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美絽 × 池端杏慈 × 蒼戸虹子 – わからなさを抱えて生きていく

Dec 26, 2025
生と死を横断する、ミステリアスで美しい世界を描き出す映画『白の花実』。揺れ動く少女たちの無垢な心情を、美絽、池端杏慈、蒼戸虹子という若き才能が繊細に表現した。
本作がつないだ3人の絆や役への向き合い方、そしてそれぞれが見つめる未来へのまなざしに迫る。

美絽 × 池端杏慈 × 蒼戸虹子 – わからなさを抱えて生きていく

Dec 26, 2025 - FILM
生と死を横断する、ミステリアスで美しい世界を描き出す映画『白の花実』。揺れ動く少女たちの無垢な心情を、美絽、池端杏慈、蒼戸虹子という若き才能が繊細に表現した。
本作がつないだ3人の絆や役への向き合い方、そしてそれぞれが見つめる未来へのまなざしに迫る。

 

Miro:dress ¥49,500 / MUVEIL, shoes ¥26,400 / MAISON MAVERICK PRESENTS, Other stylist's own

 

Anji Ikehata:jacket ¥71,500・salopette ¥68,200 / FUMIE TANAKA, Other stylist's own

 

Nico Aoto:tops ¥35,200・dress ¥58,300 / RITSUKO KARITA (RITSUKO KARITA ritsukokarita@gmail.com), earrings ¥975,700・ring ¥3,471,600 / TASAKI (TASAKI 0120-111-446)

 

 

 

 

3人の出会いと、役へのアプローチ

― 撮影の様子を見ていると、本当に仲良しな3人ですね。本作が初対面だったのでしょうか?

蒼戸虹子(以下、蒼戸):そうです。初めて会ったときは私と美絽の2人だったんですけど、2人とも人見知りすぎて(笑)。

― どこで距離がぐっと縮まったのですか?

美絽:クランクイン前に半年間くらいダンスレッスンをしていて、そこで時間をかけて徐々にですね。

― 池端さんはいつ合流を?

池端杏慈(以下、池端):3か月くらい経ってから合流したのですが、私はそんなに人見知りしないタイプなので、いっぱい話しかけました。

美絽:杏慈が来てから、3人めっちゃ仲良くなりました。

― 3人が集まってピースがカチッとはまったようですねここからは他己紹介をお願いしたいのですが、まず池端さんと蒼戸さんから見た美絽さんについて教えていただけますか?

池端:美絽はクールだけど、笑顔が素敵で最高なんです。最初会ったときは大人っぽいなと思いましたが、3人で話しているときは一番笑顔で聞いてくれる。そのギャップが、すごく好きだな。

蒼戸:最初は2人で一緒に帰るとき、沈黙がたくさんあったんです(笑)。でも仲良くなってから、目の中に暖かさや優しさがたくさん詰まっているなって気付いて。一緒にいるとすごく落ち着けるし、大人っぽいイメージだから笑ってくれるとすごく嬉しくなります。

池端さんはどんな方でしょうか?

美絽:いつも明るくて、優しくて、パワーをもらえます。一緒にいるだけで私も元気になれる、太陽みたいな人です。

蒼戸:杏慈は言葉や笑顔の端々から、暖かい空気が感じられる。そこにいてくれるだけでその場がパッと明るくなる人なので、杏慈がいたら大丈夫だと思えて甘えてしまう、いつも側にいてほしいお姉ちゃんです。

蒼戸さんは、年齢は一番下ですよね。

美絽:虹子は一番年下で妹みたいだけど、包み込んでくれるような感覚もあります。柔らかくて、元気で、優しくて、目がキラキラしている。

池端:私にとってもかわいい妹みたいな存在です。美絽と虹子と3人で喋っているときは、場が和む気がします。

― 個性がありながら、パズルのようにぴったり組み合う3人だったようですね。それぞれの役にはどのように向き合いましたか?

美絽:(自身が演じた杏菜と)とにかく共感できるところを探しました。最初は自分と全然似ていないと思っていたんですけど、杏菜のことを知っていくうちにどんどん似ている部分に気づいて。

― 杏菜は周囲に馴染むことを拒絶するような役柄でした。ご自身とはどういう部分が似ていると感じましたか?

美絽:強くて頑固そうに見えるけど、繊細さや弱さもあるところは一緒だなと感じました。

― 池端さんは栞というとご自身が重なる部分はありましたか?

池端:栞は、幼馴染の(蒼戸さん演じる)莉花が突然いなくなってしまいますが、自分には同じような経験がなかったので、その感情をどう表現するべきかすごく迷いました。台本を読み込んで、坂本(悠花里)監督と話し合うことで、当たり前だったものを失う悲しみや寂しさを自分なりに理解できたように思います。

― かなり難しそうな役柄ですね。

池端:はい、葛藤を抱えたキャラクターで難しかったです。

蒼戸さんは、物語のキーパーソンともいえる少女・莉花を演じました。

蒼戸:莉花が抱えている寂しさや苦しみを自分でイメージしながら向き合っていきましたが、実際に演じてみるとちょっと暗い雰囲気になってしまって。莉花が友達や先生に対して見せる普段の明るさも意識しながら演じました。

― 莉花が亡くなった理由に対して周囲勝手に分析し、主張することに対する批判的な視点も感じましたが莉花が抱えていたものについて坂本監督と話したことはありますか?

