択を形にする行為として捉え、レイヤリングやミックスによって、それぞれの人物像が持つ曖昧さと個性を服のなかに残した。

rabanne 2026AW COLLECTION RUNWAY

Rick Owens/リック オウエンス

<Rick Owens>が、パレ・ド・トーキョーで、2026年秋冬ウィメンズコレクション「TOWER」を発表した。“Temple of Love, Tower of Light”という言葉を掲げた今シーズンは、愛と希望、強さと守りへの祈りを軸に、艶のあるブルレザー、ボイルドウール、ボディアーマーにも用いられるケブラー、ワックス加工を施したカウハイド、ブラッシュドアルパカなどを重ねながら、身体を包み込む縦長のシルエットを組み立てた。ショーの冒頭にはタワーシースが登場し、クロップドジャケットとロングベストを組み合わせる変形アウター、8mmフェルトのフライトジャケットとミニマント、インダストリアルインディゴのキャンバス、サルターナ(Sarutanya)とのシルクカシミヤのハンドクロシェ、ジュリア・トラフィモワ(Julia Trofimova)によるハンドタフテッドジャケット、ーカス・モレッティ(Lucas Moretti)と制作したマクラメのタワーガウン、さらにロングヘアゴートハイドをネット状に連ねたコートが続いた。マレーネ・ディートリヒの晩年の白いコート姿をブルータリズムの質感に置き換えながら、<Rick Owens>は道徳性と人工性、責任感と粘り強さが同居する女性像を、保護服の語彙と手仕事の時間を通して差し出した。

Rick Owens 2026AW WOMENS COLLECTION RUNWAY

ISABEL MARANT/イザベル マラン

<ISABEL MARANT>が、2026年秋冬コレクションを発表した。“A sense of togetherness”をキーワードに据えた今季は、夜をともにする「ISABEL MARANTガールズギャング」の一体感を背景に、パリジェンヌらしいボクシーなレザージャケットと細身のデニムを土台にしながら、マスキュリンとフェミニンのあいだに緊張感を走らせた。ドライバーズニットやセーラーケーブルニット、オーバーサイズボタンのアビエーターアウターに、透けるチュールドレス、刺繍入りビスチェ、深くカットしたレザーブーツ、サイハイソックスを重ねたアンクルブーツ、ラウンドシルエットのボンバージャケット、シルクのナイトローブ、レースキャミソール、リバーシブルのピース、ダメージモチーフの刺繍ジーンズ、カットアウトレースのブルーレザーシャツ、パティナ加工のブーツヒールが並んだ。レッドとブルーを差し込んだブラックとアンスラサイトの色面、シルクやジュエリーに用いたスネークパターン、メンズルックに見られたブリーチデニムとオーバーショルダーのレザージャケットによって、親密さと大胆さ、昼と夜、男女の距離がひとつの夜のワードローブとして接続された。

ISABEL MARANT 2026AW COLLECTION RUNWAY

LOEWE/ロエベ

<LOEWE>が、ジャック・マッコローとラザロ・ヘルナンデスによる2シーズン目となる2026年秋冬コレクションを発表した。今シーズンは“遊び”を起点に、メゾンの核であるレザークラフトを試行錯誤のプロセスとして扱い、コジマ・フォン・ボニンの動物彫刻が並ぶ会場で、アートと衣服、観客と展示物の境界を揺らしながら、素材と構造の可能性を押し広げた。3Dプリントした型にラテックスを流し込んだスリップドレスやパジャマトップ、だまし絵のような立体感をつくるコート、空気を含ませたパーカとスカーフ、極細のレザー糸で編んだタータンのセーターやドレス、ループ状のラッカーレザーによるブークレコート、グラデーションに刈り込んだシアリング、そして「Amazona 180」「Flamenco Clutch」「Whisker Bag」が登場した。創業180周年の節目にあたる本コレクションが示したのは、伝統を更新し続けるための実験としてクラフトを扱う姿勢であり、遊び続けるためのルールを新体制の<LOEWE>に敷いたシーズンだった。

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LOEWE 2026年秋冬コレクション──クラフトを“遊び”へと解き放つ、終わりなきものづくりの実験
Mar 24, 2026

LOEWE 2026AW COLLECTION RUNWAY

RUOHAN/ルオハン

<RUOHAN>が、パリ・サンジェルマン地区リュ・ドゥ・セーヌにある新しいパリオフィスで、2026年秋冬コレクション「FOURTY GESTURES」をサロン形式で発表した。完成されたひとつのイメージではなく、形、動き、素材といった断片から出発した今シーズンは、彫刻家の制作プロセスに近いワークフローを用い、色のついたブロックのようなミニチュア構造モデルを積み重ねながら、秩序の中に偶然を受け入れるシリーズとして組み立てられた。各ルックは身体のわずかな傾きや回転、伸び、小さな揺らぎから生まれ、そのジェスチャーを絵画として記録しつつ、フェルト加工によって織物の密度をもつニット、ニットのような流動性をもつ構造の緩い織物など、岩を思わせる素材の変化を通して輪郭を構造へと変えていった。静かな中庭に二匹の魚がいる新しい空間で、至近距離のプレゼンテーションを選んだことも含め、<RUOHAN>は服を身体、素材、動きのあいだで関係が立ち上がる構造体として扱っていることが証明された。

RUOHAN 2026AW COLLECTION RUNWAY

ISSEY MIYAKE/イッセイ ミヤケ

<ISSEY MIYAKE>が、カルーゼル・デュ・ルーヴルで、2026年秋冬コレクション「Creating, Allowing ― つくる、つくらない ―」を発表した。ものづくりにおける「作為」と「余白」の関係を探った今シーズンは、細断されたアルミ箔を敷き詰めた銀の砂の空間を舞台に、素材の本質と形態をあるがままに認めながら、「物質」としての衣服が「身体」と呼応するための最小限のデザインを積み重ねた。一枚の布をファスナーで筒状にした「ALLOW」、石をそのまま着る発想から生まれた無縫製ニット「FOUND STONE」、立体的な肩をもつ「HANDSOME KNIT」、布をあえて残した「UNTITLED」、手で捻った「WRING PLEATS」、円環状のスカートを備えた「CORRELATION」、曲線を描く「CALLIGRAPH」、越前和紙と漆、3Dプリンターを組み合わせた「URUSHI BODY」、さらに<CAMPER>とのシューズ「Anna」が並んだ。すべてを意図通りに仕上げるのではなく、引き算を重ねた先で素材や身体に委ねることによって、日常のなかに潜む未知の貌や、新たな関係が立ち上がる余地を衣服の中に残した。

ISSEY MIYAKE 2026AW COLLECTION RUNWAY

Lanvin/ランバン

<Lanvin>が、パリ植物園内の地質学・鉱物学ギャラリーで、ピーター・コッピングによる2026ウィメンズウィンターコレクション「Bonjour Minuit」を発表した。ジャンヌ・ランバンの“le chic ultime(究極のシック)”を今日から未来へ続く対話として捉えた今シーズンは、流れる動き、彫刻的なテーラリング、フルーの技術を置き換えたニットによって、カジュアルとフォーマル、昼と夜、マスキュリニティとフェミニニティの境界をほどいていった。ハリのあるウールやフランネル、メルトン、グラン・ド・プードルのジャケットやコートにはタック、ダーツ、シャーリングが入り、ローブ・ド・スタイルを思わせるボリュームスカート、流れるシルク、解体的なラッフル、クロッシュを拡張した帽子、ビーズの雫の手刺繍、レーザーカットのフリンジ、誇張されたタンのキュイサルドブーツ、アール・デコのレザーインレイを施したバッグ、フラットリンクのジュエリー、カフ付きオペラグローブが続いた。2026年に迎えるメンズウェア誕生100周年も踏まえながら、アトリエの途中経過を思わせる襟元やラペル、外側に現れた縫い目、前を横切るグログランベルトを通して、ピーター・コッピングはジャンヌ・ランバンの手の感覚とパリの永遠のエスプリを現在のメゾンの輪郭へつなげた。

LANVIN 2026AW COLLECTION RUNWAY

NINA RICCI/ニナ リッチ

<NINA RICCI>が、2026年秋冬コレクションを発表した。今シーズンは、グラストンベリーの夜明けにテントから現れたマリー・アントワネットというイメージを起点に、宮廷の華やかさとフェスの現実感、ロココの装飾性と日常着の無造作さを重ね合わせた。出発点となったのは、ジェラール・ピパールが1991年にモスクワのクレムリン劇場で上演された『シンデレラ』のために描いた装飾的なボールガウンのスケッチと、ケイト・モスのグラストンベリーでのローファイな装いで、チーター柄のミルフィーユスカート、花柄ジャカードのテーラリング、タフタのクリノリン、シルクモアレの乗馬コート、ペトロールブルーのフェイクファーを添えたローズモチーフのジャケット、リボン付きのフィッシャーマンズセーター、カシミヤ混ニットのフード、カーキのピーコート、弓飾りとバックルを備えたニーハイブーツ、ウェリントンブーツ、パールやベルベットリボン、ロングフリンジのサテンバッグが登場した。ブラックとモスグリーンに、アーモンドブルー、マカロンイエロー、ボンボンピンクを差し込んだ色調の中で、<NINA RICCI>はロイヤルファミリーのサッシュと野外フェスのリストバンド、ヴェルサイユの床と踏み固められた芝生をひとつの視界に置き、地に足のついたドラマを組み立てた。

NINA RICCI 2026AW COLLECTION RUNWAY

GIVENCHY/ジバンシー

<GIVENCHY>が、サラ・バートンによる2026年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。メゾンで3度目となるランウェイショーで彼女が掲げた問いは「私たちが生きるこの世界で、いかにして自己を取り戻すか」であり、精緻なテーラリングと彫刻的なドレープを軸に、日常とイブニング、実用性とエレガンスを横断するワードローブを組み上げた。長いラインを強調したジャケットやスーツ、重厚なデュシェスサテンのケープ、花のモチーフをあしらったイブニングドレス、デニムのワークウェア、レザージャケットが同じ流れの中に置かれ、スティーブン・ジョーンズが手がけたTシャツをひとひねりしたようなヘッドラップが全体を引き締めた。創業者ユベール・ド・ジバンシィが築いたシンプルさの中のエレガンスを尊重しながら、サラ・バートンはアトリエの手仕事を豪華さの誇示ではなく服の構造と動きに沈め込み、現代女性の生活に根ざした新しい<GIVENCHY>の輪郭を具体的に示した。

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GIVENCHY 2026年秋冬コレクション──自己を取り戻すためのエレガンス
Mar 12, 2026

GIVENCHY 2026AW COLLECTION RUNWAY

 


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