蒼戸:それはたぶん莉花自身もよくわかっていないと思うんです。いろいろざわざわしたものを抱えつつも、わからないままでいいのかも…ということを坂本監督と話しました。

 

大人になるということ

― 莉花は劇中で美しく完璧な少女として描かれていますが、実際皆さんがこういう人間でありたいという理想像はありますか?

美絽:私には、理想像というものがあんまりなくて。理想を作ってしまったときに、その理想と今の自分の差に苦しんじゃうんじゃないかなと。目の前のこと一つひとつにちゃんと向き合っていける人でいたいなとは思います。

池端:私自身にも莉花と同じようにわからないことや迷っていることがたくさんありますが、そのすべてに全力で向き合おうとすると心が疲れてしまうときもある。だから今は一歩一歩、地に足つけて着実に進んでいけたらいいなと思っています。

― その道の先に見据える大きな目標はありますか?

池端:映画祭で賞をとることはずっと目標にしています。

美絽・蒼戸:おおー。

― 蒼戸さんはどういう人間でありたいですか?

蒼戸:莉花を演じて、私自身も外から見られる姿を意識しちゃうところがあるなと感じました。ありのままの自分、弱いところやダメなところも受け入れて、一つひとつの感情に丁寧に向き合っていける人が理想だと思います。

― 子供と大人の狭間で揺れ動く心情が印象的でしたが皆さんは大人になるってどういうことだと思いますか

美絽:私は自分の機嫌を自分でとれるようになることが大人なのかなと思っていま

池端:自分がしたことの責任を1人でとれるかどうかが、大人と子供の違いだと思います。

蒼戸:広い視野を持って、いろんな立場で物事を考えられる人は大人だなと思います。私は自分のことや目の前のことで精一杯なので、まだまだ子どもですね。

最後に、それぞれが感じた本作の魅力についてお聞かせください。

美絽:少女たちの葛藤や悩みが、本当に繊細に描かれているところが魅力だと思います。観てくださった方それぞれに、きっと共感できる部分があるのではないでしょうか。あとはこの映画の引き込まれるような静けさにも惹きつけられました。

池端:映像美が見どころです。とくに森や湖など、自然の美しさを引き出すのが坂本監督の演出のすごさだなと思っていて。スクリーンに没頭できる作品なので、ぜひ映画館でご覧ください。無音のシーンの表情や間に3人それぞれの役が現れているなと思うので、注目していただけると嬉しいです。

蒼戸:わからないこと、答えがないこと、そこに魅力を感じました。人の気持ちはもちろん、自分の気持ちでさえもわからなくなるときがある。そこに葛藤し向き合おうとする少女たちの姿が、私にはすごくかっこよく見えました。彼女たちと同じ年代の方にも、かつてその年代を通ってきた方にも、感じ取っていただけるものがある映画だと思います。

 

Profile _ 美絽(みろ)
2008年生まれ、東京都出身。スカウトを機にデビューし、サントリー天然水「スパークリングレモン」などの多数のCMや、BUMP OF CHICKENの「Gravity」、 ASIAN KUNG-FU GENERATIONの「星の夜、ひかりの街(feat.Rachel&OMSB)」など話題のMVに出演。その瑞々しい演技と独特な存在感で注目を集めた。モデルとして雑誌や多彩な広告に数多く出演。本作が映画初出演にして初主演となる。

 

Profile _ 池端杏慈(いけはた・あんじ)
2007年生まれ、東京都出身。2021年にファッション誌「ニコラ」のオーディションでグランプリを獲得し、専属モデルを務めた。2023年には、ポカリスエットのCMキャラクターに抜擢され、その後2025年には、ゼクシィ 15代目CMガール、第104回全国高校サッカー選手権大会応援マネージャーに起用され、注目を集める。ドラマ「オールドルーキー」(22/TBS)で俳優デビューを果たし、映画『矢野くんの普通の日々』(24/新城毅彦監督)で、映画初出演。主人公の親友・高遠麗を演じた『ストロベリームーン』(10月17日公開/酒井麻衣監督)に出演。

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Profile _ 蒼戸虹子(あおと・にこ)
2009年生まれ、ハワイ出身。モデルとして活動後、2024年より俳優活動を開始。シリーズ横溝正史短編集Ⅳ「悪魔の降誕祭」(24/NHKBS)でデビュー後、「DOPE 麻薬取締部特捜課」(25/TBS)では主人公の妹・結衣役を演じ、連続ドラマ初出演を果たす。RADWIMPS「正解」MVも話題になるなど、多岐にわたり活躍。
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Information

映画『白の花実』

2025年12月26日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

出演:美絽、池端杏慈、蒼戸虹子、河井青葉、岩瀬亮、山村崇子、永野宗典、田中佐季、伊藤歩、吉原光夫、門脇麦
監督:坂本悠花里

映画『白の花実』公式サイト

©2025 BITTERS END/CHIAROSCURO

  • Photography : Rinko Tsukamoto
  • Styling for Miro : Naoto Ishikawa(dust free production)
  • Hair&Make-up for Miro : Yuka Toyama
  • Styling for Anji Ikehata : Naoto Ishikawa(dust free production)
  • Hair&Make-up for Anji Ikehata : Eri Ito
  • Styling for Nico Aoto : Shoh Sasaki
  • Hair&Make-up for Nico Aoto : Naoki Ishikawa
  • Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI)

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